プロローグ
4作品目。
あらすじは1~3話くらいまでのあらすじです。
※ただいま休載中。モチベーション上がったら続きを書く、もしくは現在メインで更新している1作目が完結した後にメインで更新する作品にする予定です。
魔族の被害が大きく人口の少ない小さな街、ルージェルにて。
「あなた……この子……」
「……」
生まれたばかりの赤子の右腕には鳥の羽のような形をした白い痣があった。その痣を見た赤子の両親、そして出産の手助けをしていた女性は絶望に近い表情をしていた。
「実話、だったんですね。“羽の形をした痣”を持って生まれる赤ちゃんの話って……」
赤子を取り上げた女性は苦しげな表情をしていた。
この街、いやこの世界にはある言い伝えが存在していた。その言い伝えに従うとするならば、この赤子は近いうちに死の宣告を受けることとなる。
「す、すみません。それでは、しっ、失礼します!」
女性は赤子を母親に押し付けるように渡すと慌てて部屋を飛び出そうとした。
赤子を抱えていたその女性の手は震えていたようだった。何かを恐れるかのように。
「待って! あなた、これから何をするつもりなの!」
出産後で疲れ切っているはずの母親は、精一杯の声で女性を呼び止めた。
「なに、をって……これから医院に戻って報告を……」
「報告って、あなたこの子のこの痣の事を告げ口するつもり⁉」
「告げ口って……人聞きが悪い事を言わないでくださいよ。私は規則に従って報告をしに行くだけです」
「そうしたらこの子の命は?」
「……」
女性にとってもこれから起こることは本意ではないらしい。
けれど、これからずっと先のことまで考えるのなら可哀想だが赤子の運命を受け入れるしかない、そう思っていた。
母親もそれはわかっている。だからといって生まれたばかりの可愛い我が子を手放せるわけもない。
「お願いします。痣のことは黙っていてください」
「でも……」
「この子を失ったら私達……」
赤子の父親は泣き崩れる母親のことをそっと抱きしめた。
赤子を取り上げる仕事を選ぶような人間がこの光景を見て「それはできない」という言葉を選べるはずはなかった。
「……わかりました。痣の事は黙っておきます……」
「ほっほんとに? ありがとう、ありがとうございます……!」
母親は感謝の言葉をつづり、泣き続けた。
この世界には言い伝えがある。
“堕天使の羽の痣を持つ者、この地に生れ落ちた時、その周囲に大きな災いをもたらすであろう”と。
お読みいただきありがとうございます。
まだあらすじの1、2行目くらいまでのお話です。とても短いですが次回以降は3000字から5000字くらいで進めていく予定です。
こちらは気が向いたら更新する感じで進めます。早かったり遅かったりするかもです。
でわ、また次回!