戦いとお金
戦いの描写なんてできないよ……。
ここで一つ、疑問が浮かんだ。
「俺バトル初めてだからルール知らねえぞ?」
「あ、そうだった。今から教えるわ」
ルールを要約すると
1、フィールドから出たら負け。
2、相手が機能停止したら勝ち。
3、パーツ破損は自己負担。
この三つを覚えておけばとりあえず大丈夫そうだ。
「んーでも神城のは武装パーツが一つも載ってないな」
「これでは戦いにならない。どうにかならないのかマサシ」
「う~んこればっかりはどうにも……」
今喋ったのって佐々木のプラモか?ネロと同じで結構滑らかな発音だな。
「おいネロ、お前武装の一つも買わなかったのか?」
「はい。必要ないと判断しました」
「どうやって戦う気だよ」
「徒手空拳?」
「何故疑問系?」
「結城様が使う龍人格闘術なら余裕だと思いまして」
「お前あれ使えるのか?」
「はい」
「……なら問題ないか。おい佐々木、こっちは武装なしで戦えるらしいからそのままやるぞ」
「……マジで言ってんのか?」
「くくく、マサシもなめられたものだな」
「笑うなゴウジュ。神城本当にそれで良いんだな?壊れても知らないからな」
「オーケーだ」
「んじゃ、バトル再開だな」
そう佐々木が言った瞬間ゴウジュと呼ばれた佐々木のプラモが走り出した。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
甲冑を着た機体が走り出す。その先にはインナーのようなものを着けてるだけの肌パーツが露出しているまさに素体…、これからなにかしらの武装を施さないと戦えないような機体・ネロがただ立っていた。
甲冑の機体・ゴウジュは脇に差していた刀を抜刀し、ネロに斬りかかる。それをネロは半歩横にずれるだけで回避し、斬りかかった体勢のままのゴウジュの脇に蹴りを入れる。しかし甲冑にはばまれダメージは芳しくない。
武装も無い者が自分に勝てるわけないと思い、一撃で終わらせるつもりでいたゴウジュは攻撃を避けられ、さらに蹴りを入れられたことに驚き次の行動が遅れ、さらに背中に一撃くらうことになってしまった。
これではダメだと一端距離を置くゴウジュだったが、すぐさまネロが追い付いて攻撃してきたことでまたダメージを受けることになった。しかも今回は甲冑では守ることのできない関節部を狙われさらに体勢を崩すことになった。
「ぐ……くくく、なかなかやるではないか」
「いえ、そんなことは」
「そう謙遜するな。初戦で、しかも武装なしそれでここまでできれば上出来よ」
「はあ……」
「ここからは油断なくいくぞ」
そう言ってゴウジュは立ち上がり、刀を構えた。対するネロは変わらずただ立っているだけ。
先に仕掛けたのはやはりゴウジュ、接近し、斬りかかる。それを先程のように回避したネロであったが、ゴウジュはそこから次に繋げていた。横に避けることをよみ振り払うように刀を振るう。
取った。
ゴウジュはそう確信した。しかし、ネロに刃は届いておらず肘と膝に挟まれ止まっていた。
「なっ」
思わず声が漏れるゴウジュ。油断はなかった。あそこから止められるはずがない。だから取ったと確信したのだ。そしてまたもや行動が遅れた。
ネロは挟んでいた刀を空いている方の手で叩き折った。そしてそのままゴウジュに近づき腕を掴んで、そのままフィールド外へ投げ飛ばした。
『ビー 戦闘終了』
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
……こいつどうやってあの重装備のやつを投げ飛ばしたんだ?
「結城様。終わりました」
「お、おう。お前今のどうやったんだよ」
「普通にこう」
ぐるんと一回転してぽーいとするジェスチャーをする。
「そっすか……」
「うがー!負けたー!」
「そうだな。負けてしまった。まさか武装も無いやつに負けるとは……」
「てか最後の!神城お前どんな改造したんだよ!」
「か、改造?したのか?ネロ」
「しました」
「もちろんお金は?」
「結城様の財布から」
「ごふっ」
こいつまた……。
「ネロって言ったか?どんな改造したんだ?」
「内部フレームの強度増加、神経系統の伝達スピードアップ、筋肉パーツの筋力増加」
「うおぉすげぇ!」
え?何?そんなに凄いことなの?て言うかいくら使ったんだそれ。
「なあ、それって凄いのか?」
「凄いも何もそこまでやったら普通の人ならお金無くなるよ」
「え」
「凄いなぁ……」
え?え?そんなにタカインデスカ?え?
「か、かかか帰るぞ!ネロ」
「はい」
いったいどっちの金を使ったんだ?いやどっちにしろやばい。
「もう帰るのか?」
「ああ。帰って確認したいことが出来た」
「先生良いんですか?」
「ん?あ~後一、二分ぐらいで鳴ると思うから良いぞ」
「そんじゃ、俺は帰る。明日からまたよろしくな」
「おう。俺らも帰ろう刀折れちまったから直さないと」
「そうだな。……もう一本あればさらに良いんだがな」
「無茶言うなよ」
「だがな……」
家のネロが折ってしまって悪かったな。
だが、今は早く帰ってお財布の中身を確認しなくては!
「あ、あなた今朝の……あ!ちょっと待って!」
「すまん琴音!また今度!」
「え…名前……」
ぬおあーー!
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「ただいま!」
っし!確認だ確認!手持ちはもう確認したから中だ中!
「ろ、ログイン!」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
宿から出る必要はない……。昨日は気づかなかったけどアイテムボックスに金額が書いてあるはず……。
1030G
なん、だと……。あの街を出る時には十万はあったはずなのに…………。
《マスター。一度戻ってきてください。昼食を食べてからお金については考えましょう》
お前が言うのか……?使ったのお前なのに……?
《……》
「ろ、ログアウト……」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「う、うう……。パンがしょっぱい……」
「結城様そんなに落ち込まないでください。お金なら稼げばいいんですよ」
「どうやってぇ……。組合の依頼は高額報酬のやつって少ないんだぞ」
「モンスターの素材を売るんですよ」
「素材……?はっ!解体か!」
「そうです。モンスターの素材を売ればそこそこの金額になるはずですよ」
「そうかそうか!そうと決まればとっとと食べて金作だ!」
次話では凄いことが起こります。作者が前々から出したかったモノが……。




