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第二十五話 真面目


「あぁ、空いてるけど……」


 俺たちへと話しかけてきた人物へとみんなは視線を送った。


 やってきたのは金髪碧眼の眼鏡をかけた女子生徒だった。今までずっとこっちに来るような雰囲気ではなかっただろうに、なんで来たんだろう?


「えっと、あなたは?」


 結奈は名前がわからないのか、気になって問いかけた。なんでクラスメイトの名前も覚えていないんだよ。……俺も人のこと言えないけどさ。


「あぁ、すみません。私はエレノア・ローランド・セイッツと申します。同じクラスメイトですので、気安くエリーとお呼びください」


「は、はぁ……」


 そういって綺麗なお辞儀をしてきた。この人は同い年なんだよな?なんでこんな丁寧に敬語で話しているんだ?様になっているからあまり気にはならないけど、それなりには違和感があるぞ?


「同い年なのになんで敬語なの?翔夜が怖いから?」


「おいこら」


 結奈は俺のことが原因と言っているが、絶対そんなことはないはずだ!だって怯えているわけじゃなさそうだし、声も上ずってないもん。……俺が原因じゃないよな?


「あぁいえ、決してそういうわけでは……」


「あれ、これホントっぽいね」


「ぐっ……、そんなに怖いのか……!」


 慌てたように返すもんだから、本当のことを言っているのだとしても、怯えているように見えてしまったよ。沙耶もそんなこと言わないで、俺をかばってほしかったよ!


「いえ、ホントにそういうわけではなく、これは私の性というか、これが自然なのでお気になさらずに」


「……そういうもんなのか」


 俺は今までそういう人物にあってきたことはないから、そういうものだと認識することにした。


 俺のせいじゃなくてよかった!


「それで、用件は?」


 怜が話を戻すようにエリーに聞いた。そうだったな、なんでこの人が俺たちに話しかけてきたかを聞かないとな。


 まぁでも、今演習の班を決めているんだから、それなりには予想することが出来るが。


「はい。それは、私もあなた方のグループに入れていただけないでしょうか?」


「おぉ、それはこちらとしても有り難いね」


 予想していた通りだったが、自らこのグループに入ってくれるのは正直とても嬉しい。余って俺らのグループに入るくらいなら、いないほうがいいかなって思っていたくらいだからな。お互いのために。


「まさか学年次席の人から入ってもらえるなんてね」


「え、なんで学年次席って知っているんだ?」


 沙耶はエリーが学年次席といったが、どうしてそんなことを知っているんだ?そういうことは知らされないと思うんだが……?


「だって、入学式の時に新入生代表挨拶で壇上に上がっていたし」


「いや、俺寝てたし……。それって普通主席がやるんじゃないのか?」


 入学式では俺は寝ていたから全然覚えていないな。


 いや、寝ていない!ちょっと意識がふわふわしていただけだ!


 それにしても、新入生代表なのに次席なのか?こういうのは首席である結奈がやるべきことだと思うんだが?


「いや、その時に私が何が何でも絶対にやらないって言ったから、代わりにやったのが次席だったんだよ」


「お前、そこまで目立ちたくないのかよ……」


 俺は結奈に呆れた目を向けると、窓の方へとそっぽを向いてしまった。どうやらこいつは目立ちたくないがために新入生代表挨拶を辞退したそうだ。そこまで目立ちたくないと思うものなのかね?


「それで、私は入れていただけますか?」


 エリーは不安そうに聞いてくるので、もしかしたら入れてもらえないとでも思っているのだろうか?だが問題ないぞ。誰もエリーのことを入れないなんて思っていないからな。


「断る理由が見つからないし、いいよー」


「ありがとうございます!」


 俺たちの代表をしてか、さっきまで窓の方を向いていた結奈が軽い調子で言ってきた。それを聞いてパッとエリーの顔が晴れやかなものへと変わった。


 そんなに嬉しいものなのかね?……あー、ここって一人は隠しているけど、膨大な魔力を持っている奴のグループだからなー。それに結奈は首席だしね、そりゃあ入りたいと思うかもしれないな。


「じゃあ、五人が決まったことだし、報告してくるね」


「あ、僕が行ってくるよ」


「そう?ありがとう」


 沙耶が先生に報告していこうとしたら、結奈が代わりに行くと言い出して行ってしまった。


「えっ、結奈が自ら行くとか信じられない現象が起きている……!明日槍でも降ってくるんじゃないか?」


「それはちょっと失礼だと思うよ?」


 いやいや、あの目立ちたくなくてとてもめんどくさがりな結奈だぞ?絶対裏があると思ったほうがいいだろうよ!


「何もなければいいんだが……」


「疑いすぎだと思うよ?」


 怜はそういうが、俺はいまだに何か裏があるんじゃないかと気になってしょうがない。それくらいに結奈が珍しいことをしたのだ!


「報告してきたよー」


「結構早かったな」


 結奈は思ったよりも早く戻ってきた。どうしてだろう、結奈の表情は何も変わっていないのに、何故かやり遂げたかのように感じてしまうのは……。


「まぁ、名前を言ってくるだけだしねー」


「あの、リーダーの名前は誰にしたんですか?」


 え、リーダーってなに?そんなのあったの?


「そりゃあ、もちろん翔夜だよ」


「……は?」


 何言ってんだこいつは?


「そんな面倒なこと翔夜にやってもらうのが一番だよ」


「て、てめぇ……!」


 俺はこぶしを握り締め、こいつを殴ろうとしたのだが、周りに人もいるので何とか耐えた。


 何が一番だよ!面倒ごとを押し付けやがって!だからお前が報告しに行ったんだな!道理で自分から行くわけだよ!俺にリーダーをやらせるためにそんなことをするなんてな!後で覚えておけよ……!


