先の話
「━━…ん、戻ったか」
さて、ネロの用事って何かな?
「ネロー?」
「はい。こちらです」
台所か。
「用ってなに?」
「これを作るのを手伝ってほしいんです」
ネロが手に持っていたのは餃子の皮だった。
「旧ボディ使えばいいんじゃないの?てか、少し多くないか?」
「現在使用しているのが旧ボディです。少し多いのは明日使おうかと思いまして」
「なるほど。今新ボディはどこにあるんだ?」
俺も皮をとって中にあんをいれ始める。
「現在はお父様達の会社にあります」
「なんで?」
「上の方達に報告するためだそうです。ここで結果が出ればもう少しお金が出るとか」
「へぇー」
まあ、あのボディに使われてる技術って相当だからなぁ。一年と少しで随分と変わったんだよな。
「結城様」
「ん?なんだ?」
「聞きたいことがあるのですが」
「珍しいな。なに?」
「結城様は高校を卒業したらどうするおつもりなのですか?」
「卒業?後一年以上先の話だろ?なんだよ急に。まあ、そうだな…前は就職や大学行くことは考えてなかったよ。家で専業主婦的なやつになろうと考えてたね。あーいや、家でもできる仕事ならやる。的な感じだったかな」
「…今はどうなのですか?」
「今は、正直どうしようか迷ってんだよね。ネロが来てくれたお陰で、俺はずっと家にいなくてよくなっただろ?それは助かってるんだけど、先が微妙になくなったような感じがしてさぁ。大学行ったら絶対楽しいだろうし、就職しても楽しんでるとは思うんだけど、どっちにしても、周りのやつらとは一年ずれちゃうんだよね。そこがなんかね」
「……」
「ま、そんな話は一年先でいいよ。俺もネロに聞きたいことがあるんだよ。聞きたいってか教えてほしいことなんだけど」
「何ですか?」
「魔法ってどうやって使うの?」
「……、呪文を言い、名を言えば出ます」
「無詠唱は?」
「魔法のカタチをしっかりとイメージしながら名を言えば出ます」
「なるほど。ありがとな」
そんな感じでいいんだ。でも名前ってどういうことだ?そんなのわかんないぞ?
「ね「なにか、やりたいことはないのですか?」…え?」
「結城様に叶えたい夢はありますか?」
「……えっと、今はない、かな」
「では、やりたいことはないですか?」
「げ「ゲーム以外です」……ない」
「そうですか」
「………。ゲームは、逃げ場所だから」
「?どういう意味ですか?」
「…昔、まだ俺が家事をしてなかった頃、ゲームは遊びだったんだ。でも、俺が家事をするようになってから、俺は俺の時間が減った。中学でやりたかったことは全部置いて、やらなきゃいけないことをやった。別に、無理してやる必要はなかったんだ。でも、父さんと母さんには、仕事を頑張ってほしかった。二人のやってることは、二人のやりたいことだったから。そして、空いた少しの時間をゲームに使った。勉強は嫌だったから。だから、俺にとってゲームは嫌なことがあったりすると逃げる場所なんだよ。今は単に遊び、でもないか。まあ楽しんでるけど」
響矢や響とゲームをやってる時間は、楽しかったし、癒しだったんだよな。それでも、一時期ゲームから離れた時もあったけか…。あれ?なんのゲームが原因だっけ?
「そんな訳で、今のところゲーム以外にやりたいことはないかな」
「…そうですか」
「あはは。変なこと言って悪かったな。忘れてくれ」
「いえ、そんなことは……」
んー、こんな事誰かに言うのははじめてかもなぁ、これもネロのお陰かな?
「さ、早く終わらせちゃおうぜ」
「そう、ですね…」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「ふぅ、終わった~」
黙々と作業を続けて、三十分程で終わった。
「あ、そういえば、もうひとつ聞きたいことがあるんでした」
「ん?なに?」
「小型のバイクを購入したいのですがよろしいですか?」
「…えっと、免許は?」
「先日取りました」
「……お金は?」
「株で得た収入があります」
……え、株?マジで?
「……まあ、買えるなら買ってもいいと思うけど」
「ありがとうございます」
「……、どれくらい持ってるの?」
「うん万円です」
「いや、ぼかさなくていいから」
「はっきりとはわかりません。ですが、結城様の貯金よりは多いはずです」
「……」
え?俺の貯金額知ってるの?なんで?
「それでは明日購入の手続きをしてきますね」
「あ、うん…」
いやこえーよ。
…あー、バイク買ったらどこに置くつもりなんだ?
「ネロ、バイク買うのはいいんだけど、どこに置くつもりなんだ?」
「それは、………どこに置きましょう?」
「えぇ……」
家には車一台置いておくスペースはあっても、バイクを置けるようなスペースはないんだよなぁ。
「そこは考えておきます」
「ああ、そう…」
「夕食までまだ少し時間がありますのでもう一度あちらへ行ってきては?」
「いや、いいよ。テレビでも見て待ってるから」
「……」
「どうした?」
「いえ、少し驚きまして。結城様は時間があればずっとゲームをやるのだとばかり思っていたので」
「そんな廃人みたいな、あ、いや、廃人はもっとひどいか。でも俺はそこまでじゃないよ。ちゃんと飯食ってるだろ?」
「判断基準って食事何ですか?」
「もう、いいから。はぁ…俺ってどんななんだよ……」
……テレビでも見て落ち着こう。
『ピッ』
『──えー、続きまして最近話題のVRゲームアナザーワールドオンライン。通称AWOですが、近々アップデートが来るそうです』
これは、ニュース番組、だよな?ゲームのそういうのって取り扱うものだっけ?
「最近は増えてきているみたいですよ。VR技術については」
「へぇ……」
そうだったのか。
『アップデート内容については公開されていませんが、初のアップデートということでプレイヤーの皆さんは気になっているようです。街頭インタビューの映像をご覧ください』
『めっちゃ楽しみっす!どんなことが追加されるのか今から待ちきれないっすよ!』
『何かの調整だったりするんでしょうかね』
『……、えっと、楽しみ、です』
『え?!アップデートくるんですか?!うわぁ、楽しみだなぁ…!』
『等々、各々がアップデート内容について考察していました』
ふ~ん、アップデートがあるのか。そりゃあ楽しみだな。
「ネロはアップデート内容についてなんか知ってるのか?」
「いえ、なにも知りません」
「そうなのか」
ネロが知らないってことは本当に情報公開してないのか。でもネロなら勝手に会社のシステムに入り込んで情報をゲットしてそうだけど、さすがにそれはないか。……、ないよな?
『続いてのニュースです。世界でまた、難病の患者が救われました。これもまた、技術の発展のお陰ですね』
『ですね。そういえば、この技術革新には、一人の人物が大きく影響しているそうですよ』
『その人物とは?』
『そこはわからないんですが、その人物のお陰で発展したのは事実のようです』
『その話は気になりますが、次のニュースに移りましょう。続いては━━』
……んん?これ俺のことか?いや、そんなわけないか。いやー、でも、脳を活性化させるって相当の技術だろうし、そうなのかなぁ…?うーん?
「……ふぁああぁぁ……、なんか眠くなってきたな」
夕飯まで、あと一時間位か。うん、三十分位寝よう。起きてすぐ飯って太りそうだけど、まあ、少し位いいか。うん、少し、位は、な…………。
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