ONLINE side 前編
むか~し、むかし、あるところにお姫様が1人おりました…が、ちょっと様子がおかしいですよ。
「は~、なんで、私、1人になったの…」
そう、お城には姫たった1人しかいなかったのです。というのも…、
「まさかの疫病で私以外全員死んでしまいました…。お父様、お母様…」
と姫が嘆いていました。そう、実は、この年、原因不明の疫病が流行ってしまい、姫の父母にあたる王様と王妃様を含めて姫以外全員死んじゃったのです。
そして、姫は外を見てはこう嘆いていました。
「それに、お母様とお父様を引き合わせたカボチャは枯れるしネズミすら干からびて死んでしまうなんて、いったいどうして…」
そうです。なんと、姫の父母の王様と王妃様を引き合わせたカボチャは枯れてしまい、あのネズミですら干からびてしまうほどの日照りが続いていたのです。
そんなわけでして、姫はただ一人でこのお城に住んでいたのでした。そんな姫の唯一の楽しみ、というのが…、
「あぁ、仕方がないね。なんか考えて遊ぼう。え~と、龍とお姫様は…」
なんと、姫、ただ1人で空想し始めたではありませんか。そうです、姫唯一の遊び、それは空想して自分だけの物語を作り出すことでした。今でいうところの、小説家、なのかもしれません。姫は空想しては小説家のように物語を紙に書いていたのです。その物語は童話や友情物、戦士物など多岐に渡りました。
ですが、そんな姫のことを城下に住む人たちはあまりよく思っていませんでした。
「いつも空想遊びをして物語を書いているとはね。姫さんは嘘つきになるつもりかね」
そうです、城下に住む人たちはみな、空想遊びをしている姫のことを、嘘つき、だと思っていたのです。理由はものすごく単純でした。嘘をつくとき、作り話をすることがあります。そして、物語をつくる人はその作り話に長けていたりします。それが結びついて、
「小説家は物語をつくる」→「嘘をつくための作り話をつくるのがうまい」
といった構図が生まれてしまうのでした。ただ、それは単なる思い違いでありました。まわりの人たちからすればそう思えてしまっていたのです。それくらい、物語を書く者に対しての辛い他人の目というのは恐ろしいものなのかもしれません。
ただ、それについては姫は知りませんでした。いや、たとえそれを聞いたとしてもそれすら無視して空想遊びをしては父母である王様、王妃様のいない寂しさを忘れようとしていたのかもしれません。
そんななか、姫はあるものを見つけました。
「あれっ、これってなにかな?黒板なのかな?」
それは長方形の白い板で前のところに黒いものがはまっていました。姫はその白い板を隅々まで見ました。すると、姫、なにか押せるようなでっぱりを見つけました。そのでっぱりを、姫、
「これ、なんだろう。えいっ!!」
と押すと黒い板のところが光りある少女が映し出されました。これには、姫、
「えっ、人が出てきた!!ちょっ、こわ!!」
と怖がりますが、その白い板に映る少女は姫に対し、
「あっ、こんにちは」
と挨拶をすると姫はすぐに、
「うわ~、声が聞こえた~!!」
とさらに怖がってしまいました。いや、あまりに恐ろしさに姫の目から涙が出てきました。
そんな姫に対しその少女は、
「あっ、怖がらせてごめんなさい!!」
とお詫びをすると姫もすぐに白い板に映る少女に対し涙をふいては、
「私も驚かしてごめんなさい・・・」
となぜか謝ってしまいました。
しかし、よく考えたら2人がこんなことに同時に謝ってしまうなんて少しおかしい、なんてこともあったのか、少女はすぐに、
「あれっ?」
と反応すると、姫、このおかしな状況に、
「なんかおかしいよ!!」
と笑ってしまいました。それにつられて少女も、
「本当だね!!」
と一緒になって笑ってしまいました。
そして、2人が笑い始めてから数分後、
「なんか久しぶりに笑いました」
と姫がそう言うと少女も、
「たしかにそうかも!!」
と笑いました。
