修行と言う名の地獄 その3
前話に少しほど加筆した部分があり、改訂前にお読みの方はそこを読んでいただいたあとに今話をお読みください。
「はぁ、はぁ、クッソ!」
ドゴン!いままで立っていた場所に大剣が振り落とされる。俺は今ゴブリンキングと戦っている。
「ワガドウホウヲコロシタコト!ユルサンゾ!オトナシクシネ!ニンゲン!!」
「うるせー!お前らがあの街に攻め込もうとするからだろうが!そっちこそおとなしく討伐されろ!」
「ヌカセ!ニンゲンゴトキニ負けるワレデハナイワ!」
クッソこんなに戦いが長引くとは思わなかったぜ。まさかあんな奴らがいるなんて……。
~~~~~~~~~
~三時間前~
キャストめ何てことを言うんだ!一人で千だと?出来そうだけどさあ!
「じゃ、頑張って来てね~ここで待ってるから~」
ハア。仕方ない行くか。先ほどのゴブリンたちのところまで戻るとしよう。
「ギギッ!ソロソロモドルゾ!」
お、どうやら巣に帰るみたいだな。このままあとをつけよう。
《隠密のスキルを獲得しました》《気配操作のスキルを獲得しました》
スキルを獲得しながら数分ほど歩くと木で作られた簡素な小屋が乱立する広場に出た。
「ギギギッ!イジョウハナカッタカ?」
「ギギッ!ナカッタゾ!イツモドオリダ」
えーと、ここが巣?なのか?これ集落だよね?この辺のゴブリンってどんだけ頭良いんだよ…。
まあ気にしても仕方ないか、よし…殴り込みじゃー!
「ギギッ!ニンゲン!」「ニンゲンダ!」「ニンゲンガキタゾ!」「キング二シラセロ!」
おおう。ゴブリンの連携すごいな。俺が表れてからすぐに反応した奴が他の奴に呼びかけ、それがどんどん広がっていく。すぐに戦闘体勢に入るゴブリン、キングに知らせに向かうゴブリン、仲間を避難させようとするゴブリン、なんか人間みたいだな。
まあ関係なく皆殺しだけどな。この世界は弱肉強食。俺はあいつらの言葉がわかるから少し罪悪感があるけど、町を襲おうとしたんだ。逆に襲われたって不思議じゃあない。
「シネ!ニンゲン!」
「甘い!」
「ギャッ!」
正面から切りかかって来る奴の攻撃を余裕でかわし、横っ腹に一発ぶちこむ。それだけでゴブリンは弾けとんだ。それを見ていた奴らが一瞬攻撃するのをやめて固まる。その間に近くにいた奴を殺す。やらなければ何もせずに殺されるだけだとわかった奴はどんどん攻撃してくるが、一発でしずんでいく。
それを何回続けたかわからなくなったころ、普通のゴブリンより一回り大きい固体が出てきた。気になって鑑定してみると、
ホブゴブリンLv50~Lv60
ゴブリンが進化するとなる種族。
ゴブリンよりも1ランク上の脅威度。
所持スキル 筋力増加Lv10~20 暗視Lv10~30 連携Lv30
剣術Lv20~26 棍術Lv10~20
と出た。
ホブゴブリンか油断せずに対処しよう。といっても1ランク上なだけなら、それほど脅威ではないな。そんな感じでホブゴブリンもゴブリンと変わらずだいたい一発で消し飛ばしていく。
それからだいたい全てのゴブリンとホブゴブリンを殺し終えた頃今度は鎧を着たゴブリンが出てきた。
ホブゴブリンナイトLv60~70
ホブゴブリンが進化するとなることのできる種族。
ゴブリンよりも3ランク上。
所持スキル 怪力40~50 剣術30~42 盾術20~28 連携50
さすがに疲れてきたのに、まだいんのかよ…。それにレベルも高いし…。
「ナカマノカタキハワレワレガトル!カカレ!」
「はぁ、はぁ、来いよ!全員ぶっ殺してやる!」
ナイトは強かった。他のゴブリン達と違って連携が洗練されていて、隙がない。そこに苦戦させられた。それでも元はゴブリンだからなのか2~3発ぶちこむだけで絶命していた。
「はぁ、はぁ、はぁ、あとは、ゴブリンキングだけだよな?」
「ソウダ。ニンゲン」
背後から声が聞こえ振り返ると、そこには筋骨隆々の5メートルほどのゴブリンが立っていた。
「ワガドウホウヲコロシタコト、ケッシテユルサンゾ!」
「うっせえ!お前が街に攻め込もうとするからだろうが!」
「ダマレ!ソレハヒツヨウナコトナノダ!」
言いながら片手で持っていた大剣を横凪ぎに振ってくる。ギリギリで避けて、そこからキングの懐に潜り込む。そして腹に勢いをのせた一撃を叩き込む。
「キカン。ソノテイドナノカ?」
「なっ」
こ、こいつ他のゴブリンとは格が違う!手応えが全くと言っていいほどねえ。どうなってんだ?
