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一年越しに叶える夢~AWAの世界にて~  作者: 高木橋ユウ
二章 旅の始まり《兄貴のいる国、中央国家パリドスでの騒動》
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リアルの話


「なんだよ、事案って。そんなことねえし」


 何言ってんだこいつらは。俺にそんな趣味は無い。


『コンコン』

『結城様夕食の準備が出来ましたよ』

「わかったー」


 こいつらが言ってる種族掲示板とやらも気になるけど、先に飯を食おう。




「これは……」


 今俺の目の前には炊きたてのご飯に味噌汁、鮭の塩焼きがテーブルの上に並べられていた。

 ……美味しそうだな。


「無難に和食にしました。……お口にあうといいのですが」

「これ、父さん達の分もちゃんと作ってあるんだよな?」

「もちろんです」

「ならいいかな。…いただきます」


 まずは鮭を……、!美味い。塩がきいていて丁度いい。

 ご飯もふっくらもちもちで、いつもの俺が作ってるやつより美味いかもな。鮭の塩焼きにも合う。

 味噌汁は……美味い、けど、何だか懐かしい感じの味だな…?


「ゆ、結城様!?どうかなさいましたか?!」

「へ?」

「涙が……」

「え……?」


 確かに、俺はいつのまにか泣いていたのか。でも、なんで?


「お口にあいませんでしたか……?」

「いや、美味しいよ。すごく美味しい。……自分でもなんで泣いてんのかわからないし…。気にしなくていいよ」

「ですが…」

「いいからいいから。ね?」

「はい……」



 その後飯を食い終わったら風呂に入り(ネロが沸かしておいてくれた)、再度AWAにログイン。ギャラルガの組合にて販売されていた《解体》のスキルブック(スキルを習得できるアイテム)を購入し(安かった)使用。そのままログアウトした。あ、父さん達がネロの料理を食べたら『結城とどっこいどっこいだね/な』と言っていた。

 ちなみに《解体》の詳細はこんなかんじ。


《解体》

モンスターのHPをゼロにした時に光のチリになる。

自分で解体しなくても素材が手に入る。一定確率で通常では入手不可能なものが手に入る。

このスキルがあれば解体習得以前に倒したモンスターも瞬間的に解体できる。


 明日は今まで狩ってきたモンスターの解体だな。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇



『ピピッピピッ』

「結城様。朝です。起きてください」

「ん……。ふぁあ~……おはようネロ」


 昨日とは違ってネロはもう起きてたのか。


「はい。おはようございます」

「飯を作らないとな」

「お手伝いします」

「ありがと」


 あー、手伝ってくれる人がいるのは良いな……。



「おはよ~。あれ?今日はネロちゃんも起きてたんだ~」

「おはよう母さん。ご飯できてるよ」

「おはようございます。お母様」

「ふふ。お母さんでいいのよ~ネロちゃ~ん。大地はおふくろって言うし、結城は母さんだし、お母さんって言ってくれたっていいのにね~」

「ですが……」


 母さん寝ぼけてるな?これ。助けるか。


「あ、母さん。今日の朝食はネロも手伝ってくれたんだよ」

「あらそうなの?ありがとうね~」

「いえ。当然の事をしたまでですので」

「おはよー」

「あ、おはよう父さん」

「おはようお父さん」

「おはようございますお父様」

「ん。今日はネロちゃんもいるのか」

「そうなのよ~。朝ごはんも結城と一緒に作ってくれたんだって~」

「へ~そうなのか」

「そうそう。もう出来てるからちゃっちゃと食べちゃって」


 いつもより早くできたから少しだけ冷めてるかもな……。


「もぐもぐ。結城も今日から学校なんだからちゃんと食べろよ」

「わかってるよ。て言うかもう食べたよ」

「あらそうなの?」

「一緒に食べれば良かったのに」

「いや、いつもより早くできたから」

「♪」

「……」


 なぜネロは少し誇らしげなんだ?


「まあいいか。学校の準備は出来てるのか?」

「うん。持っていくものが全然無いからね」

「確かにね~。私達の頃も大体午前中ぐらいにはほとんど終わってたもんね~」

「そうだな…む。そろそろ時間だ。行くよお母さん」

「もうそんな時間?」

「ああ。…ごちそうさまでした」

「ごちそうさまでした」

「ほいほい、お粗末様でした」

「行ってきます」

「行ってくるね~」

「行ってらっしゃい」

「行ってらっしゃいませ」


 ふー、着替えるか。



「結城様」

「なんだ?今自分の体型が男の時とほとんど変わってなくて若干驚いてるんだが」

「それは胸が無いからでは……」

「ん?」

「いえ」


 いや胸は無くていいんだよ。何故あんな肉の塊を付けなくてはならんのだ。邪魔じゃね?動きにくいよ絶対。


「何か凄いこと考えてませんか?」

「いや、別に?それで、何か用があるんだろ?」

「あ、はい。これを学校へ持って行って欲しいのですが」

「なんだ?これ……ロボか?」


 大体15、6センチ位か?女性型なのになかなかかっこいいな……。


「プラモデルです」

「プラモデル?これが?」

「はい。これにAIをのせて戦わせるというものです」

「ほー、最近のプラモデルは凄いな。……ん?なんでそんなものを学校に持って行くんだ?」

「これを持って行けば学校でもサポートできると思ったので」

「持って行って大丈夫なのか?」


 というかこれに入れるのか?


「調べた所結構な人気なようで、子供向けと銘打たれていますが様々な年齢の方々に遊ばれているようでして、学校に持って行っている方も相当数いると思うので大丈夫かと」

「うーん?本当に大丈夫かそれ……。いや持って行くけど」


 昔見てたアニメのキャラ達みたいでなんかかっこいいし。


「じゃ、行ってくるから」

「行ってらっしゃいませ。私も後でそっちに行きますね」

「はいはい」


 さて、一年ぶりの登校な訳だけど、確か普通に学校来いって連絡が学校側から来てたんだよな。

 えーと、確かクラスは三年二組だったけ。うん。問題無いな。




 この通学路も久しぶりだな。あ、あそこにあった駄菓子屋なくなってる……。……こういう所で時間の流れを感じるな、たった一年だけど。


「♪」


 いい天気だな~。雲一つ無い。今日は洗濯物がすぐ乾くな。


「結城様」

「っ、なんだネロかびっくりした」


 カバンから顔出して急に話し掛けんなよ。てか普通に入ってるし。


「そろそろ学校ですか?」

「ああそうだ。家から大体二十分位の位置だからな。そっちは終わったのか?」

「はい」

「そうか」


 もう、着くな。

 ……周りの視線が凄い気がする。


「見られてますね」

「そりゃあね。白髪の人が自分の高校の制服着てたらね」


 しかもカバンから人型のプラモデルが……。


「学校の中じゃあんまりしゃべるなよ」

「わかりました」


 いざいざ一年ぶりの学校へ。


女性人型プラモデル。商品名はBCR(バトルクラフトリペア)

男性人型もあり、様々な種類がある。つい最近発売し爆発的に売れた。

ネロさんはちゃっかり自分のボディと一緒に発注していた。これもまた特別使用。高い。……(実はボディよりも高い)ぼそっ。

いつかはこれを題材にした作品を書きたいなー、な~んて……はぁ。

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