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エピローグ

エピローグ


 五日後のニュートーキョウの病院。

 真っ青な青空が、病室の窓から覗いていた。

 もうしばらくは寝たきりの生活を余儀なくされた。

 ベッドの横では、簡易椅子に座った金髪の美女が、リンゴをむいてくれていた。

 イーシュは。するするとリンゴの皮を切り取り、食べやすい大きさに切っていた。

「じゃ、ここに置いとくわね」

「えー、俺、今、両手使えないんだけど」

 文句を言うと、イーシュは戸惑った表情をした。

「えっ、あっ。でも……」

「あーーん」

 と、寝たままのジェリドは口を開け、イーシュにアピールをした。

――――殺気!

 怪我人とは思えない身体捌きで、ジェリドは避けた。

 先ほどまで、ジェリドの口があった場所に、フォークが通り過ぎて行った。

 フォークには、何もささっていない。

「リンゴが、ついてないんだけど。……ミネルちゃん?」

「問題ない」

 フォークを持ったミネルが、ジェリドに答えた。

 イーシュと共に、ジェリドの見舞いに来ていたミネルは、目になにやら怒気をひめていた。

 そのままミネルは、ニ撃目を繰り出さんとフォークをジェリドに向けた。

「……ミネルちゃん」

 イーシュは、少しだけ困ったような顔をするだけで、妹を止めようとはしていない。

 ジェリドの悲鳴を上げた。

「ちょっと、待った!」

 ジェリドにとって救世主とよべる人間が、病室に現れた。

「何をやってるんですか?」

 学生服を着たヤマトであった。

 隣には、同じように学生服を着たサヤカの姿もあった。


 あの後――――ドレイクを倒した後、全員の無事を確認した〈ヴァルハラ〉の面々は、昨日の昼に、ニュートーキョウに戻ってきた。

 ついた途端、ヤマトとジェリドは病院に送られた。

 と言っても、ヤマトは、大した怪我も見当たらず、次の日には退院となった。

 ジェリドは入院、ヤマトは学業に戻って行った。

 イーシュ達は事務作業やら、軍への報告やらに追われた数日間であった。

 今日は、サヤカに誘われ、学校の帰りにジェリドの見舞いにきたのだ。


 イーシュの仕事は、早い。

 今回の事件は一応の決着がついたそうだ。

 ドレイクが、ドゥームシティに出現。

 すぐさま退治されたという正式発表がされた。

 ヤマトの父親や、その背後については、証拠不十分として継続的に調査されるという扱いになった。

 実質の見送りである。

 だが、サヤカ達の父親は依然として行方不明扱い、ヤマトの父親は死亡という事になるらしい。

 また[ワルキューレ]も、正式に〈ヴァルハラ〉の所属になる事になりそうだった。

 軍部でも何者かによるハッキングの跡が見つかり、データも復元された。

 その結果、[ワルキューレ]は、サヤカ達の父親の物と判断されたのだ。

 粒子砲[グングニル]は、最後の一撃を放った後、使い物にならなくなった。

 回路は焼き切れ、砲身も壊れた、残骸は軍に押収された。[ワルキューレ]内のサブシステムも、ブラックボックス化しており、調査不可能と判断された。

 [ワスプ]やら、[デュアルホーン]の修繕費も、戦利品である[バロール]の残骸は売り払う事で賄えそうとの事だ。


 病院からの帰り、バス停。

 バスを待つヤマトは、隣に立つサヤカをちらりと見た。

 何故かサヤカを連れだって帰宅している。

 間が持たず、ヤマトはどうでも良い話を切り出した。

「今日、木曜だっけ」

「ん? そうだけど」

 振りかえったサヤカの表情は、明るい。もうヤマトを睨んではいなかった。

 前とは雲泥の差だ。

 そんな表情を見たら、男から人気がある理由が分かった。

 やっぱり女の子は笑っていた方が良い。ヤマトはそう思った。

「ああ、新しいバイトの情報が出る日だなって思ってさ」

「何、バイト探しててたの?」

「まあな」

 ヤマトは、自身の情報端末を出そうとした。

「ねェ、コスギ」

「何だ?」

「〈ヴァルハラ〉は、バイト募集してるわよ」

 ヤマトの動きが止まった。

「お前にそんな権限あんの。それならイーシュさんに頼んだ方が早そうだ」

「これでも〈ヴァルハラ〉の取締役なんだけど」

 サヤカは、不服そうな顔をした。

「はいはい、イーシュさんは代表取締役だろ」

「そうだけど」

 ヤマトは、頭を掻いた。

――――どうすっか?

「この前みたいなのは、もうゴメンだぜ」

 サヤカは、肩をすくめた。

「私もよ」

。そりゃそうだと思いながら、ヤマトは小さな一歩を踏み出す事にした。

「フジムラ、イーシュさんに話を通して貰えるかな」

 意外そうに、一瞬キョトンとした顔をしたサヤカだったが、ニッコリと笑った。

「分かった、言っとく。あと私の事はサヤカって、呼んで良いよ」

 何となく小恥ずかしくなったヤマトは、鼻の頭を掻いた。

「ああ、……サヤカ」

「うん。ようこそ〈ヴァルハラ〉へ」

 サヤカは、まっすぐ手をヤマトに差し伸べてきた。

(了)


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