お城にて
「痛って~」
《称号の効果でダメージはないはずですが?》
衝撃は来るんだよ!めっちゃビリビリするし!
「き、貴様!!何者だ!」
げっ!人がいるところに落ちたのか!
「何者だと聞いているのだ!王の御前であるぞ!」
「王?」
えっ?マジで?……って取り囲まれてるし!
「ちょっ待ってくれ!故意でここに落ちた訳じゃないんだ!信じてくれ!」
《いえ。私にとっては故意です》
やっぱりそうか!でも今は黙っててくれ!
「信じられる分け無いだろう侵入者め!王よ、この者は人に化けた悪魔やもしれません。もう少しお下がりください」
「……。可能性はあるな。うむ」
くそ~、あの王のすぐそばにいる奴~!少しぐらい話を聞けよ!あ、王様奥に行かないでくれ!あ~……
「な、なんだその目は!」
「……」
「くっ、騎士達よ!その者を捕らえよ!」
「うえっ!?マジかよ!」
もう牢屋に入るのは嫌だ!
《牢屋どころか処刑されそうですけど》
誰のせいだ誰の!くっそ、俺はただゲームを楽しみたかっただけなのに。って、
「危ねーな、騎士なら槍じゃなくて剣を使えよ剣を」
周りにいるのは十人くらいか?その内の一人が槍で攻撃してきた訳だが、遅いな。
「そんな遅い攻撃じゃ絶対に当たらないな」
「なんだと!」
「何をしている!早く捕らえよ!」
うーん、どうしようか。この程度なら簡単に突破出来るんだけど、それやるとさらに疑われそうなんだよな~。何か方法は無いだろうか?
逃げたい……、そうだ。賢者ここにいるやつらから俺だけの記憶を消す魔法ってないか?
《ありますよ。ええ》
準備だけしといてくれ。他に突破法がないか探してみるから。
《わかりました》
よし!
「ちょっとその頭借りますよっと!」
「ぐぅ!」
「なっ!」
王座と逆の方向にも人がいるみたいだし、それを確認してから使おう。
「お!あんた達あの時の冒険者みたいな騎士じゃないか!助けてくれない?」
「あ、あなたはあの時の!この騒ぎの元凶はあなたか!」
「ああ、まあそうなんだ。だから助けてくれ」
「何を話している!お前達も騎士ならばその者を捕らえよ!」
「お待ち下さいベルトール様!先程の話に出てきた白髪の者とはこの方の事なのです!」
「なに?それは真か?」
「はい。本当にございます。ですから騎士達を下がらせてはいただけないでしょうか」
「それは無理だ。その者が本人であるという確証がない。それに白髪の者が傷を癒せるはずがない。悪魔が化けて人族につけこもうとしていると言われた方がまだ信じられる」
「ああ?俺は悪魔じゃなくて人族だ!こいつら助けたときにいた熊も追っ払ったのも俺だぞ!」
「何ですって?討伐しなかったんですか!?」
「え?うん、まあ」
「何故ですか!奴はタイラントベアといってとても凶暴なんですよ!野放しにしたらこちらに被害が出るかもしれないんですよ?!」
ええ~、そんなの知らないよ。あの辺じゃ見かけなかった奴なんだから。
「ええい、もうその話はいい!その者が本物かどうかが今は大切なのだ!」
「本物ですよベルトール」
「っ…姫様、姫様が言うのであれば本物なのでしょう。騎士達よ下がれ」
『はっ!』
あれ?姫サマいたの?ていうか姫サマすげぇ!あのおっさんが一瞬で疑わなくなった!
「このご無礼どうかお許しください」
「いやいやいや、もとはといえば俺が落ちて来たからだし気にしないでくれ…ください」
「いえ、こちらには命を助けていただいたというご恩がありますのでそういう訳にはいきません」
「いや、でも」
「王族としての威厳が無くなってしまうではありませんか。何か欲しいものはありませんか?褒賞として出来るだけお渡ししますが」
欲しいもの?うーん……。
「無い…です」
「……本当に無いのですか?お金以外にも我が国の宝物庫には魔剣や珍しい魔法のスクロール等もあるのですが……」
「武器は使わないので」
魔剣に興味が無い訳じゃないけど、剣とか使えんし…。普通の武器はすぐ壊れるし…。
「では、姫をもらってくれぬか?」
「ち、父上!?な、何を言って……」
ええ…王様いつの間に戻ってたの?てか、もらう?それって結婚してくれとかそういう意味?俺は一応女だぞ?………………まさか、気付いて無い?
「どうだ?一人娘ゆえ時期には王にもなれるのだがな」
「あ、あの別に断っていただいてもよろしいのですよ?」
これは完全に気付いて無いわ…。
「えっと~、すみません!断らせてください!」
「……ふむ、理由を、聞いても?」
いやいやいや!王さま怖すぎるよ!なんだよあの目は~!眼力で俺を殺そうとでもいうのか?
「えっと、その、実は自分、女でしてさすがに結婚は出来ないかと……というかそれ以前に自分来訪者なのでそういうことは出来ないな~、と。そういう次第でして」
「なんと…!あなたは女性でしたか。これは失礼した」
「いえいえ気にしないでください」(最近まで男だったんだし)
「ふむ、となるとお渡しできるものが無くなってしまいますな」
「あ、その事なんですけどその内貰いにくるのでそれまで待ってくれませんか?」
「ああ、いいですぞ」
「父上。例のアレ、渡さなくていいんですか?」
「む?……ああ、忘れておった!え~と……名前聞いとらんかったの」
「グレスです。グレス・ハーフ」
「グレス殿ですな。これを」
「なんですか?この腕輪」
王さまが渡してきたのはなんの装飾もされていない白い腕輪だ。
「それは今来訪者に配っとる物で、これを着けとる者と着けとらん者で来訪者かどうかを区別しとるんじゃ」
「なるほど。ありがとうございます。それではこれで」
「うむ。また来るのを待っておるぞ」
「グレス様またのお越しをお待ちしております」
これで一段落だな。




