転移とお金と少しのげーむ
「さて、腹もいっぱいになったし、ぼちぼち帰る方法を考えないとな」
火の後始末をしながらおっちゃんが言った。
「そうだな。何か方法はあるか?」
「あるにはあるんだが、いや、背に腹は変えられないか。転移結晶がある。これを使おう」
「…高いのか?」
「…ああ」
「……」
「いや、気にしなくていいぞ?命には変えられないからな」
「じゃあ、俺の魔法で帰ろう。それなら俺の魔力消費だけで出費はない」
「兄ちゃん転移の魔法が使えるのか…?」
「ああ、まあやったことないけど」
「は?」
ネロは確か、行ったことのある場所なら『転移』で行けるって………、ん?んん?
「あれ?」
「あ、どうも」
ここ、コーネルの組合じゃん。え?て、『転移』………戻ってこれた…。
「兄ちゃん…、今、一瞬消えなかったか?」
「あ、うん。行けるっぽいから行くか?」
「えぇ…。ああ、行くか…?」
「グリス、行くぞ。俺に捕まってくれ」
「がう!」
「本当に大丈夫なのか?」
「大丈夫だって。いくぞ?『転移』」
さっきは組合、しかも受付前に転移しちまったけど、今度は組合の外、少し外れた位置に転移するように想像する。
…出来た。
「おー!すごいな!」
「よかった。無事に転移出来たんだな…」
「だから大丈夫だって言っただろ?」
「そうだけどよ…。転移の魔法に慣れないやつが、壁に埋まって死んじまったって話を聞いたことあったからなぁ…」
「……マジで?」
あぶなっ!偶然だけど一回で出来てよかったぁ…。今度からはいろいろ気を付けよう。うん。
「んじゃ、ここでお別れだな。兄ちゃんも用事があるんだろ?」
「んぉ、おお。そうだな」
「俺に何か用がある時は教会に来てくれ。俺は今そこで世話になってるんでな」
「おっちゃんって貧乏なのか?」
「「グフッ」」
「なんでグレスまで?」
「い、いや、別に…」
致命的過ぎる……!実際飛空船があの値段じゃなかったらぎりぎり乗れないくらいのお金しか持ってないからな……。お金…。
「お、おおお、俺は、貧乏って訳じゃないぜ?ただ、あ、あああ、あんまり組合の仕事をしてないだけで、そう!ちょっと働けば、い、家くらい簡単に買えるんだよ」
「おおお!グレスもそうなのか?!」
えっ、いやー、そんなに稼げないよ?実際…。組合の依頼全部やったことあるからな?俺。
「ど、どうだったかなー(棒)うん。そんくらいは、稼げたかもなー(棒)」
「おおお!そんだけの金があったらいっぱい飯食えるよな!」
「そ、そうだな。それくらい稼げればな?」
「よし!オレも頑張ってクラス上げるぞ!」
「お、おう。そうだな?」
お金…、どうすれば稼げるんだ?……ん?待てよ?依頼の報酬金が低いのって、モンスターの素材を売ったらそっちの方が高くなることの方が多いからなのでは?でも、俺の場合は消しとんで何も残らない。例え残っても売れるような物じゃないんだよなぁ…。どうやっても稼げなくない?あれ?詰んでる?
「……とりあえず、おっちゃんに用がある時は教会に行けばいいんだな?」
「おう!俺の名前出してくれれば大丈夫!のハズだ…」
「おい最後の。はぁ、俺の場合はグリスに言ってくれ。こいつはだいたい組合にいるはずだからな」
「がう!」
「わかった。じゃ!またな!」
「「またな!」」
「それで、これからどこに行くんだ?ベルの嬢ちゃんの家か?」
「ああ。そのつもりだけど、どこか行きたいところとかあるか?」
「ないぞ!ベルの家に行こう!」
「んじゃ出発だ」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
『コンコンコン』
「ベルーいるかー?」
……やっぱりいないか。裏にまわろう。
「…どなたですか?」
「ん、グレスだけど」
「ああ、グレスね。いいわよ入って」
「ああ」
「おじゃまします!」
中に入ってリビングに向かう。
「それで?今日はなんの用?ハチミツ?」
「ああそう。えーと、はいこれ。頼まれてたハチミツ」
「わぁ、ありがとう!これでまたいろいろ作れるわ」
「おう、そうか」
「そうだ。グレス、オレの分のハチミツくれよ」
いや、別にお前の分な訳じゃないけどな?
