イベント二日目 夜
「ごちそうさまでした」
「美味かったぞ主」
「グル(美味かった)」
「……おいし、かった?」
「そうかい。にしてもよく食うな……」
結局デカイのだけじゃ足りなくて普通の魚を何匹か食ってたし…。これからどうしよう…。
「グレスさんグレスさん」
「なんだ?」
「戦い方、教えてください!」
「あ~、うん。おっけー」
「さ、早く早く!」
妙に張り切ってんな…。んーでも、戦い方?何教えればいいんだ?槍はわかんないし…まあ、体の動かし方でもいいか。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
迫る腕を払って、隙だらけの頭にチョップを入れる。
「ほい」
「イタっ、手加減してくださいよ~…」
「してる」
《手加減のスキルレベルがアップしました》
体の動かし方等を教える為に組み手のような物を二時間程やっている。休みも入れているがほぼ通しだ。体は疲れないんだけど、そろそろしんどい。
「はぁ~…強い奴と戦いたいなぁ…」
「…それ、たまに言ってますけどどういうことなんですか?」
「ん?」
「ここにいるモンスターって強いんですよね?」
「………強い?」
どいつもこいつも一発だし…。
「クマ吉さん強かったですよね?」
「いや?」
「グル…(あれは痛かった…)」
「かなり手加減して殴ってたよ」
「えぇ…。ああ、夜来てた人達が弱かった訳じゃないんだ…」
「あやつらもそこそこの強さであった筈であるな」
「グレスさんと戦える人っているんですか?」
「今の所ふた、あ、いや三人だな」
キャスト、ギルグ、ギリギリ騎士団長だな。騎士団長のドラゴンスレイヤーは本当にヤバかった…。
「それはそれですごい…」
「一人ガチでやってみたいやついたけど死んだんだよなぁ」
「え」
はぁ…ボッコボコにして吊し上げたりしてみたかったけど、今やるとリールに申し訳ないんだよなぁ…。ただでさえ俺のせいで大変なことになってるのに…。
「そ、それってこっちの世界の人ってことですか?」
「おう。あー、でも半分は俺が殺したようなもんなのか…」
「え」
でもあれは予想出来んよ…。
「あ、そういえばリール達探さないとな…」
「誰ですか?それ」
「イベント前まで一緒にいたやつ」
「パーティーメンバー?」
「違う。成り行きで一緒にいるだけ」
「?まあでも、私も探さないとですかね…」
「んじゃあ、今からでも探しに行くか」
「え、でも、そろそろ暗くなりますよ?」
確かに空は赤みを帯びてきたけど、
「大丈夫だと思うぞ?それにテントを回収して、移動先で再設置すればリスポーン地点は問題ないだろし、ここらじゃもう飯が食えん可能性もあるから、移動してもいいと思うんだけど」
「うっ、そ、そうですね…そうしますか…」
「ならば早く動いた方がいいぞ主よ。ここらのやつは夜になると面倒になる」
「そうか。じゃあさっさと移動しちまおうぜ」
「わかりました」
「グル(はい)」
「わかった」
「移動するんだったら湖によって飯とって行くか」
「いいですねそれ」
後は次にどこ行くかなんだけど、まあ山の方向にでも行ってみるか。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
湖によったから少し遠回りになったけど、日が落ちる前にテントを置いていた崖下から向こう側の崖下まで移動できた。まあ、テントを設置して一段落する頃にはもうすっかり日が落ちていたが。
「もうすっかり日が落ちちゃいましたね」
『そうだなぁ…』
「主、腹が空いたぞ」
「グル(おれも)」
『お前らなぁ…あんなに食ったのにまだ食べたりないのか?』
昼、と朝飯替わりの魚の大半を食べたのに…。まあ、もう半分食ったのライラだけど…。
『お前ら…普通自分で食うものくらい自分でとってくるよな?そこんところどうなの?』
「我はここを守る仕事がある」
「グルル、ルア(おれは、ライラと一緒に魚とった)」
『うぅむ…』
どうしようもないか…。
『とりあえず魚焼くか』
「…そろそろ味変えたいですね…」
『あぁ…ん~』
この際そこら辺にある木の実でも食わせるか?
