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異常調査部〜院内発砲事件〜【2】  作者: 月ノ羽ルナ
7/24

仕事病

午後18時00分


休日の夕食どきの時間帯、どこの飲食店も混み合って来る中、不審な人物達が人混みから外れた場所へと集まっていた


雨野あめの

「どうすんだよっ、影上の奴サツに捕まったぞ!なんでまた、盗みなんてしたんだ、あの野郎!」


西川さいかわ

「俺に言われたって知らねーって!!どうするんだよ!」


二人の視線を受けた人物… 穢佇えだちは、苛ついた顔で携帯を操作していた


穢佇えだち 

「騒ぐな。今、隅田に連絡してる」


雨野あめの

「つってもよ…隅田も所詮はサツだし、いつ裏切るか分からないだろ。施設にも連絡あったぐらいだし…いずれ連んでた俺たちにもーー」


穢佇えだち 

「分かってるって!!いいから黙れよ」


パニックになっている雨野あめのを一喝すると、持っていた携帯がピカリと光った。隅田すみだから返信が来たのだと思い、穢佇えだちは直ぐにメールを開く


『お前の仲間が口を割る前に、事件の容疑者として引き取った。お前達も逮捕する、口裏を合わせろ』


その内容は、雨野あめのが予感していた様に"裏切り"とも取れた。読み終えると、穢佇えだちは俯く


雨野あめの

「な、なぁ…隅田は何て言ってんだ…」


西川さいかわ

「貸せ!」


力なく項垂れる穢佇えだちから携帯を取り上げると、開いたままの隅田すみだからの返信を読む


西川さいかわ

「んだよ…これ、逮捕するって…マジかよ」


雨野あめの

「やっぱり隅田の奴、裏切りやがった。くそっ!」


見放された怒りから、雨野あめのは壁に拳を叩きつけた。穢佇えだちは俯いたまま口を抑え、ふらふらと二、三歩進むと、その場でしゃがみ込み肩を震わせた


雨野あめの西川さいかわの二人は、今まで見た事のない仲間の反応に、お互い顔を見合わせ戸惑う


西川さいかわ

「穢佇が一番信頼してたんだよな、無理もないか」


雨野あめの

「大人なんて信じるんじゃなかった」


背後から聞こえて来る会話に、穢佇えだちは必死に笑いを抑えていた


穢佇えだち

(馬鹿な奴ら)


穢佇えだちからすれば、逮捕なんて怖くはなかった。警察である隅田すみだとは、お互いが利用し合っていたに過ぎない


影上かげうえが捕まり、俺たちと関係がある事をバラされる前に手を打っただけだ。…自分の身可愛さに俺たちを捕まえる…確かに"裏切り"かもしれない


だが、雨野あめの西川さいかわは知らない…予め隅田すみだとは、仲間の誰かが逮捕されれば全員道連れにすると決めていた


だから、証拠にできるようにわざと、関連付くロゴマークまで作った


少し意外だったのは、あの気弱な影上かげうえが、誰かの命令もなしに、朝から窃盗をした事ぐらいだ


穢佇えだち

(全員捕まって当然の奴ら。やっと縁が切れると思うとせいせいする)


携帯を取られる前に、居場所をメールで教えた。隅田すみだは直ぐに来るだろう


隅田すみだだって、早くにこいつらを逮捕したかった筈。なのに危険を犯しわざわざ連んだのは、俺と同じだから


穢佇えだち

(賢い奴は、汚れた服を雑巾にして使い、最後は捨てる…)


