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異常調査部〜院内発砲事件〜【2】  作者: 月ノ羽ルナ


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11/24

かつての…

院内発砲事件まで…7時間


取調室から追い出された、皐月さつきめぐるは、曳汐ひきしおから黎ヰ(くろい)が渡さなかった資料を受け取ると、ある理由で署から近い公園へ向かった


資料には穢佇えだち雨野あめの西川さいかわ影上かげうえの4人が、同じ児童施設で育ち、学校の同級生だと言う事が書かれていた


そして、不起訴になっているが穢佇えだちは、三年前に放火犯として逮捕されている。放火の場所が空き地だったのと、出火元が消し忘れの煙草の火と言う事もあり、故意じゃないと証明された


雨野あめの西川さいかわは、小学生の頃から何度か万引きで捕まっていたり、気に入らない相手に喧嘩をふっかけたりもしていたらしく、施設内では有名な悪だった


今回、白昼堂々とナイフを振りかざし、強盗に及んだ影上かげうえは、中学の時に下級生相手に暴力事件を起こしていた。下級生側にも被があったと、目撃証言により分かり、警察沙汰にはならずに済んだ


皐月さつき しゅう

「信じられません!黎ヰさんは、どうして先に僕達にこれを見せなかったんですか。分かっていれば、もっと違う聞き方だって出来ていましたよ!」


だいたいを読み終えた、皐月さつきの第一声は黎ヰ(くろい)への文句だった


その怒りは最もだが、きっと黎ヰ(くろい)なりの理由があるのだと思うと、めぐるは怒る気になれなかった


蔡茌さいし めぐる

「ま、まぁ。今こうして資料を見れたんだから良しとしよう」


皐月さつき しゅう

「優しすぎます。確かに今さら責め立てても仕方はありませんけど…」


納得出来ないのか、ムスッとする皐月さつき。なんて言おうかと悩んでいた矢先、のそのそと歩く中年の男が現れ、公園のベンチに座った


皐月さつき しゅう

「蔡茌さん、あの方です」


見知った顔を発見すると、気持ちを切り替えた皐月さつきは、めぐると共に男の元へと行く


茂望しげもち

「何だ、君達は」


紙コップに入っているコーヒーを飲みながら、その男は不愉快そうに二人を見上げる。ギラリと光る目には、只者ではない雰囲気が漂っている


皐月さつき しゅう

「毎週、この時間に必ず現れると言う噂は本当だったんですね。元捜査一課の茂望さん」


茂望しげもち

「何処かで見た顔かと思えば、少年課の餓鬼か」


皐月さつきの事を良く知っている茂望しげもちは、どこか懐かしそうに目を細めた


皐月さつき しゅう

「その節はどうも。こちらは、刑事課の蔡茌さんです」


当時、揉めていた事を思い出し、苦笑いを返す皐月さつきは、隣に居るめぐるを紹介した


蔡茌さいし めぐる

「刑事課、異常調査部の蔡茌紾です」


茂望しげもち

「刑事課?成る程…ついに、隅田が何かやらかしたか」


隅田すみだとは付き合いの長い茂望しげもちは、二人が自分に会いに来た理由を当てた


皐月さつき しゅう

「その事で、お話を伺いたく」


茂望しげもちは、胸元から煙草とマッチを取り出すと火をつけた


茂望しげもち

「…ふぅ。俺らぁ一ヶ月前に刑事辞めた身だ、何も話す事はない」


空へと上がる煙を見つめる茂望しげもちは、そのまま言葉を続けた


茂望しげもち

「まぁ、でも…隅田が関係してるなら話は別か、あいつは変わっちまった。一課の奴らも薄々は気づいてる、だが信じたくないんだろう。お前はどうだ少年課の餓鬼」


皐月さつき しゅう

「皐月です。隅田さんはずっと少年課の僕達を助けてくれました、茂望さんだってご存知でしょう」


茂望しげもち

「あいつ、俺が事件にするなって言っても聞きやしない…お陰で仕事ばっか増えるわ、上からお小言をくらうわ、少年課と関わって良い事なんて、一つもないのにな」


