新しい街
R1/10/13修正
「ガウ!ガウ!ガアァ!(そい!そい!そいやぁ!)」
グリスが猪のモンスターを仕留めた。これでまたレベルアップだろう。
今はこいつが仲間(?)になった翌日だ。
「どうだ?」
「ガウガウガア!(もう余裕よ!)」
「そうか」
「ガッ!ガッ!ガア!(もっと強いやつとやりたいぜ!)」
ふむ。そう言われてもな。コーネルの周りじゃこの北の森が一番モンスターのレベルが高いんだが、南は論外として……。う~ん、次の街にでも行くか?この街じゃ依頼も受けられないしな。出禁はいつになったら解けるんだろうか。
まあ、それは置いといて、この街でやり残した事とか無いよな?……無いな。一応ベルとかには連絡入れた方がいいか。そうと決まればすぐ行こう。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「え?街を離れる?」
「うん。こいつのレベル上げがここら辺じゃ厳しくなって来たからな」
「その、グリス?はテイムしたの?」
「いや、卵屋って所で貰った卵から孵ったやつだよ。なんなら場所教えようか?」
「…ええ、お願いするわ……」
じゃあ、とマップを開く。
「えっと、ここの通りからこの路地に入って、この道を左に行って正面にあるのが卵屋」
「へぇ、こんなところにお店屋が…、他にもあるのかしら?」
「それはわからないけど、たぶんあるんじゃないかな?リゾットはそういうのをよく探してるらしいから、今度聞いてみたら?」
「……ええ。そうするわ」
「ん。じゃあ、いくわ」
「……ねえ、たまには帰って来る?」
「ん?ん~、そうだな。俺がやり残した事がまだあるしな。こいつのレベル上げが一段落着いたら帰って来ると思うよ?」
転移の魔法使えば一瞬だし。
「そ、そう?」
「そう。じゃ」
あ、どこ行くか決めてなかったな。南以外…、そういえばこの前依頼で西に行ったんだよな。そっちにある港街が目的地で確か名前は、ガハルだっけ。そこに行くか。
「西に行こう」
「ガガア?(そっちには何があるんだ?)」
「……魚?」
「……ガア」
おい、なんだ今の。あれか?そのままの意味だとでも言いたいのか?翻訳されないとか…。しょうがないじゃないか、行ったっていっても街の入り口までで街の中には入ってないんだからさ。海も見ただけだし……。
………。
「行くぞ」
「ガア(おう)」
切り替えて行こう。こいつの今のレベルは十二、北の森のレベル帯は十~十五、西は八~十。さっきは十四レベルの猪だったから、西は余裕で行ける。道中危険は無いだろう。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
って思ってたんだけどなぁ。
「ガウ、ガア!(おい、お前も戦えや!)」
「え、やだ」
「ガアァァァ!(くそがぁぁぁ!)」
グリスは竜と戦闘中。
何でこんなところに竜がいるんだ?って思ったけど、この前の依頼の中に竜の群れの討伐or捜索の依頼があったっけ、それの生き残りかな?全員吹っ飛ばしたと思ったけど…、いや全員殺ったな。てことはこいつ、あの場にいなかっただけで群れの一員ってことか?う~んでも群れがいたのって北東だったしなぁ。
「グオォォォ!!!」
「ガウ、ガア!ガア!(おい、こっち手伝えや!おい!)」
「いや、充分弱らせただろ?それ以上は無理」
「ガガア!(翼折っただけだろうが!)」
「ガァァァァ!!!」
それでいいだろ。できれば終始一人で戦って欲しいんだけど、あの竜最初に俺を狙ってきたからなぁ。遠距離からの拳圧で翼へし折ってやったけど。やっぱりあの群れの生き残りだよなぁ。
「ガア!ガウガア!(ガア!いい加減死ねや!)」
「グルオォォォ!!!」
「ガウ、ガルアァ!(この、くそがぁ!)」
お?グリスの魔力が動き始めたな。この感じは…。
「ガアァァァ!(死ねぇぇぇ!)」
「グル!?グルァァァァァァ………」
あ、終わった。最後のあれはもしや?