「ほら、これ」
「やった!」
「…自分で買ったの?高かったんじゃない?」
「高いってわかってたのかよ。んまぁ、買った訳じゃなくてお詫びってことで貰ったんだよ」
「何かあったの?」
「まあな。「待って」…なんだ?」
「当ててみせるわ。龍人だからって驚かれたんじゃない?」
「…まあ、半分正解、かな?」
「え?あと半分は?」
「あと半分は精霊にめっちゃ付きまとわれてたことについて」
「へぇ~。グレスの周りには精霊がいっぱいいるんだ?」
「…ん?見えてないのか?」
転移前よりは減ったけど、充分周りに精霊がいるんだが…。
「ええ。私は見えないわよ?」
「じゃあなんであいつは見えるんだ?」
「それは……、えーと、契約してるから、だったかしら?シルちゃーん!」
「何ー?って、げ!」
裏から飛んできて俺の顔を見た瞬間顔をしかめやがった。
「おいなんだその反応」
「せ、せせせ精霊がいっぱいくっついてるぅ!!!??」
そういうことか。
「やっぱりいるのね。ねえシルちゃん、私にあなたが見えるのって契約してるからだったわよね?」
「え?う、うん。そうだよ?精霊と契約すると、精霊が見えない人も契約した子は見えるし、時間が立てばそのほかの精霊も見えるようになるよ?…これ、契約するときに言ったよね?」
「ええ、言っていたわ。確認の為に聞いたのよ。ふふふ」
「そ、そう…。ところで、なんでそいつがいるの?」
「この前来たときにハチミツを買ってきて欲しいって頼んだでしょう?それを届けに来てくれたのよ」
「そうだぞ。ついでにお前が龍を嫌ってる理由も聞いてきたからな」
「そうだったの?どんな理由だったか教えてくれない?」
「龍に飯取られて未だに怒ってるかららしい」
「…そうだったの?」
「……そうよ!あの時のことは忘れないわ!楽しみに取っておいたロイヤルゼリーをあいつは…あいつは…!『そんなに食べたかったならさっさと食べればよかったじゃんか』、なんて……!!絶対に許さないんだから!!」
「お、おう…」
その龍の言い分もわからなくはないけど、人の物を勝手に食べるのはどうかと…。……グリスはそんなやつにはならないよな?いくらなんでもそれはないよな?
「へぇ、そんな事があったのね。その、ロイヤルゼリー?はおいしいの?」
「おいしいわ!だからこそよ!」
「どうどう。…ところで、グレスはこれからどうするの?」
「…他の街に行こうかと思ってるけど、なんかあるのか?」
「…グレス、近々イベントがあること、知ってる?」
「……え?マジで?」
「ああ、知らなかったのね。あるのよ、イベント」
「え、え…どんな?」
「ええと、確か、参加者全員ぶちこんだ島でのバトルロイヤル…だったはずよ」
「……ん?何それ?」
「そこは、ほら。公式サイトとか、掲示板をみればすぐのはずよ。そろそろログアウトする時間でしょ?ネロに聞いてもいいんじゃないかしら?」
「…そうだな。そうするよ。んじゃ、またな。帰るぞグリス」
「がう。またな!ベル!シルフ!」
「ええ。またね」
「ふん!」
「シルちゃん…」
イベントか…。そんなのがあるならゲーム内で何かしらあっても良いよな?設定か?設定なのか?あのランダムにしてしまった設定のせいなのか?……これも後でネロに聞こう。うん。イベントも出来れば参加したいなぁ。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
自分で書いてて思うんですけど、この作品本当にVRゲームの話です?今回イベントの話なかったらこのまま次の街にいかしてたんですけど、そこでもゲーム要素ほぼ皆無ですぜ?どうなってんだこれ…。あ、次回はたぶん掲示板回です。あと、誤字脱字があった場合報告してくれると助かります。では。