そんななか、姫の後ろに映っている風景を見たのか、
「うわ~、お城に住んでいるのですね!!」
とその少女は喜びながら言うと、姫、すぐに、
「そうよ!!私はこのお城の姫だぞ!!」
とデーンと自分のことを自慢してきました。これにはその少女の方も、
「それなら、私も言わないとね。私は智子、女子高生だよ!!」
と自分のことを紹介しました。ですが、これには、姫、
「智子、女子高生ってなに?」
と不思議な用語について尋ねてきました。これにはその少女こと智子は、
「え~、そこ?」
と驚きますがすぐに、
「女子高生って学生のことだよ!!」
と説明してみました。
ところが、姫の好奇心はおさまりません。次に智子に対し、
「智子、この白い板はなんて言うんだ?それに、なぜ、智子が映っているんだ?」
と尋ねてきました。むろん、これには、智子、すぐに答えてくれました。
「この板の物は「タブレット」って言って遠くにいる人と画面越しに挨拶できるものなんだよ」
これには、姫、すぐに反応したのか、
「へぇ~、すごいものだね~」
と驚きを隠せません。姫にとって見れば自分の知らない未来の道具なのかもしれません。
ですが、姫の好奇心は別のところにも飛び火しました。それは…、
「ところで、智子の後ろに映っているものってなに?」
そう、智子の後ろに映っているどこかの街並みでした。その姫は好奇心のままにこう言い続けます。
「まるでおもちゃのくにみたい!!なんかいろんなものがそびえ立っている!!」
そう、姫は智子の後ろに映っている街並みが気に入ったようです。
そんな姫に対し智子は、
「えっ、この東京の街並みが気に入ったの?」
と尋ねてみると、姫、すぐに、
「うん!!」
とうなづくとともに目をウルウルしながら、
「ねぇ、智子、お願い、私にこのタブレットを通じてこの街並みを見せて…」
とお願いされてしまいました。ただ、これには、智子、そんな姫の熱意に負けたのか、
「うん。それなら、明日、東京の名所をまわろう!!」
という声とともに智子のいる東京の街並みを見てまわることを決めてしまったのです。
そして、翌日…、
「それじゃ、姫に私たちの世界、現代日本を見てもらいましょう!!」
と智子はタブレットに映るて姫と一緒に現代日本を見てまわることとなりました。
まず、最初に向かったのは…、
「うわ~、ここの菜の花のじゅうたん、とてもきれいだね!!」
と姫の目の前に見える菜の花のじゅうたんに姫は驚きを隠せずにいました。そう、ここは…、
「ここは花の名所、昭和記念公園だよ!!」
そう、一年中きれいな花が咲いている昭和記念公園でした。
その公園のなかで割いている菜の花のじゅうたんに感嘆の声をあげている姫はあるものを見て
「あの木に咲いている花、とてもきれい!!」
とさらに驚くと智子になにか尋ねてきました。
「えっ、あの木に咲いている花ってなに?」
これには、智子、
「あれはね、桜の木だよ!!」
と教えてあげると、姫、その桜の木と菜の花のじゅうたんを見て、
「うわ~、桜の木と菜の花のじゅうたんのコラボ、とても美しいです!!」
とさらに感嘆の声をあげていました。そうなのです。昭和記念公園では桜の木と菜の花のじゅうたんが一緒に見れるチャンスがあるのです。そのチャンスに巡り合えた姫はその光景にものすごく感動したのでした。
そして、姫はとんでないことを言いだしたのです。
「それなら、私の国にも、そんな公園というところを、花いっぱいのところを作ってみたいものです」
これには、智子、
「うわ~、なんてすごいこと…」
と驚きを隠せずにいました。
ですが、智子の心のなかではこんな思いでいっぱいでした。
(やっぱり姫を見ていると私も楽しくなっちゃう!!)
そうです、智子は智子で姫が驚く様はとても面白いものに…、こほん、楽しいものに感じられたのでした。
一方、姫は姫とて、
(こんなすごいものが見れるなんて、やっぱり智子にお願いしてよかった!!)