吸った煙を皐月さつき目掛けて吐き出し、皐月さつきはゴホゴホと咳をしながら、煙を片手で払う


茂望しげもち

「だいたい、こちとら何件もの凶悪事件抱えてんのに、何が悲しくて未成年犯罪の手伝いしなきゃならないんだか…刑事課のあんたなら分かるだろ」


蔡茌さいし めぐる

「は、はぁ」


話を振られためぐるは曖昧に返事を返す


茂望しげもち

「未成年と言えど完全な"白"じゃない、何かしらある…だからと言って、それをいちいち事件にしてたら、きりがない」


皐月さつき しゅう

「それが少年課と一課の確執です。何でもとは言いませんが、僕達は未成年者事件の再発防止の為に事件化をお願いします。ですが、茂望さんのような意見が殆どで…」


蔡茌さいし めぐる

「なるほど…」


万引きや喧嘩を繰り返す、雨野あめの西川さいかわが捕まっても、すぐに釈放される理由でもあるのだろう


茂望しげもち

「それを隅田はいちいち話し合って、親身に接してた…俺がどうして少年犯罪を気にかけるって聞いたら、娘に顔向け出来ない事はしたくないんだとさ」


短くなった煙草を、地面へと捨てると足で踏み火を消しながら、茂望しげもちが呟く


茂望しげもち

「…そーいや三年前、煙草が原因で捕まった未成年者が居たっけか」


紙コップのコーヒーを一気に飲み干すと、踏んづけた煙草を拾い、その中へと入れる


茂望しげもち

「そん時は、確か放火が多発しててな。まっ、俺から言わせれば、受験シーズンにはよくある事だ。被害者は居ないし、どれもボヤ騒ぎ程度で、結果的に言えば連続放火じゃなく、連鎖的な犯行だった」


蔡茌さいし めぐる

「もしかして、穢佇君の事ですか」


先程、読んだ資料を思い出す


茂望しげもち

「そこまで掴んでんのか、なら話は早い。俺達は複数犯の連鎖的犯行だって掴んでた、だがある日穢佇と言う少年が逮捕された。聞けば目撃証言があったらしい…それを知った隅田は、必死こいて何とか連続放火じゃないと証明させてたが、一件だけはどうにも出来なかった。裏の権力ってやつだな…」


手持ち無沙汰になった茂望しげもちは、二本目の煙草を取り出すが、火をつけずにもて遊ぶ


茂望しげもち

「結局、放火事件は穢佇って奴が頭下げて、不起訴で終わっちまった。急に事件にしゃしゃり出て来た警部が居てな、真犯人はそいつの息子だって事は分かっちゃいたが、もうどうにもならんかった。気の毒だが仕方ない事だ」


皐月さつき しゅう

「そんな事が、許されるんですか!」


怒りのあまり皐月さつきは、思わず拳を握りしめた。それと同時に、穢佇えだちが警察を嫌い拒んでいた理由が分かり、悔しがった


怒鳴られた茂望しげもちは、予想通りの反応をする皐月さつきには目も暮れず、隣で絶句しているめぐるを見る


茂望しげもち

「あんたは、この話を聞いてどう思う?」


何か試されているような、そんな目を向けられめぐるは、正直に口を開く


蔡茌さいし めぐる

「…当時の事件について、俺は何か言う気はありません。ですが、穢佇君はその事が原因で、自分の人生を犠牲に隅田さんと、何かしようとしてるんじゃないですか」


茂望しげもちは全てを知っている。そして、それを話すかどうか試されているのだと、めぐるは自分を探ろうとしている目を見て思った


茂望しげもち

「……この仕事で、一番ツライ事は何だ?」


持っていた煙草を指で折ると、茂望しげもちはベンチに腕を回し空を見上げた


一瞬、話を逸らされたと思った皐月さつきだったが、茂望しげもちの物悲しそうな雰囲気に仕方なく答える


皐月さつき しゅう

「事件の再犯を許してしまう事です。一度捕まえて説得しても、少年犯罪はなかなか解決しないのが、現状ですから」


茂望しげもち

「お前さんは?」


めぐるは、この間の事件を思い出した。廃校舎で発見した死体かのじょは、どうして死ななければならなかったのか…その理由を追っても、未だ答えを見つける事が出来ていない…そんな自分を不甲斐ないと、ずっと思っている