こいつらを道連れにして、罰を与え罪人を裁けるのなら、逮捕の一つや二つ構わない


勿論、これで終わるつもりじゃない…むしろこれをきっかけに、何度だって罪人に制裁を与えてやる


薄暗い闇の中、穢佇えだちは冷たい目で闇を見据えていた




ーーー ーーー ーーー ーーー



同時刻


休日の夕飯時という事もあって、どこの飲食店も並んでこそいないが、混み合って居た


天気予報通りに、昼から降り出した雨は、とっくに本降りになっており、そのせいか色んな飲食店からたまに、出前用のバイクが何台か走っていく


そんな様子を、待ち合わせ場所として指定された、店の軒下で話しながら、見ている二人の男女が居た


蔡茌さいし めぐる

「つまり杉野千は、俺が鑑識課に移動した情報しか知らなかったらしい。昔から、書類整理とか事務的な事は苦手だったからな…そんな俺の姿を見ていたからこそ、鑑識課の仕事が向いてないと、思い込んだらしい…」


そう言われた曳汐ひきしおは、仕事中のめぐるを少し思い返してみた


パソコンと向き合って居る時、心底死にそうな顔をしていたし、書類整理とかも性格からは、想像できないくらいに雑さと言うか…不慣れさが目立っていた気がする


曳汐ひきしお 煇羽やくは

(納得)


曳汐ひきしおは口には出さないが、心の中でめぐるの言葉にうなづいてしまう


それと同時に、彼女の異様なぐらいの心配にも納得する事が出来た


最近の異常調査部の仕事は、かなり地味な作業が多かった挙句、目に見えた他部署からの嫌がらせ……


そう言ったものに慣れていないせいで、かなり疲れ切っていた。彼女は、そんな顔の彼を見て、鑑識課の仕事がピークにきていると、早とちりしてしまったのだろう


曳汐ひきしお 煇羽やくは

(あながち間違いじゃない気もするけど)


蔡茌さいし めぐる

「訓練士の事を伝えたら、早く言ってくれって怒られたよ」


曳汐ひきしお 煇羽やくは

「異常調査部の事も伝えたんですか?」


蔡茌さいし めぐる

「あぁ。刑事課程度にしか説明してないけど」


流石に、警察署内で恨まれている、異常調査部と言う事までは言えなかった


蔡茌さいし めぐる

「そしたら、直ぐに俺が辛そうなのも納得だって…そんなに、顔に出てるかな」


最後の方は、めぐるの独り言だった。曳汐ひきしおも特に反応を示さない


蔡茌さいし めぐる

「色々と巻き込んでしまって、すまない」


本来なら、全く関係のなかった筈の曳汐ひきしおは、二人の話に巻き込まれてしまった


それを申し訳なく思い、めぐるは深々と頭を下げる


曳汐ひきしお 煇羽やくは

「私は杉野千さんと、お話ししてただけなので。とにかく、誤解が解けた様で良かったですね」


蔡茌さいし めぐる

「あ、あぁ…ありがとう」


いまいち、曳汐ひきしおの反応が分からず、曖昧な返事をしてしまう


先に待ち合わせ場所に着いた二人。めぐるは丁度良いと思い、置き去りにしてしまった事を誤ったのだが「杉野千さんとは、どうなりましたか?」と話題を振ってきたのは、彼女だった


巻き込んでしまった以上、事の顛末を話した方が良いと思い、追いかけた後の話をしためぐるだったが、反応を見るに果たして正解だったのかは、分からなかった。むしろ迷惑だったのではと、不安になってしまう


蔡茌さいし めぐる

「……」


曳汐ひきしお 煇羽やくは

「……」


雨音と、背後の店から微かに聞こえる人の声が、やけに騒がしく聞こえる


すごく、気まずい空気が流れている気がしためぐるは、落ち着きなくキョロキョロと辺りを見回す


曳汐ひきしお 煇羽やくは

「黎ヰさんから、電話で聞いていましたし、雨に濡れたぐらいで体調を崩す様な体でもありません。ご心配なく」


ふと、何の前触れもなく曳汐ひきしおが言った


蔡茌さいし めぐる

「…え…」


あまりにも突然で、脈絡がなかったせいもあり一瞬、何を言われて居るのか分からなかったが、めぐるはすぐに、出会い頭にした話題の続きだと気づいた


蔡茌さいし めぐる

(曳汐なりに、気を遣ってくれたの…か?)


