1°
「おめでとう!」
目の前が暗くなり、何も感じないが、長い時間がたったことだけはわかる。そんな時に俺はこの女性っぽい声を聞いた。一体何が「おめでとう」なのだろうか。
「あなたは実験第三◯二番に選ばれました!」
最悪だ。…人体実験だろうか。そんなものに応募した記憶は……
あれ?ここに来る前に何してたっけ…
え〜と…歩きスマホしてたらその後…
やっぱり思い出せないな…
「聞こえてますか?」
はい、と応答しようとしたが…口が動かない。
「まあどっちでもいい…ですよね!どうせあの肉体とはおさらばだし!」
何を言っているんだ…?
あの肉体…?もしかして俺の体か?
なら今はどういう状態なんだろうか?
「とりあえず魂を取り出してみたけど…やっぱり不安定だなぁ…どうにかして安定する肉体を探さないとなぁ…めんどくさいなぁ…はぁ…」
魂だけ…?
どうりで口や手、足が動かないし何も感じないわけだ。
……耳もないよな?
「おっ!いい感じのあるじゃん!今回はこれでいいや…。とりあえず適合させてっと…」
その後急に激痛を感じる。
頭、胸、腕、腹、脚…体のほぼ全ての場所からズキズキした痛みを感じる。
その後徐々に痛みが引いていく。
痛みが引いている間も何か言われている気がしたがよく聞こえない。
そして痛みはなくなった。
「最終シークエンス完了…それではいってらっしゃい三◯二番!」
強い風を感じながら私は眠くなり…寝てしまった。
「あっ、やば!送り先違う…どうしよ…」