いろいろバレる
「なんでそんなところに連れていくのか疑問に思っているだろうが、お前の実力を試すためだ」
「うん、それはわかった。それでそこにはどうやって行くんだ?」
「これで行くんだ!」
そう言って兄貴はポケットから直方体の蒼い石を取り出した。
「テッテレー、転移結晶~」
「……」
何故猫型ロボットの真似をした?しかもそこまで似てないし。
「そんな冷めた目で見ないでっ、お兄ちゃん悲しいよ」
「はぁ、で?それは名前からして瞬間移動するためのアイテムだよな。それで行けるのか?」
「ああ。行ける」
「ならさっさと行こうぜ」
「じゃあ皆俺によるかくっつくかしてくれ」
各々が兄貴に手を置いていく。……俺も手を置こう。
「よし。転移!ギャラルガ!」
ん?今なんて?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「おい兄貴、ダンジョンに行くんじゃなかったのか?」
「そのつもりだが?」
「じゃあなんで街に転移したんだよ!」
「おいおい怒るなよ。ここに転移したのはお前が武器を持ってないからさ」
「武器?」
「そうそう武器」
確かに皆それぞれ武器を持ってるな。
サブマスのカスミは拳銃。リンはガントレット。クロムは刀。レーンは小刀と盾。シンはメイスとタワーシールド。トスは…たぶん短剣かな。ピッツはハンマー。シルクは杖。そして兄貴は長剣。
でも、
「俺は武器を使わないぞ?」
「なに?」
「あなたまさか…」
カスミは気づいたかのか?
「まさかあのステータスの暴力でモンスターを倒してるの?」
「そうそう」
「は?そんなにそいつのステータスは高いのか?」
疑問に思ったのだろうピッツが言う。
「ああ。こんな感じに……」
幸ここは街の外。転移結晶は街の中に入る物じゃないみたいだから、一発やっても問題無いだろ。
「ふんっ」
あ、ヤベ。力加減ミスったか?
パァン!!
「「「「「「「ッ!!!」」」」」」」
「なっ!」
「おぉお…!」
「……すまん。力加減ミスったみたいだ」
「ねえねえ!今のどうやったの?!スゴいカッコよかった!」
「お、おう?」
シルクが興奮した様子でよってきて捲し立てる。
…あんまりしゃべらないやつなんじゃないかと思ってたけど違うのかな?
「えっと、今のは、こう、上半身をひねってできたエネルギーを腰、背、肩、腕って伝えただけなんだけど…」
「そんな事はどうでもいい!なんだ今のは!!」
「どうでも良くないよケンジ!重要なことなんだ!!」
「お前っなに本名言ってんだ!」
「あっ、ごめん…つい…」
「はぁ、で今のは?」
「また説明か……」
ピッツとシルクに兄貴達にしたようにステータスを見せながら説明した。
その時に気づいたんだけど、スキルと称号が増えてた。
ステータス
名前 グレス・ハーフ
種族:白龍人Lv100 職業:賢者Lv1 (副職:龍神の巫女Lv100)
HP10000 MP10000+1000
筋力10000 防御力10000
俊敏10000 知力10000+1000
運1000
StP200
スキル
《龍人格闘術Lv60》《体術Lv65》
《魔力感知Lv27》《魔力操作》《無詠唱》《全魔法》new
《モンスター言語Lv9》《鑑定眼》《登攀》《隠密》《気配操作》《威圧》new
種族スキル
《龍眼》《龍鱗生成Lv20》《再生》《飛翔Lv1》
称号
【古代種族:龍人】【祖龍の友】【龍神の寵愛】Grade.up【龍神の巫女】【次元を越える者】change【墜落者】【進化者】【格上殺し】【ゴブリンキラー】【モンスターの話し相手】【魔抜けの魔法使い】【賢者】new【神に喧嘩を売る者】new【音速】new
《マスターは私がステータスを確認しておいてくださいと言ったのを忘れていたのですか?》
忘れてました。
「さっきの事についてはこれで納得した」
「……」
シルクはさっきの事で落ち込んでいるようだな。
「もうわかっただろ?早く行こうぜ」
「待て。防具はどうする?それは初期装備だろ?」
「はぁ?今のステータス見てもまだ言うか?」
「ああ。流石に初期装備で突破できるようなダンジョンじゃない」
「わかったよ。じゃあはい、これ」
初期装備:改の胴部分を脱いで渡す。今気づいたけど服の下って晒になってたんだな。
「こ、これは…!おい皆、こいつはスゴいぞ!」
「それよりもそっちの方が気になるんだけど?」
リンが俺の方を指さしている…。あ、胸か。微妙に膨らみがあるもんな。……皆驚いてるな。
「グレス、それはどういうことなんだい?」
「どうもこうもそのまんまだよ。見ての通り女さ」
「最初に紹介された時は弟って言われた気がするんだけど?」
「兄貴は弟と言ったけど俺は何とも言ってないぞ?」
「むぅ…言ってたけど……」
「ギルマスどういうことですか?」
「えへへ、妹です」
「妹です、じゃないわよ!」
「いいじゃん。いきなり妹連れてきたら絶対驚くんだし」
「いきなり連れてこられた方がまだいいですよ!」
「そ、そんなに怒るなよ…」
「まぁまぁ、防具についても問題ないってことになったんだし早く行こうぜ」
「ギルマス、後で、DXパフェ一杯」
「かはっ、マジで……?」
「マジ」
あ、兄貴が崩れ落ちた。
「さ、行こう。竜の洞窟は近くにあるから」
「お、おう」
DXパフェって何だ?
DXパフェ、
王都で人気のお菓子店の名物。プレイヤーも入り浸るほどの美味しさ…らしい。
ちなみにお値段十万G。




