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超技術で史実をぶん殴る  作者: ネムノキ
走り続けろ
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中華事情と海上保安庁

 海上保安庁は、海上の犯罪行為の取り締まりや、災害救助隊と共同での救助活動を行う組織として発足()()()()()組織だ。

 元々、災害救助隊は救助活動を主軸とした組織だったので、犯罪行為、例えば海賊行為なんかには滅法弱かった。そこで、対海上犯罪組織を編成する必要があったけれど、こんなに急ぐ必要は無かった。


 それが変わったのは、中国国民政府の『南征』のせいである。


 中国国民政府の首魁である蒋介石は、北伐の結果満州の敵対派閥が壊滅し、棚ぼた的に満州の覇者となった張作霖率いる奉天派と和解。次いで、支配権の及んでいないカム地域をチベット王国に割譲。チベット王国を『正式に』承認する。そして、協力関係にあった馬家軍との協力体制を強化。

 これらの動きで足場を固めた後、中国国民政府、奉天派、チベット王国、そして馬家軍は一時的な軍事同盟を締結し、それぞれの敵へと向かうことにした。


 中国国民政府は、勢力を強めている雲南派と新広西派。ついでに中華ソビエト共和国。

 奉天派は、馬賊に落ちぶれた満州の他の勢力。

 チベット王国は、社会主義革命を防ぐため、東トルキスタンの各勢力。

 馬家軍は、ライバルの国民軍と山西派。


 を、それぞれ攻撃し始めたのだ。

 中国国民政府と馬家軍は日本とドイツ。奉天派は日本。チベット王国はイギリスが支援しているのは蛇足として。

 この動きは、中国国民政府が中心となった『中華同盟』側が有利に進めていて。


 それに対抗する策のひとつとして、新広西派は勢力を挙げた海賊行為を始めたのだ。


 その被害に、中華に進出している全ての企業が被害を受けていて。当然、世界中の企業が新広西派を非難した。

 だけれど、中国国民政府を非難は出来なかった。中国国民政府は、海賊行為を働いている新広西派を優先的に攻撃していたからだ。

 でも、中国国民政府に、その海賊行為を止めさせるだけの海軍力は無くて。かといって他の国々が軍を派遣するには、被害が少なすぎた。企業にとっては打撃になっても、各国からしたらその程度の被害だったのだ。

 そこで、被害を受けている世界中の企業は、日本で計画中の『海上警察』に注目。圧力をかけたり資金援助をしたりして、『海上保安庁』を発足させたのだ。

 そうして発足してしまった海上保安庁は、『訓練相手に良い』と、新広西派の海賊を討伐する計画を立て。中国国民政府も、自分達の兵力と予算が減らないからと、その計画を了承。

 こうして、海上保安庁は新広西派相手に『東シナ海大演習』を開始したのだ。

 ここまで、外務省情報。予習していて良かった。


 アメリカがこの海上保安庁を槍玉に上げた理由は、なんとなく分かる。

「魚雷発射管は後で取り外す、って、説明しなかったんですか?」

「説明したんだが、納得しなかったな……」

 代表団代表はため息をつく。


 『東シナ海大演習』を行っている海上保安庁だけれど。

 『樺型駆逐艦』十隻は全て『樺型救助艦』に改造してしまっていて。仕方なく、『桃型駆逐艦』の『桃』『樫』『檜』『柳』から、主砲だけ引っこ抜いてバランスを取るために重りを乗せたものを急いで造って派遣し。災害救助隊の水上機母艦『高崎』は『若宮』と共に南洋の活動で忙しかったため、海軍の水上機母艦『野登呂』を海上保安庁に転属させて派遣する、という後手後手な対応での、東シナ海への派遣だったのだ。


 そういう訳で、海上保安庁の艦は『軍艦』と見れないこともない。なので、少しでも日本の海上戦力を削りたいアメリカは、海上保安庁の船を『軍艦』扱いしようとしているのだろう。

「……確か、海賊被害を受けた企業には、アメリカの企業もありますよね?」

 確認を取ると、代表団代表は「そうだな」と頷く。

「なら、今度からアメリカの船はアメリカに守って貰うことにしましょうか。海上保安庁だって、使う予定の無かった魚雷使う程の戦いになっているんですから。きっとアメリカも、納得してくれますよ?」

「そうだな。そうしよう」

 代表団代表は頷いた。

「……ところで、災害救助艦隊の方は、条約に引っ掛からないのですか?」

 代表団代表の溜飲が降りたところで、私は、少しだけ気になったことを尋ねる。

「それがだな。アメリカがそんなことを言い出した途端、イギリスとイタリアが猛反発して流れた。奴さん達も、同じ手を考えているらしい」

 ……まあ、良い手段なら、真似されて当然よね。

「イギリス連邦から災害救助艦隊の合同演習をしないか誘われたから、確定だと思って良いぞ?」

「ふーん。て、え?」

 軽く流しそうになった。

「イギリス『連邦』?」

「そうだ。演習には、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド自治領が参加したいそうだ。視察に、イタリア、インド帝国、カナダ自治領、中国国民政府も来たがっているな」

「……結構大きな話ですね」

「だな。だからまあ、災害救助艦隊の方は心配しないで良いから楽だ」

 確かに、それは楽だろう。

「とりあえず、日本に帰ったら、艦の軽量化について案を出して欲しい」

「分かりました」

中華事情。

主人公の影響で、日本が中華にあんまり進出していないので、かなり変わってます。張作霖生きていたり、とか。


調べて思ったのは、軍閥多すぎ関係複雑過ぎ。

日本の影響で各軍閥が弱体化していたからと言って、中国共産党よくこんな面倒臭い地域統一したなあ。普通面倒になって諦めるよ、と感心しました。

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