表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一年越しに叶える夢~AWAの世界にて~  作者: 高木橋ユウ
二章 旅の始まり《兄貴のいる国、中央国家パリドスでの騒動》
71/99

ボス戦?


 剣の墓場のボス部屋は、フィールドを囲むように剣が突き刺さっており、外に行けないようにできていた。

 そこに唯一入れる入口から中に入る。が、中にはボスモンスターがいない。あれ?


「いないな」

「そうだな。誰かがもう倒したんかな?」

「どうだろうな。でも俺ら以外に誰かいたとは思えないけど」

「「う~ん…?」」

「がう?なんかモヤモヤ出てきたぞ!」

「「ん?」」


 ほんとだ。なんか黒いモヤが剣の奥から出てきてる。それが一ヶ所に集まり、形を作っていく。そうして出来上がったのは、黒い鎧を身に纏い頭をを小脇に抱えた騎士だった。


「おお?なんだ?あいつ」

「あれがデュラハンだ。まさかボスとして出てくるとは思わなかったけどな」


 道理で出会わないわけだよ。


「汝、騎士として生きるか?」


 そうデュラハンは言い、腰に指した剣を抜き、俺に向けた。って、なんで俺?


「え…、うーん?いやぁ?」

「そうか。では汝、騎士として生きるか?」

「がう?わかんないぞ」

「そうか。ならば死ね!」

「えぇ!?」


 急に襲いかかって来やがった!なんだよさっきの質問は!?意味あんのかよ!


「んが!」

「ふん!」


 とりあえず斬りかかって来てるから、黒剣で防ぐ。


「グリス、おっちゃんと戦ってた時みたいに、隙を見つけたら攻撃してくれ!」

「わかった!」


 とは言ったものの、鎧着てるから刺突や斬撃はあんまり効かないだろうけどなっ!っと…。

 剣を弾いて一旦距離を取る。その勢いで鑪をふむデュラハンにグリスが攻撃するが、やっぱり効いていない。こういうやつには打撃が一番だろ。打撃なら殴るのが一番てっとり早いよな。剣をしまえればやり易いんだけど。


「カタ」

「止めろ止めろ!使わないってわけじゃねえ!」

「…」


 こえぇよ…。剣で切れるならいいんだけど……ん?あれ?そういえばこいつ、耐久値減らないんだよな?俺の馬鹿力でも折れたりしないだろうし、全力?で振ってみるか。

 デュラハンは標的を俺に定めたのか再度こっちに迫って来ている。丁度いい。


「おいグリス!危ないかもしれないから離れててくれ!」

「ん?がう!」


 よし、離れたな。デュラハンはもう目の前!


「おお、りゃ!」


 ただの上段切りをくらえ!

 剣を振り切ると、一泊の間を置いて風が切り裂かれる音が鳴り、斬撃が地を割りながら進んだ。線上にいたデュラハンは剣を振る寸前に横に跳んでいて、右腕を肩から切り飛ばすことしか出来なかった。…にしてもすごい威力出たなこれ。


「汝、なぜ剣を振るう。騎士ではないのだろう」

「は?」


 なんだ突然。さっきの続きか?


「進むべき道のない者がなぜ剣を取り振るう。その先があるのか?」

「……」


 進むべき道…騎士の道ならやっぱり騎士道だよな。色々あるらしいけど。


「うーん、難しいこと聞くなぁ……だけど、道はあると思うよ?」

「なに?」

「その先?もあると思う。そもそも見えるような道進んでんのかって話で。あんたが言う騎士道だって、宗教色が強いやつもあれば、個人的なやつまで色々じゃねえか。個人個人別の道があんだろ?無いわけ無いって。それが混じって…あーいいか。なんでもない」


 つか、こいつほんとにダンジョンのボスか?なんかイメージと違う。ダンジョンのボスってもっとこう…サーチアンドデストロイ的な。そういう感じかと…。


「……」

「んじゃ、そういうことで、あんたは頭捨てないともう戦えないだろ。潔く死ぬんだな」

「……そうか」


 あれ、こいつの場合どこ攻撃すれば一撃で終わるんだ?頭か?胸?


「そういう考えも、あるか…」

「ん?」


 あ、なんか消え始めてる。なんかイベント戦みたいだな。いや、まさしくそれなのか?条件が揃えば格上でも勝てたりするやつ。こいつは格上じゃないけど。


「…いつかまた会おう」

「え、やだ…」

「ははは…そうか…またな」


 …消えちまった。

 ……あれ、そういえばグリスは?


「グリスー、どこだー?」


 さっきまで確かにいたんだけど…。


「……ん、がう!」

「あ、いた」


 土の中から出てきやがった。ということはさっきの斬撃で切れた地面の近くにいたってことか。イータも持ってないし。ヤバイな。


「首は?!」

「首て…あー、あいつは消えちゃったよ」

「んが?!ぶー!一人でやっちゃうなんてずるいぞ!オレも最後まで一緒に戦いたかった!」

「そうか。すまん。でもな?剣で攻撃した後、すぐにあいつが死んじまったわけじゃないんだよ」

「そうなのか?」

「おう。だから言ったろ?消えたんだよ。俺が殺す前に消えちゃったんだ。突然な」


 実際はちょっと違うけど、まあ、誤差だよ。誤差。


「んー、なら、しょうがない……」

「だろ?じゃあ、ドロップ品もって帰るぞ」

「がう」


 イータは、あそこか。手放すなんてよっぽどだし、あの攻撃止めようかな?