そう考えてみるも、なんだか少し違う気がした


あくた 昱津いくつ

「早いね…二人、とも」


肩に手が置かれ、予想してなかっためぐるは寒気と共に驚く


蔡茌さいし めぐる

「?!」


曳汐ひきしお 煇羽やくは

「今晩わ、芥さん」


最初からあくたの存在に、気づいていた曳汐ひきしおは、呑気に挨拶をした


あくた 昱津いくつ

「や、煇…羽ちゃん、驚かそうと…した、のに…失敗」


残念そうに笑うあくたに、めぐるは眉をひそめる


蔡茌さいし めぐる

「だったら、どうして俺の方に?」


あくた 昱津いくつ

「だって…煇、羽ちゃんの、背後に近づいて…投げ飛ばされたら、痛い…もん」


蔡茌さいし めぐる

「投げ飛ばすって、いくらなんでも、それはーー」


窃盗犯が吹っ飛んだ時の事が、フラッシュバックしてしまい"ない"と言い切れず、言葉を詰まらせる


曳汐ひきしお 煇羽やくは

「ご懸命な判断かと。予期しない場面だと、相手を先に牽制してしまいますから」


あくた 昱津いくつ

「えへへ〜だと、思っ…た」


にっこりと笑い合う二人に、めぐるは聞き慣れない物騒な会話に、突っ込む気も起こらず、苦笑いをする


カラン


黎ヰ(くろい)

「まだ早いってのに、全員揃ってるね〜。いらっしゃい」


当たり前の様に、店の中から出てきた見知った顔に、今度は三人が目を丸くして驚いた


曳汐ひきしお 煇羽やくは

「これは…驚きました」


蔡茌さいし めぐる

「黎ヰっ?!」


黎ヰ(くろい)からは、振り返り間抜けた三人の顔がよく見え、愉快とでも言うようにニヤリと笑う


黎ヰ(くろい)

「その反応、最高っ!取り敢えず、中へどーぞ」


説明を求める前に、黎ヰ(くろい)に促された三人は顔を見合わせ、そのまま店の中へと足を進めた


案内された部屋は、大きい窓ガラスが特徴的な個室で、真ん中にある机の上には、チーズがたっぷりと入った鍋と、一口サイズのパンやウィンナー、チキンに温野菜などが置いてあった


蔡茌さいし めぐる

「…チーズ、フォンデュ」


好物のチーズ料理に、自然とめぐるの目は輝く


黎ヰ(くろい)

(お昼は大体、チーズ食べてんもんなぁ〜)


昼食時、めぐるが作ってきていたお弁当や、買ってきた物には、必ずチーズがあるのに気づいていた黎ヰ(くろい)は、予想が当たり小さく笑った


曳汐ひきしおあくたも今晩のご飯会は、疲れているめぐるに対しての、気分転換なのを察していたので、チーズだらけの食事に関しては、特に疑問に思わなかった


黎ヰ(くろい)

「念の為、酒類は無しの方向で。今日は、色々あり過ぎたからなぁ〜こう言う日は、油断しないに限る」


心当たりのある、めぐる曳汐ひきしおとは違い、何も知らないあくた黎ヰ(くろい)の袖を引っ張った


あくた 昱津いくつ

「ね〜え、なんの…話し?」


黎ヰ(くろい)

「食べながらにしねぇ?普通に、腹減った」


その言葉を合図に、四人は座り机を囲った


そこで、今日一日の出来事を何も知らないあくたに、めぐる達はそれぞれ説明していった


先ず、めぐる曳汐ひきしおが、窃盗犯と遭遇し捕まえ、めぐるの昔の後輩と会った事…


流石に、過去の話までは込み入っているので省き、窃盗の被害に遭った喫茶店の子と知り合い、美味しいデザートを、ご馳走になった事までを話した


黎ヰ(くろい)

