遭遇
まず、神は“世界”が出来たと同時に生まれた存在である。この神を創造神とする。
そして創造神は星神を造りだし、星神は地神と海神と空神を造りだした。
星神は星を管理し、地神は大地を、海神は大海を、空神は大空を管理した。
神々が見守る星で生命が生まれ、生と死という概念が出来る。そしてそれを管理する生神と死神が造られる。
生死を持つ者を管理する神はその種の中から選ばれた。
魔物が生まれると魔神が造られ、人が生まれると人神が造られる。
戦いが生まれるとそれを管理する武神が造られ、魔法を扱う者が生まれると魔法神が造られた。
著:ダストン・ジェイル 考察:ダストン・ジェイル 翻訳:ジルード・ケイス
『世界と神の関係~そこから見える生物とは~』第一章『神について』より抜粋
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「なんですか?今の」
「神々について書かれた書物で、最も信憑性の高い物の冒頭です」
「最も信憑性の高い?」
「はい、そうです」
「…なんでその話を俺に?」
「白髪の方には出来るだけするようにしているのです。あの本を読めば多少は生きる希望が持てる筈ですので」
「はぁ…。まあ、俺は別に人生に絶望してませんが…」
「それは良いことです。これからもそうであってくださいね」
「あ、はい」
この人と話すのなんか疲れるな…。
「ねえ先生!魔力ちゃんと動かせてる?」
「ん?おお。いい感じじゃないか」
子供たちには魔法を使えるようになってもらう為に魔力感知と魔力操作を教えている。
魔力感知は、自身の内にある魔力を感知するのが一番手っ取り早いと思ったから、俺が魔力を少し動かして、それを感じ取って貰った。シスターは驚いていたが、まあ言いくるめた。
現在は魔力操作である。
「できねぇー…」
「難しいな…」
「簡単」
進捗率は様々である。当たり前だけど。グリスに至っては退屈なのかおっちゃんと遊び始めている。
「…そろそろ時間ですね」
「時間?」
「グレス様も一緒にやりますか?」
「何を?」
「皆さん時間ですよ!」
「「はーい」」
「わかりました」
「ん」
「お、もうそんな時間か」
「がう?」
俺とグリスだけおいてけぼりなんだが?
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
元の、俺たちが入ってきた礼拝堂?みたいな場所に戻ってきた。何するんだろうか。
「さあ、我らが神々に祈りを捧げる時間ですよ」
「「祈り?」」
「そうです。お二人も祈ってみてはどうですか?我らが神々が答えてくれるかも知れませんよ?」
「?」
「…」
祈りって、怖いよ。神との関わりはゼロだけでいいって。それにするとして何を祈ればいいんだよ。
「なんでもいいのです。これからの生を幸多い物にしたい、強くなりたい、お金が欲しい、願うことが大事です」
それって祈りなのか?あー…でも、いいのか。
「じゃあ…」
「やる!」
「…何か作法とかありますか?」
「ありません。先程も言った通り、願うことが大事なのです」
「わかりました」
「がう!」
子供たちとシスターは膝をつき手を合わせている。おっちゃんは目をつぶっているだけだな。じゃあ俺は、手を合わせて、目をつぶろう。
願い事は、ちゃんとした戦いがしたい。だな。とりあえず一撃で終わらなければいいや。
『…キ…と……い…じ……』
ん?
『と……つ…よ…』
『…た…。…い……く…』
《手加減のスキルを獲得しました》
《称号【声を聴く者】を獲得しました》
《称号【声を聴く者】は称号【超越者】に統合されます》
は?え?どういうこと?
す、ステータス!
