魔法
「魔法を教えてほしいじゃと?」
「ああ」
「主、魔法使えんのか?」
「うん」
「なるほど。…よし、わかった。教えてやろう」
「本当か?!」
「うむ。それでは裏に行くぞ。そこならなにしてもなんとかなるでの」
「わかった!」
やった!これで魔法が使えるようになるぞ!
「オレ!オレにも教えてくれ!」
「うむうむ、わかっておるわ」
「やったー!」
「魔法位でなんでそんなに嬉しそうなんだ?」
「イータ使うのも楽しいけど、魔法もやってみたい!火は強いって言ってたし!」
「使うって、お嬢…。いや、俺様は今槍か、うん。間違ってねえや!」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
組合がある木の裏、地面に柵で囲いが作られている場所にきた。
「主ら、魔法がどういうモノか知っとるか?」
「知らん」
「知らない」
「…では基本的なことを少しばかり、魔法に必要なスキルは魔力感知と魔力操作の二つ、主らの場合、種族スキルで魔力が見えるはず、そうじゃな?」
「ああ」
「う、ん?」
「グリスには個別指導かの…。で、じゃ。この二つが出来たなら、最後は魔法を出すだけじゃ。簡単じゃろ?」
「いや、その魔法を出すってのを教えてほしいんだけど…」
「そうじゃったな。初心者ならまず詠唱して出すやり方がええな」
「詠唱…」
「そうじゃ。えーと、初心者なら………、グレス儂の言葉に続け」
「ぅえ、おう…!」
リツ婆さんが右手をあげた。俺も一応あげておこう。
「『我 魔を操る者』」
「わ、『我 魔を操る者』」
「『我が声に答え 理を覆せ』」
「『我が声に答え 理を覆せ』」
「『水魔法 ウォーターボール』」
「『水魔法 ウォーターボール』」
最後の言葉を言い終わると、右手の先に魔方陣が出来上がり、そこから水の球が飛び出した。
「まあこんな感じじゃな」
「え?」
「わかったじゃろ?」
何が?!いや、まあ一応魔力の動きは見えたけど、どうすれば良いんだよ、これ…。
「後は自分でなんとかなるじゃろ。グリスはこっちにこい。少し離れた所でやろう」
「ん、わかった!」
「えぇ…」
嘘だろ?…………あ、あれか。魔法の出し方がわからないって言ったからさっきのなんだな。リツ婆さんは、魔法の出し方がわかれば後は自分でどうにかするだろう。って考えなのか。なるほどな。……そういうことだよな?
…とりあえず、やってみるか。詠唱は……、いるかな?無詠唱のスキル持ってるし、ネロは魔法使う時詠唱なんてしてなかったんだよな。試しに、一回だけ詠唱無しでやってみよう。
「『ウォーターボール』」
お、出来た。しかもさっきより少しでかい。なんでだろう。
ん~……魔法って、他にはどんなのがあるんだ?スキルとして全部の魔法は使えるんだろうけど、内容がわからないからな…。
とりあえず、どうしよう?手探りでやってみるか?でもなんか危ない感じするんだよなぁ。
あれ?リツ婆さんがこっちに来てる。どうしたんだ?
「どうかしたのか?」
「一つ言い忘れていたことがあったのでの」
「なに?」
「魔法に形はないからの」
「うん?どういうこと?」
「そのままの意味じゃ。それと、グリスは一応魔力操作と火魔法のスキルは覚えた。まだまだ危なっかしいので暫くつくことにした。主も聞きたいことがあるんなら聞いてええぞ」
おう、そうなのか。短時間でできるもんなんだな。そしてさっそくだけど、
「質問いいか?」
「なんじゃ?」
「魔法の種類を教えて欲しいんだ」
「…ふむ。まず、基本の六系統とその派生の六系統、火、水、風、土、光、闇、火の派生の炎、水の派生の氷、風の派生の嵐、土の派生の泥、光の派生の回復、闇の派生の派生の影、特殊な位置づけの六系統、雷、時、空間、付与、召喚、精霊。更に一部のモンスターが扱う毒、音に竜/龍しか使うことがない竜/龍魔法。…そんで、黒魔法と白魔法の計二十三が儂が知っとる魔法の種類じゃ」
「……」
そんなに数があるのか…。すごいな…。
「他にもあるが、まあ、そこは自分で探すとええじゃろう。もしくは自分で編み出すのじゃな。それじゃあの」
編み出す?そんなことできるのか?いや、魔法に形はないって言ってたしそれと繋がってるのか?う~ん?とりあえず試してみるか?危ない感じはあるけど、やってみないとなにもわからないしな。
「じゃあ、まずは…『ウィンドボール』」
ん、出たな。よし。他の系統も試そう。
回復、影、時、空間、付与、召喚、精霊、モンスター系統、白黒は『~ボール』の魔法はでなかった。
精霊に関しては魔方陣が途中で壊れた感じだ(他はそもそも魔方陣ができなかった)。これはたぶん精霊の有無なんだろうけど、語りかけたりするんだろうか?
