修行と言う名の地獄 その終わり
「はっは~ん?つまりはそのギルグって奴に情がわいたんだね?」
俺は今キャストと合流して組合に向かっている。キャストには事の顛末を話した。
「いやいやちげーよ。なんとなくだよ、なんとなく」
「そういうことを言うものだと思うんだけどねぇ~?まあこれで、君のSクラス昇格は間違いないね」
「?どうしてだ?」
「君、本気で言ってんのかい?ゴブリンキングがいる集団はね、普通Aクラスのパーティーが複数いないと殲滅できないものなんだよ?ましてやネームドのゴブリンキングって、Sクラスのパーティーでいけるかどうかってところだよ?それをソロでやったんだから当然さ」
「お、おう、わかった」
「それにしても君ももうSクラスか~、早かったな~。まあこれで修行は終わりだから来週からはこの世界についてかな」
「もう終わりか………最後まで頼むぜ」
「オッケーわかってるよ。ところでさ、気づいてないかもだけど、角出てるよ?」
「あ」
完全に気づいてなかった。
「龍魔法とか興奮すると勝手に出てきちゃうのはわかるけど、街中ではちゃんと引っ込めてね?」
「わかってるよ」
「それならいいんだけど。あとついでにさ、その気配っていうかオーラ?みたいなのって抑えられないのかい?近くに龍がいるようで落ち着かないんだけど」
「う~んとこんな感じか?」
気配操作のスキルで何とかしてみる。
「いい感じだね。これなら普通の人族と見分けがつかないよ」
「ならよかった」
そんな風に雑談しながら普通に門を通り進んでいくと組合までついた。するとカウンターにいた女性が声をかけてきた。
「あっ!キャストさんグレスさん!心配したんですよ!」
彼女はシルビア、この辺では珍しく黒髪の美女だ。ただ、少しドジなところがあってあまり人気がないのでいつも彼女のカウンターは空いている。キャストとは長い付き合いなんだとか。ちなみに俺が組合の登録をしたときの受付嬢さんだ。
「なんで?」
疑問に思ったので聞いてみた。
「だってゴブリンキングが西の森に出たって報告があって、キャストさん達今日も西の森で修行するって言ってたから…」
「ああそのことねなら問題ないよ。ゴブリンキングならこのグレスが討伐したからね」
「本当ですか?!」
「声が大きいよ、まあでも本当だよ?グレス討伐証明部位持ってるよね?」
「持ってるぞ。討伐したんだから当然だろ?」
「でも君、たまに消し飛ばして持ってこれなかったことあったよね?」
「………。知らん」
「まあいいんだけどね?ほどほどにね?」
「はいはい」
「あの、その討伐証明部位、本物かどうか確認してきてもいいですか?」
「あ、ごめんシルビィ大丈夫だよ」
「はいしばらくお待ちください」
それで数分ぐらい待っているとシルビアが戻ってきた。
「確認が取れました。間違いなくゴブリンキングですね。で、グレスさんが討伐したとのことですが、キャストさんは手伝ったりしてないんですか?」
「手伝ってないよ」
「そうですか。ということは、グレスさんはゴブリンキングを単独で討伐することが出来るということですね。これまでの依頼達成数等も入れると、十分にSクラスになる資格がありますね。…おめでとうございます!今この時点をもってグレスさんはSクラスに昇格です!!」
「よし」
「無事に昇格だね~」
「では冒険者カードを出してください」
「はいよ」
カードを渡すと謎の装置に入れられ、その後すぐに出てきた。
「これで更新完了です。これからもよろしくお願いしますね?」
「はいはい」
これでキャストの修行は終わりか、と言ってもやったことはだいたいモンスター討伐だけどな。
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21日目、
やれやれ彼女には本当に驚かされる。まさかネームドのゴブリンキングを瀕死までもっていくなんて…。ただのゴブリンキングなら簡単ではないにしろ討伐できるとは思っていたが、予想以上に彼女が強かったということだろう。来週からはこの世界、もといこのゲームについての説明になるのか彼女はどれだけここのことを知っているのかが問題だが、まあ一から教えてみるか。




