ゲームの始まり
退院後すぐに、学校へ連絡を入れた。事故に遭う前は高校二年生だったから、今は一応三年生のはずだからね。まあ、今は夏休みだから学校に行くのはその後かな。たぶん。
家の自室に入ると一年前と変わっていなかった。ベットに勉強机、椅子、壁際にある本棚の中身は一年前で日付が止まっていた。ただ、机の上に箱が置いてある意外は…
箱の上には紙が置いてあり、兄貴からの手紙だった。内容は、『退院おめでとう。退院祝いに最近話題のVRゲームを贈る。一緒にやろうぜ。by兄』というものだった。
……VRゲームか。あの時叶えられなかった夢を叶えるチャンスかな。
箱を開けると中にはヘルメット型の本体と説明書、ゲームソフトが入っていた。
説明書には本体の設定の仕方が載っていて、身体情報を入力する必要があるそうだ。これはスマホでパパっとやってしまおう。えーと…身長168、体重54……んーとえっと…あ、これ本体を被って起動させてから体を触るだけでもいいのか。・・・よし。出来た。
これで後はソフトを入れてログインすればいいな。
頭に被って、目をつぶれば……
気がつくと白い空間にいた。壁も床も天井もあるかわからないけど自分が立っていることだけはわかる。そんな不思議な所だ。
『ようこそアナザーワールドアドベンチャーの世界へ』
突然抑揚のない女性の声が聞こえてきた。ここはゲームの中なのか。凄いな…。
『ここではこの世界で生きるあなたの分身を作成します。以下の項目から選択し最後に外見の設定をします』
そう言うと目の前に半透明な板が出てきた。その板にはこんなことが載っていた。
・種族 人族、獣人族、森人族、ドワーフ族、魔人族、蟲人族、鬼人族、ランダム
・スキル 剣術、槍術、槌術、棒術、弓術、火魔法、水魔法、風魔法、土魔法、光魔法、闇魔法・・・ランダム (選択可能数 三)
・職業 剣士、槍士、槌士、○魔法使い・・・ランダム
・初期地点 はじまりの街(各種族ごと)orランダム
『質問があれば言ってください』
種族はよく読んでた本にも出てきていたからわかるけどランダムはわからないな。
「ランダムっていうのは?」
『そのままの意味です。何が出てくるかわからない。ただし選択肢の中にないものが出る可能性もあるというものです。スキルの場合は選択肢の中にあるものから三つ選ばれます』
「初期地点のランダムは?」
『どこで始まるかわからないというものです』
あ、そうだ。
「初期地点をランダムにした場合、チュートリアルとかってどうなるんだ?」
『初めて街に入ると自動的にはじまります。基本のチュートリアルは入ってすぐにはじまります』
う~んどうしようか。いっそのこと全部ランダムにするか?……よし。そうしよう。
「全部ランダムでお願いします。外見はリアルと同じで目の色を薄紫色にしてください」
全部ランダムにしたのは気分的に。外見は特に考えもせず、目の色は好きな色が紫色だから。
『全てランダムが選ばれました。全てランダムにしたので特典を開始後に配布します。外見の設定が完了しました。……最後に、この世界にいる全ての生物には過去があり未来があり、歴史があります。その世界でどう生きるかは、あなた次第です、ですが、それだけは覚えておいてください。それではいってらっしゃいませ』
最後の言葉、それには確かに感情が込められていた。そう思ったのとほぼ同時に視界が真っ暗になった。
目を開けると目の前にはゴツゴツとした岩肌が……。
………………ここ洞窟じゃねーか!!