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あおいそら

作者: 茜カナコ

空を、大きな翼で切り裂いた、あの鳥の名前は何だろう。

 私はぼんやりと、鳥の居なくなった空を見上げていた。


「ねえ、ママ。 僕、大きくなったら鳥になるの」

 優太の真剣な声が聞こえる。まだ馴染まない買ったばかりの制服は、ぶかぶかのくせに。

「そしたらね、ママのこともみんなのことも、助けられるし」

「え?」

 私が聞き返すと優太は両手を広げて空を飛ぶポーズのまま、私を見上げた。

「僕がみんなを背中に乗せて、空を飛んで……」

 歩き続ける優太の背中が小さくなる。

「あの山の向こうまでいけば、大丈夫かな」

 振り返った優太は笑っているはずだ。

 私は優太に言った。

「鳥になんて、ならなくていいよ。」

 声が震える。

「人は、空を飛ぶために飛行機を作ったんだよ。翼が無ければ、作ればいいの。」

 優太が不思議そうな顔をしているのは分かるのに、見つからなくて声が大きくなる。

「鳥になんてならなくていいの! 優太の今日が、明日に続けばそれでいいの!」

 大人らしくない受け答えだって、後からなら分かるのに。


 不意に、何かの影が私の上に落ちた。

 空を見上げるとあの鳥が、翼を広げてゆっくりと旋回した後、遠くの方へと飛び去っていった。


 私はぼんやりと、鳥の居なくなった空を見上げていた。


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