石丸市長が往く 安芸高田市死闘編 第5回 コウゲ部長の憂鬱
石丸市長が往く 安芸高田死闘編
第5回 コウゲ部長の憂鬱 (2024年3月)
コウゲ部長、安芸高田市の市役所職員です。役職は企画部長、実直で誠実な印象があり、能吏という言葉が似合いますね。議会で答弁に立つことも多く、ユーチューブ界隈ではちょっとした有名人となっているようです。
安芸高田市は、石丸市長が就任した2020年度まで、実質単年度収支が5年連続赤字だったわけで、まあ小さな自治体としては、財政的には瀬戸際ですね。そのうえ、「田んぼアート公園」という、安芸高田市という小さな自治体には、過大ともいえる事業をスタートさせていました。
ネットに、この事業の資料が残っていました。広大な敷地に立派な展望台と屋台村(10~15テナント)を併設しています。観客動員数は50万と見込まれていましたが、甘い見通しと言わざるをえません。田んぼアート日本一といわれる田舎館村でも、30年掛けて40万人ですから…
だいたい、安芸高田市と田舎館村の田んぼアートでは、明らかにクオリティの差があるわけです。安芸高田市が田舎館村のレベルに追い付くには、それなりの時間が必要だったと思います。
この田んぼアート事業ですが、石丸市長の決断で、2020年12月に中止されたわけです。しかし、もし、石丸伸二が落選し事業がそのまま継続されていたら、安芸高田市では、今頃は財政危機となり、数年後には破産なんてことに、なっていたかもしれません。
コウゲ部長は、市長選のときから、石丸市長を期待していたのでないかと思います。前回の市長選は、前副市長と石丸伸二の一騎打ちだったわけです。前副市長が勝ったら、田んぼアート事業は継続されていた可能性が高かったし、事業のスリム化も進むとは思えません。5年連続で赤字を垂れ流していた執行部の副市長には、たいした期待はできないですね。そのため、今までの赤字に、田んぼアート事業の借金が加算されます。また、田んぼアート事業の運営は間違いなく赤字で、これも加算されます。そして、事業のスリム化は進まなければ、赤字は雪だるま式に積みあがっていくでしょう。今頃は、安芸高田市の財政破綻が現実的な問題となっていたかもしれません。
コウゲ部長には、当然ですがこの最悪のシナリオを意識していたはずです。もし、2025年頃に、財政非常事態宣言を出す羽目になったら、その時は、自分が市幹部の一人として矢面に立つ、そんな悪夢がよぎっていたのでは…
石丸市長の誕生はコウゲ部長にとっては天恵だったと思います。公約から見て改革派なのは間違いないわけです。前職は銀行員だったので、財政再建はすんなりと受けいれるだろうと…
石丸市長は、早々に田んぼアートの中断を決め財政再建に舵を切ります。そして、事業の精査を始め、コストカットの山を築いていきます。
コウゲ部長は驚いたでしょう。田んぼアート中止は必須でしたが、その後の改革は、ゆっくりと進めだろう、いわゆるソフトライディングを予想していたはずです。そうしないと、市政に関わる各種団体や個人との摩擦は避けられず、結果として、議会が反発します。あの、ウルサ型の議員が揃った議会を敵に回したら、市政の運営は間違いなく困難になるでしょう。
ところが、石丸市長は公然と居眠り議員を名指し、その対処をしない議会を批判します。結果、議会との関係は悪化していきます。
安芸高田市職員は驚いたことと思います。石丸市長は自分たちの想定に収まるようなタマじゃなかったのですね。己の信念に基づいて、改革の道を突き進んで行くわけです。その石丸市長の後を、コウゲ部長は懸命に付いていったのだと思います。それは、あのウルサ型の議員と渡りあうことも含みます。
かくして、コウゲ部長のメンタルは鍛えあげられたわけです。
2024年3月5日、第1回(3月)定例会
・前段として、定例会の冒頭で、石丸市長は、「過去にした質問については、答弁しない」
「議事録をよく読んで勉強してください」と通告しています。
1)芦田議員(一般質問)「認定こども園」(2024/3/5)
芦田議員:吉田町にある、3つの幼稚園を統合して、同じ地区に幼稚園がある旧田んぼ
アート用地に移転させる理由があるか?