ととても嬉しいものだと感じているようでした。
そして、次に向かったのは…、
「うわ~、魚ってこんなにきれいなのですね!!」
とまたもや姫が感嘆の声をあげていました。そう、ここは…、
「ここはしながわ水族館!!魚たちでいっぱいの世界だよ!!」
と、智子。そう、ここは品川にあるしながわ水族館です。そこではいろんな魚が泳いでいました。特に姫を驚かしたのは、
「え~、魚が上を飛んでいる!!まるで私たちが海の中を進んでいるみたい!!」
と魚が上を泳いでいる、そんな不思議な感覚が味わえる海のトンネルでした。
いや、それどころか…、
「うわ~、なんてかわいい顔なの…。とても愛らしいよ!!」
と姫が喜んでいると智子も、
「やっぱりアザラシはかわいいね!!」
とアザラシを見て微笑んでいました。また…、
「サメってこんなに怖い生物なんですね!!」
とサメを見て怖がっている姫を見ては、智子、
「でも、すべてのサメがこんなに怖いわけじゃないのです!!」
とつかさずフォローをいれるなど微笑ましい光景が映っておりました。
そして、最後は…、
ザブーン
という水しぶきをまじかに浴びた智子でしたが、タブレットから見ていたために濡れなかったものの、
「智子、大丈夫?イルカという生物に水をかけられたけど…」
と姫は心配そうに智子の方を見ると智子も、
「それは大丈夫!!このためにレインコートを着ているから!!」
と安心そうに言っております。そう、ここはしながわ水族館の近くにあるAQUA PARK SHINAGAWA。ここでは幻想的なイルカのショーが見られます。そのイルカのショーはとてもダイナミックなショーでした。そのためか、姫、そのショーを見終わったあと、
「うわ~、言葉じゃ言い表せないよ!!このタブレットのなかの映像?からしか見ていないのだけど、本当にすごい感じだったよ!!ところでこれをなんていうの?」
と言葉では言い表せないようなことを言いつつも智子にこれをなんていうのか尋ねてきました。
すると、智子、こう答えてくれました。
「それをダイナミックっていうの!!でも、姫がそう言うくらいダイナミックだったね、イルカのショー!!」
イルカのダイナミックなショー、それは2人の気持ちを高ぶらせるものでした…。
そして、ついにお別れの時間がやってきました。姫は智子に対し、
「今日は本当にありがとう!!とても楽しかったよ!!」
と、心のワクワクが止まらない、それくらい、驚きに満ちた1日を暮らせた、そのことにお礼を言ったのでした。一方、智子の方も一日を通じて姫と一緒に楽しく暮らせたのか、
「私の方こそ楽しかったよ!!今日は付き合ってくれてありがとう!!」
とお礼を言うのでした。
だけど、こんな楽しい経験をたった1日だけするのはもったいない…ということなのか、姫、こんなことをお願いしてきました。
「智子、お願いなのだけど、明日も一緒にどこかに行こう!!」
むろん、これには、智子、断る理由なんてなく、すぐにこう答えました。
「うん、わかった!!明日もどこかに行こう!!」
ということで、明日も2人で一緒に(タブレットを介して)行動することになりました。
その日の夜、
「うわ~、こんなに刺激的なもの、本当に味わえないよ!!」
と姫はベッドのなかで今日のことを振り返っていました。これまでの生活では味わえなかった刺激が連続して続く、それくらい刺激的な1日に姫は悶絶しそうになっていました。いや、それどころか、
「それに、照子と一緒に行動しているからその刺激が2倍にも3倍にもなっちゃうよ!!」
と、姫、今日、一緒に行動してくれた智子のおかげでその刺激が倍になったことに驚きを隠せずにいました。
そして、姫はこんなことを考えてしまいます。
「こんな刺激的な毎日を暮らせるなら智子といつも一緒にいたいよ…」
そうです、姫は今日みたいな日が毎日、いや、智子と一緒にいたい…、そう考えるようになったのです。
一方、智子の方もこう考えていました。
(今日の姫、かわいかったよな…。いろんなものを見て、姫、一緒に楽しんでいたよね。その姫の顔を見るだけで幸せになれるよ!!)
智子も智子で今日のことがとても幸せになったようでした。なぜなら、タブレット越しとはいえ、いろんな物事に1つずつ驚きを隠せない、そんな姫の様子を見て自分の方も楽しい気分になっていたのですから。
ただ、それ以上に、智子もこんなことを考えていました。
(そんな姫、ずっと見ていたいよ…。とても刺激的な毎日、姫と一緒に暮らしてみたい…)
智子も智子で毎日姫と一緒にいたい、そんな思いになっていたようです。
そんなこともあり、智子、明日のプランを作ります。でも…、
「ここなら姫も驚いてくれるはず!!え~と、ここなら夜景もきれいだし…」
とプランを作るのですが、姫も女性ですよ、そのことを忘れてしまうくらいのものをあるサイトを見て作ってしまいました…。