チュートリアルと邂逅
『チュートリアルを開始します』
放心状態だった俺にそんな声が聞こえてきた。チュートリアル…ここゲームの中であってるのか。まあいいや…。
『まずはメニューを開いてください。発言するか念じればメニューが出現します』
メニューそう念じると半透明の板が出てきて上から、ステータス、マップ、ボックス、メール、設定となっていた。
『まずはステータスを確認してください』
ステータスと念じると出てきた。
ステータス
名前
種族:人族(龍)Lv1 職業:無職Lv0
HP150 MP150
筋力100 防御力100
俊敏100 知力100
運100
StP20
スキル
《格闘術Lv1》《モンスター言語Lv1》《鑑定眼》
称号
【龍人の末裔】
『この世界でのあなたの名前を決めてください』
……気になることはあるけど、今は気にしないようにしよう。
名前か、うーん前まで使ってた名前は男用のだったしなぁ、それを少し変えて、「グレス・ハーフ」と。
『次にStPを振り分けてください。StPはステータスポイントの略です』
筋力に10、俊敏に10。
『スキルはスキル名を押すと詳細が出ます。鑑定眼のスキルがあるので更に詳しく知ることもできます』
鑑定眼スゲーな。
『次にマップです。これは今いる場所の名前などが確認できるというものです』
“次元の狭間”、ね……。
『ボックスでは持っているアイテムの確認ができます。持っている物なら詳細を見ることができます』
アイテムボックスってことでいいのか?
『次にメールです。これは運営からのメール、プレイヤーからのメールを確認するところです。メールが来ている場合画面端で手紙マークが点滅します』
ずっとチカチカしてたのはこれか。
『最後に設定です。これは視界に映るものの設定から痛覚設定フレンド申請などをするところです』
マップを視界右下に、HPMP表示を視界左上に数値じゃなくて、バーで。ちなみにHPが緑でMPが青。
『以上で基本チュートリアルを終了します。街に着いた場合もチュートリアルが発生するので気をつけてください』
これでチュートリアルは終わりか。結構簡単だったな。……まあチュートリアルも終わったんだし、気になってたのを確認するか。
《鑑定眼》!
種族:人族(龍)
祖先に龍を持つ人族のこと。
血は薄れているがスペックが高い。
《モンスター言語Lv1》
モンスターの言葉がスキルレベルに応じて解るようになる。
Lv1では片言で聞き取り難い。
【龍人の末裔】
祖先に龍を持つ人族のこと。
その身に宿すは最強種の血である。薄れてはいるが龍の血であることに変わりはない。
レベルアップ時StP増加。
最後に《鑑定眼》を。
《鑑定眼》
《鑑定》よりも強い《鑑定》。
見えないものもみえるようになるかもしれない。一種の魔眼。
……ランダムってスゲー。
っと放心してる場合じゃないな。この次元の狭間からでねーと。でもどうやって?周りを見ても壁しかない。となると、上か。
俺は上を見上げる。そこには高く長く続く絶壁があった。……これを登るのか?
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俺は今崖を登っている。あの絶壁を、素手で、安全器具を着けずに。一時間以上。
正直後悔している。これは思った以上にキツイ疲れることは無いが、心が疲れていく。でも、途中で《登攀》のスキルを獲得した頃から少し登るのが楽になった。スキルスゲー、まじでスゲー。
それに、ちょっと前から上に明かりが見え始めたんだよね。後少しだから頑張る。
明かりの手前までつくと絶壁が終わり、横穴が空いているのがわかった。
絶壁を登り終わると、目の前には、白く輝く一体の龍がいた。
『龍の気配がすると思ったが、まさか人の子だとはな。お主なぜこのような所に居るのだ?』
しゃ、しゃべった…。
『聞こえておらんのか?』
「聞こえてます。ここには気がついたらいました」
『そうか。まあ好きにせい。ここには何もないからの』
「何もない?」
『そうじゃ。ここには何もない、誰もいない。私一人しかの』
「ここから出る方法は無いんですか?」
『あるぞ。お主プレイヤーとか言う奴じゃろ。お主なら死ねば元の世界に帰れるはずだぞ』
その手があったか。
『まあ、帰ることはいつでもできるのじゃから、少し私と話さんかね?』
「良いですよ」
『そんな硬い喋り方じゃなくてよいぞ』
「ありがとう」
『ふふ、久方ぶりの客人じゃからな』
それから俺達は色々なことを話あった。この世界のこと、リアルのこと、どうしてこんなところにいるのか、名前はなんて言うのか、本当に色々なことだ。
この龍の名はゼロ、はじまりの龍らしい。ここには自分から来たそうだ。何でか聞いたら、私がいても良いことは無いからと返された。
そんな風に話をしていたが、終わりが来た。
『そろそろお主を帰そう。老龍の話を聞いてくれてありがとの。楽しかったぞい』
「俺はグレスだ。ゼロ。俺も楽しかったよ。またな」
『そうか。では、またいつか話をしようの。グレス』
その言葉を最後に俺は死んだ。
ゼロはヤベー奴です。
グレスが鑑定眼を使って無いのは単に忘れてたからです。