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プロローグ

【はじめまして〜。僕の名前はイル。傍観者的な役割を任されています。ただ見てるだけの存在だから本当にやることがないんだ。それでもちょっとした神様みたいな立場なんだけど、世界に干渉を禁止されているから路上の石ころと大して変わらない。だからタメ口でもいいし、気楽に接してくれて構わない。本当に暇で暇で脳がお花畑になってしまいそうなくらいだから、暇つぶしに僕の話を聞いてほしいな。


【君たちの暮らしている星の話だから、多少興味があるでしょ? 今からちょっと先の未来のお話さ。

 なんで分かるかって? そりゃ起きる未来が確定したからだよ。難しい話だけど、もうすでに起きたんだよ。史実と記録すらされている。未来で起きた事象を時が来たら粛々と受け入れるしかないんだな。だから少しでも優しくしてあげた方がいいよ。君たちの母星である地球をね。


【それはここではないどこか別次元の世界の話、パラレルなのかもしれないと思う人もいるだろうけど、過去か未来の時間軸の違いでしかないから余計なことは気にしないでいいよ。終末のブルーインパクトが起きるのは、紛れもなく地球という星なのだから。


【簡単に言うと君たちは水に殺された。何の変哲もないただの雨。酸性雨でもなければ黒い雨でもない普通の雨。それなのに破滅的災害にまで事態が激化するのさ。

 降雨量は常に記録を更新し続け、分厚い雲は太陽の光を遮断する。低気圧は次々と新しい暴風を生み出す。大雨による土砂崩れ、川の氾濫、そして世界中を飲み込む大洪水と大津波。


【火星や月などへの宇宙移住計画というのもあったみたいだけど不完全も不完全。水や食物、そして酸素問題など多くの課題を残したまま強行を余儀なくされたんだ。だって地球はもう人が住むことが出来る星ではなくなったから。帰ることも出来ず補給も期待出来ない宇宙という死の空間で、母星を眺めながら消えていった。


【地中奥深くに造った地下シェルターというのもあって――地底人のようなものだね。海中底の洞窟同然と化し外部と完全に遮断された。だって海に沈んでいない場所を探す方が難しい。少ない備蓄を分け合い、醜くも奪い合いながら空調設備が破壊されたことによる酸素不足の中で朦朧としながら衰弱死していく。多くの遺物や痕跡を地下に残し、人類の歴史は幕を閉じた。


【ここまでが君たちの人種の最期のお話しだなんとなくピンと来る人もいるんじゃないかな? 異常気象とかは既に始まっているだろ? 仕組まれたかのように大量の水で溢れかえったのは事実だから、今から愉しみにしておくといいよ。


【数億年の時間をかけ細菌や植物から生物が誕生しつつも、後にマナと呼ばれる有害な空気に対応することが出来ず、二度目の人類は短命のまま消滅した。


【君たちが簡単に死んじゃったせいで、それも大量に。そのおかげで君たちの子にあたる次の人種は簡単に滅んだよ。

 なにせ星の循環機能が役に立たなくなっちゃったからね。一般生物にとっては毒ガスのようなものが、そこら中にわんさか漂っているのだから滅んでしまっても仕方がない。

 いつも生物を救ってくれるのは植物なんだ。


【マナを吸収する植物――マザーの登場により空気中のマナは劇的に減少。そのおかげで生物は再び活発化。多様性は増加し種類も数も増やしていく。

 マザーが吸収したマナの排泄物、もしくは種は精霊種の卵となり、受肉に成功する。

 聞いたことがあるかもしれないけど、精霊種とは自然に宿る霊的存在で、エルフ、ゴブリン、ドラゴンなどがそれにあたる。

 精霊種は基本的に繁殖能力を持たない。長命であり生まれた場所に留まり続ける。自然、特にマザーを外敵から守ることを最優先事項とする。


【三度目の新人類――君たちの孫が誕生した頃には世界環境はとても安定し、海水も下降したため埋もれた大陸の殆どが顔を出していた。


【世界から見ると小さな島国である大和国。今の日本のような国だ。

 和を以て貴しとなす。聖徳太子が制定した憲法はご存知だと思う。その精神の元、精霊種と友好関係を維持しながら、発展を続ける。

 諸外国は目先の利益に目が眩み、マザー討伐、精霊種の奴隷化、土地の開発の為の自然破壊と行動に出たおかげで、精霊種の恨みを買った。そんな国々は滅ぶか、衰退の一途を辿るしかない。


【人間を殺し、肉を喰らい、汚れたマナとスキル、繁殖能力を得てしまった精霊は純粋な存在ではいられなくなった。穢れ、つまりそれは精霊種が魔物化したことを意味する。

 魔物化した精霊種はまといと呼ばれる肉体を闘気で覆う技を扱い、近代兵器をこれっぽっちも寄せ付けやしない。

 精霊種や魔物たちとの戦いに勝てないと踏んだ国々の次の一手は他国の同じ人間の財産を奪うこと、植民地化だった。これに関してはあなた達の世代と一緒かな。

 あちこちで起きた紛争は、やがて世界大戦と呼ばれるにまで発展する。

 大和国は自国を攻められない限りは傍観の姿勢でいたが、西欧諸国による亜細亜植民地化に反抗の意志を見せ、大戦に参戦する。


【精霊種と友好関係を結んでいた大和国の戦いは一方的だった。式神を操る陰陽師、身体や武器を闘気で強化する侍など、他国とは力の違いは歴然だった。


【宙に浮かぶ飛行術。

 戦闘機や戦艦を一刀両断出来る斬撃波。

 雷、水、炎など自然を操る術式。

 攻撃を無力化する防御壁。

 精霊種の協力による森の拠点と拠点を結ぶ移動手段ワープ


 【三人一組で世界に散らばり、数々の武功を上げる。僅か二週間程で全植民地は解放され、大戦は終局した。

 戦争を起こした犯罪人を裁く世界裁判により、指導者や王族を処刑。大和国が世界の盟主として先導していく。

 世界年号を大和暦に改め、この時を大和暦1945年とした。


【そして大和暦2020年、大和国逢坂にある侍を目指す国立戦闘訓練高等学校、そこに入学したての一人の少年を主人公として物語は始まる。


【最後は疲れてきたから淡々と終わらせたけど、この先は貴方方の目で確かめてくれ。おそらくだけど君たちが助かる方法が見つかるかもしれないし、起こるべき未来を覆す魔法のような物が見つかるかもしれない。確約は出来ないけど孫の活躍を見守る気持ちで見たらいいんじゃないかな。

 ここまでお付き合い頂きありがとう。それなりの暇潰しにはなったよ。バイバイ。


 


追伸、


 イルというのは今日の僕の愛称であり偽名みたいなものだ。だから安心してほしい。僕の本当の名前を知ってしまったが為に命を狙われるとか、そういう展開は無いはずだから。

お読み頂きありがとうございました

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