コウゲ部長:これも昨年3月の予算委員会で説明した通りです(遠慮がちに…)
大下議長:(部長に)答弁になっていないよう気がする。以前に言った、では答弁になって
いない。芦田議員は一議員として質問をしている。それに何年か前に言ったとい
うのでは、答弁になっていない(かなりお怒りで…)
石丸市長:1年前です(さすがの強心臓です)
議長:1年前でも一緒です。質問に対して答弁をしてください
市長:議員の責任として、準備をして質問に臨んでください。
それが仕事です(きっぱりと…)
芦田:私は質問にあたって議事録を何度も読み返した。答弁にいたっていない、執行部
は答弁したと思っているかもしれないが、答弁に至っていないと私が判断したものに
ついて、質問している。それと1年前にしたからそれでいいというのは、失礼だ。
答えられるところは、答えていただきたい。続いて、3番目の質問に……
(長々とクレームをしたのですが、なぜか次の質問に移っていきました)
・実際問題、コウゲ部長の言った通り、この質問は昨年の3月に答弁済みでした。
・「答弁に至っていないと私が判断したもの…」というのは、自分の主張から外れた
答弁(主張)は認めないっていうことでしょうか…
・コウゲ部長は、何とも言えない表情で芦田議員に答弁していました。芦田議員とは、顔見
知りというか、議員と幹部職員としても、それなりの付き合いがあったと思います。
やっぱり、やりづらいですね…
1)山本(数)議員(一般質問)「地域おこし協力隊と業務委託」(2024/3/6)
山本議員:①から⑩の業務が、同一受託業者による随意契約になっている。これは、財務規則で「なるべく2人以上の者から」となっているが、違反しないか?
(自ら随契って言ってますが…)
コウゲ部長:やむを得ないときは1社の見積もりでよいという意味、2人以上が必須でない。一般的に新しい事業を始める場合、事業をできるのが1社しかないとうのは、あり得るので、理解してもらいたい
山本:考え方の相違となるので、この質問は終わりにします。(逃げました…)
⑤定住PR改訂版印刷業務
⑥HP掲載コンテンツ制作 (HPをエッチピーって読んでいました)
⑦入城500年記念デザイン
⑨スマートフォン教室支援事業
以上は、受託業者よりより専門性を持った業者が他にもいると思うが、1社の
随意契約になった理由?
コウゲ:⑤は以前に行った業者が必要なデータを既に持っている。
⑥ホームページについては、すでに関連した業務に経験のある業者だから
(さりげなく、ホームページと訂正)
⑦市内に本所地にあり、当該業務の経験がある業者は1社のみ
⑨市内事業者での過去に実績のある2社による選考を考えていたが、1社が
入札参加資格の届出をしていなかったため。
・山本議員が、⑤⑥⑦⑨について、再度問いただすが、コウゲ部長(+ヤナガワ教育次長)
に、退けられました。
山本:(指名業者選定委員会の委員長である)副市長に質問、委員会内で、この①から
⑩の業務の発注について、異論は出なかったか?
米村副市長:随意契約理由を複数の委員で精査し、適正と判断し異論はなかった
山本:(次の質問)予定価格より落札価格が下回るのが通常である。
①から⑩のすべての業務で、設計のための参考見積額、設計額、予定価格、落札価格。契約額が、一致しているのは、偶然にしては、おかしい。参考見積を徴収していない業務でも、設計額から落札額まで同じというのは疑問、説明を求める
(だから、随意契約だって説明されたでしょう)
コウゲ:1社の場合は、あり得る、議員の言っているのは、2社以上での入札があった
場合。
山本:あたりまえだ、という意味か?
石丸市長;至極あたりまえの話(止めを刺しました)
山本:(次の質問)①から⑩も業務は委託による協力隊員受入れ態勢を取るために、
行政が絡んで組織化した経緯があります。業務委託の発注に疑義を生じることに
なっているのではないか。このまま、このような形態を続けることは、入札談合
等関与行為の排除、帽子並びに職員による入札等の構成を害すべき行為の処罰に
関する法律第8条に抵触する疑いを持つことになります。今回の発注形態を
取りやめるか、改善するか?
(随契ってわかっているのに、どう解釈すれば、こうなるのでしょうか?)
市長:(反問権)「行政が絡んで組織化した経緯」具体的にどういう意味か?
山本:今の設立当時の受託事業者が書き物にして提出している部分があるのですが
前副市長からこういった会社を作ってですねという記述があって、行政が絡んだ
と思った。そこを指している
市長:(反問権)「業務委託の発注に疑義」とは、何が問題だと?
山本:業務の設計書を作るうえで、参考見積書を受託業者から取っている。それを市の
設計とし、指名委員会ではこの会社しかいない、入札でやるよりこっちのほうが
ええんじゃという理由で、その業者を指名しとる。(中略)見積業者はその価格を
出したら落札、結果的にはその業者と契約となっとる。一つも競争性がないので、
最初から価格がその業者に筒抜けじゃないか
(また、繰り返し。このメンタルの強さはなんなんでしょう?)