鑑定!
ギルグ(ゴブリンキング)Lv120
ゴブリンの王。作戦を考えず特攻するゴブリンと違い頭を使って戦う。
ネームドモンスター、NM。通常のゴブリンキングよりも脅威度が違う。(通常ゴブリンより4ランク上
NMゴブリンより5ランク上)
所持スキル 剛力Lv70 大剣術Lv68 魔力感知Lv60 指揮Lv60 再生Lv20 鑑定 悪食Lv-
所持称号 名持ち 悪食 ゴブリンの王
なっなんだこのステータスは…。それに……
「ギルグ?」
「!ニンゲン、キサマカンテイモチカ。ワレノステータスヲミタナ」
「…」
「マアイイ。キサマハココデシヌノダカラナ」
「死ぬのは、お前の方だ」
そこからはもう会話を交わすことなく戦い続けた。
奴には素の状態ではダメージを与えられなかった。だから龍魔法の身体強化を最大で使いながら戦った。ついでに龍鱗も発動しながら。
奴が剣を振り下ろせば、俺はそれを避け反撃し、時には受け流し、奴が剣を薙げばそれをバックステップで回避しその場からダッシュして勢いをのせた一発を叩き込んで行った。何度も攻撃を避けきれずダメージを受けたが、それでも戦い続けた。
それが何回繰り返されただろうか。ギルグも俺も全身がボロボロだった。どちらも再生のスキルを持っているのに、だ。そして決着の時がきた。
《龍魔法のレベルが上がりましたドラゴンブレスを修得しました》
「はぁ、はぁ、これなら……。おい、決着を着けるぞ」
「ハッ、ヌカセ、ハァ、コノジョウキョウデ、ユウリナノハ、ワレノホウダ」
「それは、どうかな」
口のなかに魔力を集中させる!
「ヌ!キサママサカ」
「その、まさかかもな」
「クッ!コノキョリデハヨケラレンカ。ナラバ…コイ!」
「いくぜ!ドラゴンブレス!!!」
「グ、ヌゥゥゥゥゥゥゥ!ヌァーーーーーーーーーーー!!」
俺の口の前から出た白い光がギルグを包み込む。そして光が消えて煙で見えなくなり、すぐにギルグがいた場所まで行く。そこには仰向けに倒れるギルグがいた。所々炭化して形が無くなっている。
「ワレ、モ…ココマデカ」
「ギルグお前は本当に強かったよ。俺が今まで狩ってきたモンスターとは違う。どこが違うのかはわからなかったけどな」
「ワレハ、フエスギタドウホウタチヲスクイタカッタダケナノダ。ミナハキヅイテイナカッタガココラノクエルショクブツハトリツクシケモノハヨッテコナイ」
「…」
「ソンナジョウキョウデハニンゲンノマチヲネラウシカナカッタ。ダカラ、ダカラ…」
「もういい。喋んな。………お前の右耳まだ残ってるよな?」
「?アア」
「だったらそれを貰っていく。ゴブリンの討伐証明部位は右耳だからな」
「ナニヲイッテイルノダ?」
「見逃してやるっていってんだよ。お前の体は再生で治るだろ。じゃあな」
「マ、マテ!」
「なんだ」
「ナゼミノガスノダ?コノヨハジャクニクキョウショクノハズダ」
「気紛れだ。なんとなく人間に似ていると思ったからかもな。次はねえぞ」
《レベルがあがりました》
そして俺はキャストの元へ戻って行った。
明日はクリスマスですね。皆さんには予定とかあるんですか?私はないです。