ステータス
名前 グレス・ハーフ
種族:白龍人Lv112 職業:賢者Lv21 (副職:龍神の巫女Lv112)
HP11200 MP11200+21000
筋力11200 防御力11200
俊敏11200 知力11200+10500
運1600
Stp320
スキル
《龍人格闘術Lv72》《体術Lv70》《剣術Lv13》《手加減Lv1》
《魔力感知Lv60》《魔力操作》《無詠唱》《全魔法》
《モンスター言語Lv13》《鑑定眼》《登攀》《隠密》《気配操作》《気配隠蔽》《威圧》《解体》
種族スキル
《龍眼》《龍鱗生成Lv23》━《龍鱗武装》new《再生》《飛翔Lv1》
称号
【古代種族:龍人】【祖龍の親友】【龍神の寵愛】【龍神の巫女】【超越者】change【格上殺し】【ゴブリンキラー】【Sクラス冒険者】【コーネルの英雄】【鬼の戦友】new
《手加減》
手加減がレベルに応じて上手くなるスキル。
本人の意思でオンオフ切り替え可能。
な、なんだこのステータス…!レベルが一上がるだけで全部の数値が百も上がってやがる!進化する前はこんな風には伸びてなかったのに…。
それに、この手加減のスキル…、今の声がくれたってことか?神じゃん。え、またね的なこと言ってたよな?え、どうしよう…。
「…?グレス樣、どうかしましたか?」
「い、いえ。なんでもないです」
「そうですか?」
「はい」
「では依頼のことなのですが、本日はここまで、ということで良いでしょうか?」
「良いですけど…」
「もう終わりー?」
「もう少しやりたーい」
「ん」
「お、オレも…」
うーむ…。
「今日はダメだ。シスターさんの言うことちゃんと聞きなさい。だけど、オードやシスターさんの目が届く範囲なら練習してもいいから。良いですよね?」
「はい」「おう」
「わかったか?」
「「はーい…」」
「わかりました…」
「ん…」
「よし。じゃ、またな」
「オレは明日も来るぞ。じゃあな!」
「また来てね先生!」
「またね!」
「…」
「また来る…」
……ネオンだけなんか変だよな?まあ、それは今度来たときでいいか。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「がう。今日はあと何するんだ?」
「何しような…」
組合には、受付嬢さんがかわいそうで行けないし…。
「「う~ん…」」
『あ!いた!』
「ん?」
『暴れちゃダメって言ったじゃんか!』
「は?」
『えいっ!』
えぇ…?あ、なんか足元に魔方陣が。この展開見覚えが有るような…。
「…、グリス。すまんがしばらく会えないかもしれん」
「え?」
「すまん」
「わ、わかった…!」
「おう、じゃあな」
足元の魔方陣が一際光り輝く。
次の瞬間には目の前に洞窟のような岩肌が見えていた。
「はぁ…」
洞窟じゃねえか!掲示板じゃあ監獄とかに送られるって言ってたじゃん。ここどう見ても監獄には見えないよ?
「だれ、ですか?」
「ん?」
洞窟の奥から女の人の声が聞こえる。あともうひとつ気配あるな。とりあえずそっちに向かうか。
「あー、いや、急にここに飛ばされてしまって…」
「止まってください」
「あ、はい」
今度は男の人の声だ。
「リールはここで待ってて」
「で、ですが…」
「いいから。…えーと、初めまして。あなたは何者ですか?」
「んー、冒険者をやっているグレス・ハーフです。そちらは?」
「僕はラルナです。あなたも僕を説得しに来たんですか?」
「…説得?いえ、何故か飛ばされただけですけど」
マジでなんで飛ばされたんだ?俺が何をしたって言うんだ?
「…そうですか。(龍だと思ったんだけど…)」
(り、龍ですか?!)
(ああ、でも違うみたい)
間違ってないなぁ…。
「もうそっち行っても良いですかね?」
「良いですよ。ここから出る方法を教えてあげます」
え、マジか。やったぜ。
奥に進むと、金髪の女と黒髪の男がいた。
「早速ですけど、出方を教えてくれませんかね?連れを残して来てるので、出来るだけ早く帰りたいんですよ」
「わかりました。着いてきてください」
「あ、あの、私はリーンです。よろしくお願いします」
よろしくお願いします?
「…っと、グレスです。よろしくお願いします」
なんでよろしくお願いしますなのかわかんないけど、帰れるならさっさと帰りたいなぁ。
ハハッ!やってやったぜ!
あ、誤字脱字があった場合報告してくれると助かります。では。