(市長)いやいや(さえぎった感じでした)
山本:市長、ちょっと聞きなさいよ
(市長):「反問して余計わからなくなった」(呆れた感じで)
山本:いやいや反問じゃなくて、具体的に小学校の4年生でもわかるように説明しよる。
設計をするための見積書は受託業者から取って、その金額がすべてに行政文書の
中で同じ額でいっとる。最後はその額で契約されとる。これは、どう見ても競争性
にかけとる。そこに疑義があると思うんです。どうなんですか?
(支離滅裂)
市長:「行政が絡んで組織化した経緯」ですが、単に前の竹本副市長が、その協力隊員、
事業者に法人化したらと助言したと聞いている。「行政が絡んで組織化した経緯」などと、誇大な表現にはあたらない。
これ自体が、この表現自体が疑わしい(何かほかに思惑があるのでは?)
前副市長が将来を見据えて、法人化したどうかと、言っただけ。
「業務委託の発注に疑義」ですが、一切ないというのが、これまでの答弁で
明らかになっている。
このような契約形態は、本県以外でも行われており、当たり前の話。
随意契約、随契です。本当は入札がベスト、競争が生まれ、より質が高く費用が
抑えられるものが選ばれるため。しかし、そうならない現実があるので、今回の
ように随契が適用される。田舎は事業者が少ないため、随契にしか選べない場合が
ある。行政に馴染みのない方にはわからないと思うのですが…
(中略)
ご質問があった件については、安芸高田市は非常にうまくやってきていると評価して
います。それは、私が市長に就任する以前からの話です。他の自治体にも手本になる
ような形で続いていますので、適時見直しが必要となれば改めますが。このよく
わからない、疑いによって、止めることなどありえません
山本;今、市長が適時見直しを考えると言われたので、疑義が持たれるような部分は
適時改善されるように市長の答弁に期待します
(次の質問)この制度は、総務省から交付税が下りるが、それは実施年度か?
コウゲ:何人雇用しているかの調査があり、その年の交付金には入っていると認識
山本:総務省の地域おこし隊の要項を見ると、次年度に交付されるかと思ったが、
当該年度の交付で間違いないか?
コウゲ;当該年度で間違いない。ただし、特別交付税はまとめて入るので、確認はでき
ない(様々に要因があり金額が決まるため)(後略)
山本;(地域おこし隊)関連の業者の随意契約について、総務省は認めてきたか?
コウゲ:まったく問題ありません
(きっぱりと! 歌舞伎なら「見得を切る」場面でしょうか)
山本:(地域おこし隊の)総務省はその取り組みを事後的に調査の上、財政上の措置を
講じるものであるという…(中略)
先ほどの繰り返しの質問で、「単年度ではなく次年度に交付ではないか。単年度
で可能か」
コウゲ:毎年、人数と活動実績についた調査があるので、その都度(交付金が)入って
いるという認識。
山本:はっきり理解できる回答ではなかった。予算決算委員会で詳しく質問する
(特別交付性の何を問題にしているのか不明でした…)
というわけで、反市長派の急先鋒である山本議員相手をコウゲ部長が押し返した印象でした。
こんな質疑を経験して、コウゲ部長のメンタルは鍛えられたように思います。
・山本議員、随契を問題視していましたが、何か隠された意図でもあるのでしょうか?
・エイチピー掲載コンテンツと聞いたときは。HP製(ヒューレッド・パッカード社)の
PCに、特別のソフトがあって、何かすごいコンテンツを作っているのかと思いました。
しかし、答弁でコウゲ部長が、さりげなく「ホームページ(HP)」と、直していたので、ちょっと笑えました。
・コウゲ部長に絡んだ山本議員が、「おぼえてろよ」(予算委員会で詳しく…のくだり)と、
捨て台詞を吐いて、逃げたような印象でした。(これじゃ、中学生ですね)
・山本議員は、予算委員会でも地域おこし協力隊に関する質問をしていましたが、不発に終わっていました。
・しかしながら、山本議員はそのまま大人するわけでもなく、建設部の予算審議で、無理な資料要求を行い、その結果大混乱を引き起こしました。あらさがしのような質問を繰り返した挙句、言葉尻をとらえて、責め立てた結果でした。
議会での議論は市長を貶めるためだと、山本議員は勘違いしている印象ですね。途中で、
収拾がつかなくなって、撤退しようとしましたが、熊高議員にそれなら、発言を訂正したからだと、正論をぶっこまれていました。かなり動揺が見えたので、実際は臆病な性格かと思いました。
建設部というか、職員の大半を敵に回している印象があります。秋に自身の選挙ですが
大丈夫なんでしょうか。それとも、安芸高田市だと800票もあれば、議員に当選可能でしょうから、噂の市民団体の期待に応えているのでしょうか。
・このお方は、晩節を汚してまで何をしたいのか、問うてみたいです。
◆「石丸市長が往く」などのエッセイは、下記のサイトでまとめて掲載していきます。
https://nikki982.com/