「俺は、紾ちゃんと曳汐の代わりに、交番に挨拶しに行っただけ」


曳汐ひきしお 煇羽やくは

「そう言えば、様子はどうでした?」


黎ヰ(くろい)の話で思い出し、曳汐は交番の様子を聞いた


黎ヰ(くろい)

「俺が着いた頃には、少年課に送られてた。明日辺り、皐月周にでも聞けば、情報ぐらいはくれそうだけどなぁ〜」


隣でそんな話しを聞いていためぐるは、黎ヰ(くろい)があの場に居た理由を知ると、頭を下げた


蔡茌さいし めぐる

「休みの日に面倒を掛けて、すまなかった」


黎ヰ(くろい)

「それが俺の特権♪」


申し訳なさそうに謝るめぐるに対し、黎ヰ(くろい)はピースをしニヤリと笑みを返す


黎ヰ(くろい)

「それに、街の平和守ったんだから、胸張っときな」


そう言われためぐるだったが、パッとせず素直にうなづけなかった


蔡茌さいし めぐる

「少し、大袈裟じゃないか。捕まえたのは曳汐が居たからでーー」


曳汐ひきしお 煇羽やくは

「対応して下さったのは、蔡茌さんです」


曳汐ひきしおが遮った事で、言葉の行き場をなくし、めぐるは微妙な顔をし困ってしまう


あくた 昱津いくつ

「なら…曳汐ちゃんと、紾君と、黎ヰ君の…リレープレーだね」


蔡茌さいし めぐる

「それを言うなら、チームプレーだろ」


"チームプレー"自然と出たその言葉…何かに気づいためぐる。それを察した黎ヰ(くろい)は、ハサミを伸ばし彼の頬を、柄で突いた


蔡茌さいし めぐる

「……何するんだ」


黎ヰ(くろい)

「クククク…確かにチームプレーだなぁ。曳汐が犯人制圧して、紾ちゃんが引き渡してくれた。その場に居なかった俺じゃ、関わる事すら出来なかった事件だ。だから二人とも、関わらせてくれて、あんがと」


そう言った、黎ヰ(くろい)の目は"何事も一人じゃ出来ない"と、伝えてくれている様な気がした


黎ヰ(くろい)の言わんとする事が分かり、めぐるは少し照れ臭いながらも、頷いた


蔡茌さいし めぐる

「あぁ」


あくた 昱津いくつ

「それに…しても、皆んなして…仕事病、だね」


千切れたパンを、そのまま食べていたあくたが、半ば呆れつつ言った


曳汐ひきしお 煇羽やくは

「休日でしたし、何となく見回りをしていただけなんですけどね」


苦笑いをし、自覚のあった曳汐ひきしおが同意する


あくた 昱津いくつ

「蔡茌君は…気づいてなさ、そう…」


蔡茌さいし めぐる

「休みの日でも、不審者がいれば捕まえるだろ。仕事病じゃなくて、職業柄仕方ない事なんじゃないか?」


黎ヰ(くろい)

「紾ちゃん〜芥が言ってんのは、そもそも論」


めぐるは、窃盗犯を捕まえた事についてだと思ったが、黎ヰ(くろい)の口調からするに、どうやら違うらしい。なら一体、何の事を言われているのか…


めぐるが頭を悩ませていたら、机の上に腕と頭を乗せたあくたが、えへへ〜と笑いながら喋る


あくた 昱津いくつ

「仕事以外にも…調査現場に…行ってるでしょ、だから…仕事病〜」


蔡茌さいし めぐる

「そうか、あの場所は…」


照井ユミが失踪した場所だった。何となくで行ったと思っていたのに、自分でも気づかないうちに、連日調査に訪れていた場所へと、足が向いていたらしい


蔡茌さいし めぐる

「はぁ…そうだったのか…」


めぐるは額に手の平をのせ、ため息をついた


曳汐ひきしお 煇羽やくは

「落ち込む必要はないかと。結局は、人の役に立ったんですし」


言いながら曳汐ひきしおは、めぐるの空になっていたコップに、お茶を注いだ


あくた 昱津いくつ

「そう、だよ。僕なんて…新作のゾンビ映画…観てただけだし」


次はあくたが、めぐるの取り皿にブロッコリーと鶏肉を、積み木みたいに積んでいく


黎ヰ(くろい)