「何か危ないこと考えてません?」
『いや、そんなことないぞ?ただ、そこら辺の木の実でも食わせようかなと』
「十分危ないことだと思うんですけど…。ていうか、いい加減その鎧やめません?」
『え~』
「え~、じゃないですよ。確かにモンスターがよってこないのはいいですけど…。怖いです」
全身鎧モードだとモンスターよってこないから楽なのに…。てか、なんであいつらは自分より圧倒的強者である俺に一番に飛びかかって来るわけ?俺よかボマーゼの方が弱そうだろ。…まあ、仕方ない。あの露出度高めの見た目にするかぁ…。こういう装備はあんま好きじゃないんだけど、動きやすいしな…。
「これでいいだろ?」
「…いいですけど、それって他の形にとか出来ないんですか?」
「ん~、こういう感じか?」
腰のスカート状になっている部分を無くしてお腹を隠すようなアーマーを出す。
「出来るんですね。じゃあ、布みたいな生地に出来ないんですかね?」
「あぁ~、こうかな?」
お腹のアーマーを薄くして、インナーみたいにする。さすがに布にはできないけど、何て言うんだ?金属の織物?みたいな感じになったな。動きやすい。ついでに全体の鎧を似たような感じにして普通の服っぽくする。すごい動きやすい。それでいて防御力は変わらないはずだから、結構強いかも。
「おお、すごいですね」
「これで動きやすくなったわ」
「おい主、煙が出ているぞ」
「げ…、あ~いや、問題ねえわ。丁度いいくらいだから食べな」
「ぬ、ではいただこう」
「グル、グルア?(おれの、分は?)」
「まあ、待て。……そら、どうぞ」
「グル(感謝)」
「……、おし。ボマーゼもほら」
「ありがとう」
「………、ほれ」
「あ、ありがとうございます」
全員分いったか。……とりあえずもっと焼かないとな…。
「…にしても、グレスさんってそういうわかりやすい服着てないと女の人には見えなくないですか?」
「そんなにか?」
「だってしゃべり方からして女の子じゃないですよ?それに顔もイケメン寄りですし…」
「そうなのか…」
まあでも口調とか変える気ないけどな。
「せめて一人称が俺じゃなければ勘違いする人も減るでしょうに…」
「あー…」
それはそうかもなぁ…。
「僕…いや普通に私でいいか」
「変えるんです?」
「初対面のやつ相手にはかな~」
「へぇ~」
俺女の子なんだよな…。やっぱり胸がないからなのか実感がないんだよなぁ…。まあ欲しいとは思わないけど。はっきりいって邪魔。自分にはついててほしくないね。
「なにかすごいこと考えてません?」
「いや別に?」
「そうですか」
十七年男やってて数ヶ月ぽっち女経験した位じゃ考え方は変わんないか…。まあこれからはなんとかしていこう。
「ところで、今日の見張りのことなんですけど」
「俺とサルマン、クマ吉でローテーションでいいだろ。ライラは寝な」
「え、じゃあ、お言葉に甘えて…。でも、いいんですか?寝たいんですよね?」
「いや、別にそういう訳じゃないけど。寝れる時に寝ておけばその分いつかは起きてられるから…まあ寝貯めだな」
それに夜襲があったからな。簡単に片付けられる俺の方がいいだろ。
「へぇ…そういうこと出来るんですね」
「ん~どっちかって言うと出来るようになったが正しいかな。…てか、今のでいいんだよな?」
「あ、はい。お願いします」
「おし。ボマーゼはどうする?」
「…グレスと、一緒にいる」
「そうか。んじゃ、最初は俺とボマーゼ、次にクマ吉、最後にサルマンな」
「グル(はい)」
「承った」
「よし。そうと決まれば、さっさと飯食っちゃおうな!」
明日は、リール達と、ライラのパーティーメンバー探しだな。見張りも頑張ろう。
誤字脱字があった場合報告してくれると助かります。では。