他にも『アロー』や『ランス』を試したけど、結果は変わらず。その過程でわかったけど、どうやら魔法は『ウォーターボール』じゃなくて『水の球』のような別の言い方でも似たようなモノを出せるようだ。ただ、言い方を変えた場合、より魔法の完成形がイメージしやすい言葉の方が強くなるみたいだった。
回復は『ヒール』といったその名の通り、回復ならなんでもござれな感じ。
付与に関しては簡単に出来て、筋力なんかを1,5倍位に出来た。
召喚は、『召喚』って言ったらヤバイモノが這い出てくるのを感じたから途中で破棄したからよくわからん結果に。
モンスター系統は毒は魔方陣からドバドバ毒が流れ、音は魔方陣から何かが流れるだけだった。龍に関しては試せるような魔法はなかった。というか龍魔法は身体強化、ブレス、龍化or人化だけだと思う。たぶんだけど。
そして最後に時、空間を試したんだけど、何も起きなかった。どちらも何か足りないみたいで魔力だけが減っていった。
「主、本当に何者なんじゃ?これだけの魔法を使える等とは…、本当に人か?」
「…たまに本当に人間なのか疑問に思うことはあるけど、人間だよ」
「そうか」
「リツ婆はどの魔法が使えるんだ?」
「基本六系統と嵐、雷、時、空間、精霊じゃな」
「時と空間ってどうやったら発動できるんだ?」
「これらは二つで一つの魔法になるんじゃ。一応分けて言ったのじゃが、基本は時空間魔法と呼ばれとるんじゃよ。紛らわしい言い方してすまんかったの」
「いや、いいよ。ありがとう」
「よいよい。それにしても、主は精霊魔法まで使えるとは思わんかったぞ?」
「使えてたか?」
「精霊に呼び掛けておらんかったから発動はせんかったが、出来ていたぞ。主は精霊に好かれとるんじゃから、言えば簡単に力を貸してくれると思うぞ?」
「そうなのか」
好かれてるのか。あ、そう言えば。
「なあ、リツ婆。龍と精霊の仲が悪いって聞いたんだけど、こいつら見てるとそんな感じしないんだよ。どういうこと?」
視界には、やっと魔力との差別がつくようになった精霊達が飛び回っている姿が見える。
「その話誰から聞いたんじゃ?」
「シルフ」
「あー、なるほどの~。いいか?その話はほぼ嘘じゃ」
「え?」
「あやつは昔、自分の食事を龍に食われたことがあっての。それを未だに根に持っとるんじゃよ。それが、色々誇張されてそんな話になったんじゃ」
「そうだったのか」
てかそんなショボい理由で俺はあいつに謝ったりしたのか?なんか腹立ってきたような…。
「怒らんでやってくれ。あやつはまだ意思を持って数百年。まだまだ子供なんじゃよ」
「え」
「何驚いとるんじゃ。いや~でも、あやつにも好きな者が出来て良かった良かった」
「好きな者って、ベルのことか?」
「なんじゃ知っとるんか。その通りじゃ。精霊というのは、基本的に好む者の側にいたがるやつらなんじゃ。まあ、一部の上位精霊は人の心が読めるせいで、あまり人前には出てこんのじゃがな」
「へー」
そういうもんなのか。
「グレス!リツ婆!」
「ん?」「なんじゃ?」
少し離れて遊んでいたグリスがやって来た。
「見ててくれ!こんなこと出来るようになったんだよ!『ファイヤーウェーブ』!」
グリスが魔法を放った瞬間、グリスを中心とした扇状に炎が現れ、辺り一面を火の海にした。って、アホーーー!!!??
「「何やってんだ!!」」
まあこの後、グレスとリツ婆の水魔法と奇跡的に降ってきた雨のおかげで森が焼けることは無かったんですけどね。芝生と柵は焼けたけど。
あ、誤字脱字があった場合報告してくれると助かります。では。