「この場で、仕事関連の話しばっかしてる事自体、仕事病の集まりじゃね?つーわけで…」


フォンデュ用のフォーク2つを持つと、黎ヰ(くろい)は目に入ったトマトを適当に刺した。そのうちの1つをめぐるへと差し出す


蔡茌さいし めぐる

「…皆んな、ありがとう」


気遣いが嬉しくて、めぐるは感謝の言葉を口にし、黎ヰ(くろい)が差し出してくれた、フォークに刺さったトマトを受け取った


黎ヰ(くろい)

「んじゃ、乾杯」


コツンと、黎ヰ(くろい)がトマト同士を軽くぶつける。その独特な乾杯の仕方に、めぐるは可笑しくなり顔を綻ばせた


それから、四人は世間話をしながら、熱々のチーズフォンデュを楽しんだ


曳汐ひきしお 煇羽やくは

「ところで、黎ヰさん」


黎ヰ(くろい)

「ん?どうした」


曳汐ひきしお 煇羽やくは

「どうして、先にお店の中に居たんですか」


黎ヰ(くろい)の表情が苦いものへと変わる


何て言おうかと考えるも、一番最初に思いついた言葉がしっくりくる気がして、そのまま口にする


黎ヰ(くろい)

「ストーカー」


蔡茌さいし めぐる

「なっ?!」


曳汐ひきしお 煇羽やくは

「あら、それは大変ですね…良ければ撃退しましょうか」


めぐるは、物騒な事を言う曳汐ひきしおを慌てて止める


蔡茌さいし めぐる

「暴力は駄目だ。黎ヰ、相手は分かってるのか」


黎ヰ(くろい)

「……多分」


煮え切らない答えに、いつの間にか、背後に移動していたあくたが、黎ヰ(くろい)に飛びついた


あくた 昱津いくつ

「それって…金髪の男の子…でしょ〜、ここに来る途中で…この辺りをぐるぐるしてた子…見たもん…」


黎ヰ(くろい)

「芥、重めぇ〜。やっぱ、まだ居たか」


黎ヰ(くろい)が昼前にめぐると話した後の事だった。その人物は、黎ヰ(くろい)の自宅の周りを彷徨って居た


自宅に入った後も相手は何もせず、ただマンションを見張っていただけだった。そして、黎ヰ(くろい)が外に出たのを確認すると後をついて来た


曳汐ひきしおから、世瀬よせ 芯也しんやが接触して来たと聞いた事もあり、何となく正体に気づいた黎ヰ(くろい)は、害はなさそうだが、せっかくのご飯会を台無しにされたくもないので、相手の尾行を振り切ったのだった


そして、雨を理由に先に店の中へと入れさせて貰っていた


黎ヰ(くろい)

「まだ害はーー」


その時だった


大きな窓に、足音と共にいくつもの人影が横切るのが映った


「待ちなさい!」


「逃げろ、くそっ」


「なんでサツが居んだよ!」


「馬鹿がっ、慌てるな」


誰かが誰かを追う声と、必死に逃げようとする声が聞こえた。抵抗してるのか、外で物が倒れたりと大きな音が響く


かなりの騒ぎになっていると判断し、黎ヰ(くろい)がいち早く、外へと駆け出す中、曳汐ひきしおめぐるも直ぐに続く


あくた 昱津いくつ

「えぇ〜…僕を、置いてかないで…」


正直、暴力騒ぎには関わりたくなかったが、心細さの方が勝ち、あくたは嫌々ながらも後を追った

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