「ガァ、ガァ(はぁ、はぁ)」
「お疲れ。どうだった?」
「ガウガウガアァ!(疲れたわチクショウ!)」
「そうか。で、レベルは上がったか?」
「ガウ(知らん)」
「おい。仕方ない見るか」
どれどれ、ん、レベルは十五。三つ上がったか。そこそこ強かったんだな、あの竜。お?このスキル、やっぱりか。
「三つ上がってた。で、新しく《龍魔法》を取得してた」
「ガア!(おお、やったぜ!)」
「さっきの戦いの最後のやつが決め手だな。あれが身体強化ってやつ。戦闘ではいつも使うようにしろよ」
まあ俺は使って無いけど。
「ガウ(おう)」
「よし、じゃあ再出発だな」
竜に遭遇したから置いといたけど、もう少しで森を抜けられるはずだ。森を抜けたところからは海が見える。さっきから潮の香りがしてるし、すぐ抜けられるだろう。
「ガウガア?(この先に何があるんだ?)」
「街と海と魚かな?」
「ガウ?(海?)」
「でっかい水溜まりだな。しょっぱいけど」
「ガウガウ(魚は旨いのか?)」
「…旨いんじゃないか?」
「ガウ(ふーん)」
そんな話をしてるうちに森を抜けたな。この前来たときは留まってた船がいくつかなくなってるな。漁とかに行ってんのかな?そういうところはさっぱりなんだよなぁ。
「さ、もう一息だな」
「ガウ、ガア(疲れたわ、乗せろ)」
「嫌だわ。自分で行けよ。おい、乗るな。おい。……、はぁ」
まあ、ずっと戦ってたし、街までならいいか。
…そういえば、こいつって幼龍なんだよな。いつ成龍になるんだ?ていうかこいつに属性的なのあるのか?白いから白龍になるのかな?それとも変な感じに進化するとか。例えば智龍とか?……似合わないな。ふふふ。
「ガル(なんか言ったか)」
「いや、別に」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「着いたな」
無事、何事もなく着いた。門もランクの確認なく通過した。
「ガウ(そうだな)」
「……まずは組合かな?」
「ガ?ガウガウ?(え?魚食わないのか?)」
「それは後でいいだろ。てか食べたかったんかい」
「ガウガウ、ガア(食ってみたいだろ、魚)」
「まあ、気になるけど……」
さっきからチラチラと視界に写る魚は、どう見ても食えるような色をしてないものや、明らかにモンスターなものまであるのだ。味が気になる。
「でも、ここならたぶん依頼受けられると思うから、先に確認だけしときたいな」
「ガウ…(魚…)」
「後で、後でな」
俺も食ってみたいし。
「ちゃっちゃと確認だけしよう」
組合は街の中心近くにあった。そこからさらに東に行くと港があるみたい。
この街の組合はコーネルとは違い、一階建てだ。中は広く、手前に受付やボードがあり、奥に組合支部長の部屋などがあるようだ。それはいいとして……、
「えーっと、受付のお兄さん?そろそろいいかな?」
「いや!あの、もう少しだけ、お待ち頂けないでしょうか?!」
「え、はい」
現在受付のお兄さんに足止めを食らっている。どうやら支部長を呼んでいるらしいのだが、不在らしい。それでこうして待っているわけなんだが、そろそろ行きたい。グリスは終わったら起こせと言わんばかりに頭の上で寝てしまった。
「もう、なんなんだ?人がせっかくできた空き時間に釣りを楽しんでいたって言うのに……」
「支部長~!!!」
「うわぁ?!って、なんだメガネ君か、何?どんな事情で呼んだわけ?つまらない理由だったらそのメガネ、餌にするよ?」
「そ、それは勘弁願いたいのですが…、って全然つまらないような事じゃないんですよ!Sクラス!Sクラスの人が来てるんですよ!!」
「Sクラス~?どこに?Sクラスの顔は全員覚えてるぞ?」
「今!目の前に!いる人ですよ!!はぁ、はぁ……」
「目の前…君かっ」
ズビシッ!っと効果音のしそうなほど綺麗にこちらを指差す支部長。釣竿を肩に担いでいるのに妙に様になっている。
「…ええ、まあ」
「ふむ、つい最近Sクラスになったのかな?それなら連絡が来ていてもおかしくないんだが、君、どこから来たの?」
「コーネルです。とりあえず、もう行ってもいいですかね?時間が…」
「ああ、そうか。ではまた時間がある時に来てくれ。私も釣りに戻りたいので」
「え”ッ!帰していいんですか?!」
「…Sクラスにそういうのは通じないぞメガネ君。やりたいようにやらせるのがこの業界での長生きのコツだ」
「えぇ……」
行っていいんだよな?
誤字脱字があったら報告してくれるとうれしいです。