蔡茌さいし めぐる

「奪われた命を救えず、その理由すら解明出来ない事が…俺は、どうしようもなく…辛いです」


茂望しげもち

「奪われた命…か、刑事課らしい。俺はな…被害者だった奴が加害者になる事が、何よりもツライ。権力や金で罪から逃れた奴を、被害者側の人間が恨みを晴らしちまう。何十年も捜査一課で働いてるとな、たまにそう言った事件に出会でくわしちまうんだよ」


曇り空を見ていた茂望しげもちは、そのまま話を続ける


茂望しげもち

「正直な所、俺はな…罪から逃れた奴らに制裁が下されたとしても、自業自得だと思っちまう。だからと言って、新たな罪を見逃しはしないがな」


自傷気味に笑う茂望しげもちに、二人は何も言えなかった。その顔にいくつもの犯罪に対しての、葛藤と戦い続けた、かつての警察官としての生き様を感じたからだ


茂望しげもち

「酷い話だろ。被害者に同情しながら俺は、彼等を逮捕してる。だが…それも所詮は、他人事だから出来た事だった」


暫くの沈黙の後、茂望しげもちは何かを決心したように、ゆっくりと口を開いた


茂望しげもち

「…2ヶ月前…例の警部の息子が、隅田の手により逮捕された、決定的な証拠と共にだ…罪状は、三年前と同じ放火。誰が撮ったか分からない動画に、現場には髪や指紋までが検出された、放火にしちゃ不自然なまでにな。それからだ…誰も言い逃れできない証拠と共に、隅田が少年犯罪を撲滅していったのはな」


明らかに、不自然過ぎる隅田すみだの行動には、誰か協力者が居る。遠回しながらも茂望しげもちは、そう伝えていた


茂望しげもち

「俺には隅田を止める気はないし、その権限すら持たない。罪を容認しちまった時点で、俺は警察官の資格も、あいつの友人を名乗る資格もない」


皐月さつき しゅう

「そうやって、あなたは逃げたんですか」


間違いを犯す隅田すみだの近くに居ながら、何もしなかった茂望しげもちに、皐月さつきは厳しい目を向けた


茂望しげもち

「……何十年も人間を見てきて、分かった事がある。間違った道でなければ、生きていけない奴だって居るってな」


自分の人生を通し見てきた事柄に、茂望しげもちはそう結論付けた


茂望しげもち

「俺が話すのはここまでだ。後は、自分達で真実を見つけろ、若い時の苦労は死ぬまでしろって言うだろ」


皐月さつき しゅう

「言いませんよ。蔡茌さん、行きましょう」


わざと、言い間違いをする茂望しげもちを冷たくあしらった皐月さつきは、スタスタと歩き出す。一秒でもここに居たくないと言うのが、その苛立った背中からひしひしと伝わった


