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人民革命党

人民革命党の自称三銃士登場!

同じ頃、同じバスチーヌの街の貧民街の一室で顔を付き合わせ話をしている三人の男たちがいた。

「しかし、この部屋なんとかならないモンなんですか?ダントンさん」

 アロハシャツの胸元をはだけさせた遊び人風の男がスーツ姿のダントンに絡んでいた。

「サイス、なんとかって、ぼくらは人民革命党党員だぞ。贅沢なことを言うんじゃない。この部屋には必要最小限のもはすべて揃っているんだ。それ以外に何が必要なんだ?」

 ひとつしかない小さな窓に手を掛けゴミゴミした町並みを見ていたダントンは向き直って威厳のある低い落ち着いた声で、諭すようにゆっくりと言った。

「まった、思ってもいないことをペラペラと。いくら風格出したって言ったってダメですよ。長い付き合いじゃないですか。まぁ、いいや。とにかく、エアコン何とかしましょうよ。扇風機があるってたって、こんな蒸し風呂みたいな部屋じゃ熱風を掻き回してるだけじないですか、そうでしょ。いまどき安いモンじゃないですか、エアコンなんて」

「安い高いのもんだいじゃないんだ、サイス。これは我々革命党の精神の問題なんだよ。いいか、我々の精神は、不足の中にあってそこから浮かび上がって来るものを根源的に必要としているんだよ」

「必要ねぇ…。そうか必要なら仕方ないか。解りましたダントンさん」

 サイスはニヤニヤしながらそう言って立ち上がると、扉を開けた冷蔵庫の前にへばり付いている太った男に目をやった。

「セルバステン、そろそろ一時間経つぞ」

 サイスの声にセルバステンの身体が小さく動いた。

「なんだぁ、もう一時間経ったのですかぁ。涼しいのは長続きしてくれないんだなぁ。次はダントンさんの番だったですかねぇ」

 セルバステンはさも億劫であるかのようにのっそりと立ち上がった。しかし、実際は彼の動きが何につけ緩慢なだけでそこには何ひとつ思惟的なものはなかった。

「支部長殿はこの暑さも物ともしないお方いや、たしか、精神的根源として必要としておられるそうだから辞退なさるらしい。だから次は俺の番だな」

「ちょっとまってよ!」

 ダントンはいささかうろたえて声を荒げた。

「えっ? なにか? 私は支部長殿のお考えを察して申し上げたのですが」

「いや、少し話が性急に過ぎるのではないのかと言うことですよ、サイス。ぼくは何もそこまで言ってはいないのですよ」

「そうなんですか? てっきりそう言うことかと思っていましたよ。ところで風格出したってダメですって言ったでしょ。とにかく、要らないって言うわけじゃないんですから、それなら早いとこ買っちゃいましょうよエアコン」

「しかし、誰が金を出すんだ? 金庫番はカボチャだぞ、カボチャ。あのカボチャが黙って首を縦に振ると思うのか? 例え俺たちが自腹切ったって難癖つけて来るのは解りきった事じゃないか」

「なに言ってんスか、ダントンさん。ダントンさんは支部長なんだからバシッと言ってやってくださいよ! 」

「じゃ、今からお前、副支部長に任命してやるから、お前が言えよ」

「いえいえ、こういうのって、やっぱダントンさんのテリトリーですよ。俺ら人民革命党の三銃士、力のサイス、知略のセルバステン、そして口先三寸のダントン。誰がどう見たってダントンさんが適任じゃないっスか。それにあのカボチャ、法律上はあくまで女性なんですから、その観点からいってもやっぱりダントンさんの分野じゃないですか」

「法律上って…、お前、うまいこと、いやひどいこと言うなぁ。しかしだなぁ、はっきり言ってぼくの天敵なんだ、あれ。あぁ、ポンポンといわれたんじゃなぁ」

「ダントンさん、俺たちは名誉ある人民革命党々員ですよ。その敵って言えば、あの白亜の宮殿に住んでいる輩だけじゃないですか。緑黄色野菜の類いにビビってどうすんですか」

「緑黄色って人間じゃないのか、野菜なのか?」「当然でしょ。なぁセルバステン」

「うん。ぼく、あれを一度タマゴ和えにしたいです」

「タマゴ和え? なんだそりゃ?」

「うん。カボチャのタマゴ和え。みんなで籠に入った生卵投げるんだ。きっとスゴイご馳走になると思うんだ」

「……。おまえら、すがらそんな話ばかりやってたんじゃないだろうな」

「まぁ、ばっかりと言う分けじゃないが暇さえあればやっていたような気がしますよダントンさん」


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