「あー、ひどい目にあった…あれ?もうおわっちまったのか?」

「消えちゃったんだって」

「はえー、そんなことあんだなぁ」


 さて、デュラハンのドロップ品は、っと。えーと、小瓶?となんかの破片だな。鑑定っと。


名も無き騎士の魂魄

騎士として生き、騎士として死んだ者の魂。

それ以上でもそれ以下でもない。


鎧の破片

デュラハンが身に付けていた鎧の破片。

武具の素材になるだろう。


 なるほどわからん。とりあえずこの破片を出せばデュラハンがいたってことはわかって貰えそうだな。小瓶はしまっておこう。


「おし。帰るか」

「がう!」

「どんな感じに終わったか教えてくれよ」

「わかったよ」



◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「本当にデュラハンが出たんですか?!大丈夫でしたか?」

「ああ、うん。問題なかったよ」

「そうですか。まあSクラスですもんね」

「…なあ、前から気になってたんだけど、Sクラスに対するその謎の信頼ってなんなんだ?」

「謎の信頼って、信頼するのは当然ですよ!Sクラスは国を壊滅できるようなモンスターを討伐する人達なんですから!」


 マジで?ギルグってそこまでだったのか。やっぱりすごいなあいつ。


「それにそれに!Sクラスは、英雄なんです!グレスさんの場合は目立った活躍を聞きませんが、全員とてつもない活躍をされているんです!本当にすごい人達なんですよ!わかりますか?」

「え~と…」


 なんか、他のSクラスと比べて俺って劣ってたりするんだろうか?いや別にいいんだけど。たぶん行ったことのあるところ以外では無名なんだろうなぁ。めんどくせえなぁ。いちいち驚かれないといけないのか…。


「…っあ!す、すいません。こちら、報酬になります。…ところで、そちらの剣なんですが」

「あ、大丈夫大丈夫このあと鞘買いに行くから」

「本当ですか?絶対に買ってくださいよ?危ないですから。それにしても、持ち手まで黒い剣なんて初めて見ました。どうなってるんですか?」

「さあ?ただ、めっちゃ頑丈だよ?これ」

「へぇ…。あ、そうだ。鞘買うんでしたら、ついでに防具も揃えてしまってはどうですか?いくらSクラスでも、流石に危ないと思うんですよ」

「防具…」


 あるにはあるんだけど、いまいち必要性を感じないからなぁ。


「そうです防具です。他のSクラスでも最低限の防具は着ていますよ?」

「……なんで俺が合わせないといけないんだ?」

「んー、そうですね……。例えば、グレスさんに憧れて冒険者になる人がいるとします。その人はSクラスのグレスさんが防具なしでやれるんだから俺も私も!ってなるかもしれないじゃないですか?それでモンスターに簡単に殺されてしまう。まあ、少し偏った話ではありますけど、絶対にないとは言い切れないじゃないですか」

「なるほど」


 一理ある。だけど、俺を見て冒険者になろうとするやつはバカか死にたがりじゃないか?俺がこの格好でやっていけてるのは圧倒的なステータスと特殊な装備があるからだ。ちゃんと理由がある。普通は無理なんだよな。そういうところも考えると、模範的な格好した方がいいのかもなぁ。


「…わかった」

「それはよかったです。では、また」

「ああ、またな」


 グリスは……、いた。酒場で飯食ってる。


「グリス。終わったぞ」

「が、そうか。ちょっと待ってくれ、すぐ食べるから」

「あーあー、そんなに急いで食わなくても」

「ごちそうさま!行こうグレス!」

「…はいはい。加治屋にいくけど、他にいるもんあるか?」

「んー、ない!」

「そうか。じゃあ行くぞ」



◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 いい感じの加治屋がないか探してみるも、そもそも加治屋が見つからない。どこら辺にあるのかくらい聞いとけばよかった…。


「グリス、加治屋の場所とか知らないか?って知ってるわけないか…」

「知ってるぞ!あっちだ!」

「えっマジで?案内してくれ!」

「わかった!」







「…ほんとにあった」


 組合から歩いて数十分程。俺が進んだ道とは逆方向に加治屋はあった。というかいっぱいあった。


「どこに行くんだ?」

「おすすめは?」

「あそこだ!今着てるのはあそこのなんだ!」


 グリスが指した先には、ボロボロの煙突が目立つ寂れた店があった。パット見加治屋には見えない。今のグリスの装備はリンリルにいた時に着けていた防具と似ているが若干違っている。ということは加治屋で間違いないとは思うけど…。というかこいつ、身長伸びたな?前は余裕で肩車出来たのに今は厳しそう…。


「じゃあ、そこにするか」

「がう!」


 寂れた店に向かう。店先には防具などを見せるスペースがなく、屋根に『加治屋セスタス』と書かれた看板が乗っていなければ加治屋だとは思えないような感じだ。


「チリンチリン…」


 中に入ってみる。中はいたって普通の店のようだ。壁や棚に武器防具が置いてある。それに奥から何かを叩く音が響いている。


「…いらっしゃい」


 奥から声が聞こえる。見るとカウンターの向こうで目を擦りながらこちらを見ている少女がいた。


「…ふぅあぁぁ……」

「姉ちゃん!また来たぞ!」

「あら、グリスちゃんか…。お父さーん!グリスちゃん来たよー!」


 奥に向かって叫ぶ少女、少し間を置いて、叩く音が止まる。


「今日はもう一人いるぞ!」

「…ん?……ん?」

「ああ、どうも」

「グリスちゃんの…お姉さん?」

「え?」


 初対面で女だと見抜かれたのはじめてでは…?それに、グリスの姉?どっから出てきたんだそれ…?





誤字脱字があった場合報告してくれると助かります。では。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