茂望しげもち

「これだから、あいつはいつ迄も餓鬼のままだ…なぁ、あんたも俺が逃げたと思うか」


この質問は、単に茂望しげもちの好奇心からだった


蔡茌さいし めぐる

「いいえ」


茂望しげもち

「どうして、そう思う」


蔡茌さいし めぐる

「決まった時間にここに居るのは、俺達を…隅田さんを止めれる人間を、待って居たからじゃないですか」


でなければめぐる達が、退職した茂望しげもちをこんなに簡単に見つける事は出来なかった筈だ


茂望しげもち

「どうとでも思ってくれ」


素直に頷かない茂望しげもちに、めぐるは頭を下げると、皐月さつきが歩いて行った方へと足を進めた


茂望しげもち

「"英雄"が居た頃は、警察もこんなんじゃなかった。光が消え去ると闇が全てを覆い隠す。世界ってのはそういうもんだ」


ふと背後から、そんな言葉が聞こえた


蔡茌さいし めぐる

「あの、英雄って…」


何となく気になり、めぐるが振り向くと、ベンチに座っていた茂望しげもちは、すでに反対側に向かって歩き出していた


蔡茌さいし めぐる

「……」


去っていく茂望しげもちの後ろ姿を見つめながら、めぐるは理由もなく騒つく胸を押さえたのだった



ーー


ーーー


無事、皐月さつきに追いつく事が出来ためぐるは、茂望しげもちから聞いた話をまとめる


蔡茌さいし めぐる

「隅田さんと穢佇君は、三年前に接点があったんだ」


皐月さつき しゅう

「はい。風十君は冤罪で捕まり、隅田さんは知っていながら、どうする事もできなかった…きっと悔しかったに違いありません」


隅田すみだの気持ちを代弁する皐月さつきに、めぐるは今まで、聞こうかと悩んでいた疑問を口にする


蔡茌さいし めぐる

「隅田さんが、変わってしまった理由は…昨日言っていた娘さんが原因なのか」


皐月さつき しゅう

「…すみません、ちゃんと話さないといけませんね。分かってはいたんですけど」


きっと、皐月さつき君は複雑な気持ちを抱えているんだろう。彼が隅田すみださんを、どれだけ慕っているのかは、話を聞いていれば良くわかる


そんな存在が、間違った道を行こうとしている…茂望しげもちさんと会うまでは、まだ半信半疑だった事も、今では確証になってしまった。心の整理がつかないのも無理はない


蔡茌さいし めぐる

「謝るのは俺の方だ。話は気持ちが落ち着いてからでいいよ」


優しく声を掛けためぐるに、皐月さつきは首を横に振った


皐月さつき しゅう

「駄目です。…一緒に捜査をしてくれている蔡茌さんに失礼ですから。2ヶ月前に隅田さんの娘さんは事故にあって、現在も植物状態なんです」


彼が聞いた話によると、いわゆる不良と隅田すみだの娘は何故か同じ車に乗っており、そこで事故にあってしまった


皐月さつき しゅう

「すぐ警察病院に運ばれたのですが、隅田さんが駆けつけた頃には、医師によって植物状態と判断されたんです」


蔡茌さいし めぐる

「2ヶ月前…不良…」


皐月さつき しゅう

「隅田さんが少年犯罪を撲滅していった時期に、少年犯罪にこだわる理由…偶然ではないでしょう」


自分の大事な娘が、不良によって奪われてしまった。隅田すみだは三年前のような…悔しさと絶望感に囚われたのかもしれない


蔡茌さいし めぐる

「皐月君、もう少し詳しく娘さんについて調べてみないか?」


先程、会った茂望しげもち隅田すみだを止める事は出来ないと言っていた。それは恐らく、隅田すみだがしている事に、同情だけではなく理解する事が出来たからだろう


でなければ、茂望しげもちが警察を退職する事はなかった筈だ……めぐるは、この事件に関わる人物達は、自分の人生を犠牲にしても、悪を裁いていく…そんな執念を感じ取った


蔡茌さいし めぐる

「俺達はまだ、この事件の上部だけしか知らない…そんな気がしてならないんだ」


皐月さつき しゅう

「分かりました、僕も覚悟を決めます。相手が隅田さんなら中途半端な捜査は出来ませんから、この事件を必ず止めましょう」


皐月さつきめぐるは、頷きあうと隅田すみだの娘が通っていた学校へと向かった




ーーー ーーー ーーー ーーー




警視庁・捜査一課長。その肩書きは残酷にも俺と家族を切り離した


娘の誕生日すらまともに祝えない、駄目な父親に家族はいつだって笑顔で「今日も無事に帰ってきてくれて良かった」と言ってくれた。それが、嬉しくて家族に会えない時間も頑張れた


凶悪犯がはびこる中、せめて娘が大人になる頃には今より、平和な国にする。そうやって意気込んで、仲間と共に事件を解決した


中には、俺の力ではどうする事も出来ない事件もあった。その中でも穢佇えだちは、理不尽な世の中に打ちのめされ苦しんでいた…その様子は、かつての親がいない事で蔑まされ育った、俺にそっくりだった