「まだアイス奢ってもらってないの気にしているんだからね……?」


「なっ!まだ覚えていたのか?俺はもう忘れていたっていうのに……!」


 俺に近づいて誰にも聞こえないように言ってきた。そういう配慮が出来るならリーダーも俺以外の人物にしろよ!


 忘れていた俺も悪いけどさ、アイスくらいなら後で奢ってやるから今からでもリーダー交換してくれないかね?報復とかしないからさ、マジで変わってくれない?


「だから、これでチャラにしてあげる」


「くっそぅ……!」


 本人からしたら、俺をからかうためだけにリーダーにしたような気がしてならないよ。後で何だかんだいってアイスを奢らされそうだし、こいつはやっぱり後で仕返しをしてやろう!


「何の話?」


「いや、こっちの話~」


 何を話をしているのか気になったのか、沙耶が聞いてきた。だが、この話を聞かれたくないので、適当にはぐらかすことにした。


「二人は仲がよろしいのですね」


「まぁねー」


「どこがだ!?」


 何かを勘違いしたエリーがからかってきた。なんで俺とこいつが仲がいいと思うんだよ。寧ろ仲が悪いんじゃないかとさえ思えるんじゃないか?


「まぁ、決まっちゃったものはしょうがないし、いつ作戦会議をする?」


 怜はこの話を流してこれからどうするかについての話を進めた。俺としてはそんなに軽く流してほしくないことなんだけど、まぁこの際仕方がないからスルーしておこう。


 そういえば、前もっていろいろ作戦を考えておくんだったよな。魔物と戦う上で何を話し合うんだろうか?神の使徒三人いるんだし、万が一も起こらないだろうがな。


「じゃあ、次の土曜日とかどう?」


「私は問題ありません」


「僕も用事はないかな」


「僕も大丈夫だよー」


「俺は言わずもがな」


 沙耶がいつにするか聞くと、みんなが大丈夫と答えた。エリーを抜いた四人は毎週集まって勉強をしているから何ら問題はないわな。


「それじゃあ決定!」


「時間と場所はどうするんだ?」


 休みの日に集まるんだから、やっぱり図書館とかかな?大学時代も図書館とかに集まって勉強していた思い出があるし。


 でも、俺がいつもしている勉強会は俺の家だったな……。なんで俺の家なんだろうな?まぁ、俺が移動しないから楽でいいんだけどさ。


「ん~、学校でもいいんだけど、やっぱこういう時は翔夜の家かな?」


「なんで俺の家なんだよ!?」


 結奈が何か案を出したのかと思ったら、まさかの俺の家だったよ!俺は別に構わないが、エリーもいるんだし他のところにしないか!?


「別に減るもんでもないし、いいじゃん」


「なんで集まることになると俺の家になるんだよ!」


「なんとなく?」


 こいつ、遠慮というものを知らないのか?いや、俺に対して遠慮がなさすぎるだろ!


「あの、私、纐纈さんの家の場所を知らないんですが……?」


 困ったようにエリーが聞いてきた。そりゃそうだよ、知らない場所に集まらなくちゃいけないなんて言ったら、誰だって不安にもなるだろう。


 それなのに、なんで結奈は俺の家に集まるなんて言えたんだよ!はい、他のところに集まろう、ね?


「あー、じゃあ今日行こうか?学校からもそんなに遠くないし、エリーはそれでいいかな?」


 沙耶さん?なんで俺のことを無視して話を進めるの?まずは俺に聞くべきことじゃないかな?俺はここにいるんだし、聞いてから判断しようよ?


「いやいや、まず家主に許可をとれよ。それにエリーも男の家とかいやだろ?」


 そうだ、エリーは女の子だし、いきなり男の家に行くのは嫌だろう。いやなら断ってもいいんだぞ?


「いえ、それは別にいいのですが……。私、今まで友達の家に行ったということがなかったので、こんなに気軽に行っていいものなのかと思いまして……」


「いいよいいよ、どうせ翔夜だし。そんなこと気にしないで」


「どうせってなんだよ!まぁ別にいいけどさ……」


 来ることは確定してしまったが、まぁそれは別にいいよ。両親や宮本さんが喜びそうだしな。


 しかし結奈よ。なんで俺の扱いがそんなに雑なの?俺になんか恨みでもあるの?もしかしてあの時のまだ根に持ってるの?そんなにねちっこかったのか?


「じゃあ決まりね!」


「はい、もうみんな決まったようなので、帰宅して大丈夫ですよ」


 俺たちがこれからどうするかについての話が終わったとき、先生が丁度いいタイミングで帰宅していいことを知らせてくれた。


「よし、じゃあ早速翔夜の家に直行だー」


「おー」


「ただ俺の家に行くだけなのに、元気だなー」


 結奈と沙耶は元気に俺の家に向かうようだ。


「私は楽しみですね」


「これって僕も行かなきゃいけないのかな……」


 エリーは結構楽しみにしているようだが、そんなに楽しいものとかないぞ?


 そして途中から空気の状態だった怜は、自分も行かなければいけないのか疑問に思っているようだった。


 確かに行かなくても問題はないが、どうせならグループ全員で行こうぜ。




 こうして俺たちは、楽しく世間話をしながら俺の家へと向かった。


 あれ、前世ではありえない出来事だと思っていたのだが、今俺の周りに美少女が集まっているぞ……!?


 別に俺が好かれているかは置いておいて、これは前世より結構改善されているな!


 ……ごめん、怜は男だったな、忘れていたよ。


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