職業柄、人間の醜悪を嫌と言うほど目の当たりにした、どんな聖人も人間である以上、誰かを恨み憎しむ。それを我慢する者か耐えきれず横暴に生きる者か…それだけだ


穢佇えだちは間違いなく後者だった。冤罪を強要された、あの日…犯罪者になりかけた奴を止めたのは、娘と同じ歳で昔の自分と重ねた穢佇えだちを、ほっとけなかったのかもしれない


隅田すみだ

「暴力じゃ何も解決できない」


穢佇えだち

「なんだよそれ!じゃぁ、泣き寝入りしろって、それじゃ、いつまでも悪は滅びないじゃんか、それじゃ駄目だ…あの子達を守れない。お前らがやらないから!俺様がやるんだっ!」


穢佇えだちは、泣きながら俺に言った。その時に、奴にも守りたい存在がある事を知った。そして、罪を逃れた放火犯はいずれ、父親と同じ警察官になるだろう。そんな奴が警察になんてなれば、同じような悲劇が繰り返されるのは、俺だって簡単に想像できる。もちろん奴もそうだった…


穢佇えだち

「居るんだよっ、将来は警察になりたいって子が!その子に、あいつは何て言ったか知らないだろ!施設育ちは金が無いから無理だって、親が居ない奴に夢は叶えられないって……そう言われても、歯食いしばって頑張ってる。なのに、そいつは親と金の力で罪を逃れる。そんな奴を警察官になんてさせてたまるかっ、あの子が必死に夢見る世界に、ゴミは必要ない俺様が殺してやる!」


穢佇えだちの殺意は、自分の怒りではなかった。奴は、あくまでも同じ施設の子達を想っていた。それは、俺が家族を想うのと何も変わらない


だからこそ、怒りの理由は痛いほど理解も出来た。根元を消さない限り、虐めは何度だって繰り返される


隅田すみだ

「なら、お前がそいつらを制しろ」


それは子供だった俺が、助けを求めた大人に言われた言葉だった。その時の俺には力があった、馬鹿にする奴は片っ端から黙らせる事が出来た


だが、穢佇えだちにはそれが無かった。そんな奴にしてやれるアドバイスがあるとすれば、頭脳で相手を制する事ぐらいだ


弱みを握り手を出させないようにする。そうして身を守れ…その方法に、穢佇えだちは違う捉え方をしたのか、調子づいたのかは分からないが、同じ施設の不良達を兵に、別の不良を潰させ黙らせた


最後にそんな事を風の噂で聞いたが、それは奴が選んだ人生だ。犯罪にならないのなら、俺がとやかく言う筋合いなんてない


それでも、少年犯罪は無くならない。時代が過ぎるたびに、酷くなる犯罪に俺は少年課の皐月さつきに、愚痴感覚で「あいつらを、どこまで信じられる」と聞いた


皐月さつき しゅう

「僕たちの仕事は、どうして事件が起こったのかを調べ、彼らと寄り添い真実を見極める事です。そして、罪を犯したのなら、彼らの為にもちゃんと理解させます」


偉そうに真っ直ぐな目で皐月さつきは、俺に言ったんだ。後ろで茂望しげもちが、一本取られたなって笑ってたな。不思議と悪い気がしなかった


皐月さつきは、娘に似ていた。真っ直ぐで正義感が強くて、あの子は誰だろうと分け隔てなく接する子だった


だからこそ、利用されてしまう。優しい子ほど、この世界は残酷な運命を課せる。妻も親切を装った奴を信じて流産になった。やっと命を宿した俺の大事な娘に、そんな事はさせない、もう誰も俺の家族を傷つけさせない


そう思っていた…なのに、なのに…俺はまた我が子を失ってしまった


隅田すみだ

「俺はもう、悪を許す事は出来ないんだ」


隅田すみだは、娘の写真と産まれる事が出来なかった子供のエコー写真を、しっかりと握りしめた

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