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第二十一話 処決


 俺たちは足音の聞こえた方向へと目を向けた。


 最初は教師たちかと思ったが、その考えを自分で否定した。


 だってさっきガッツリ寝ていたのを確認したし、それに足音に交じってなんかガチャガチャ聞こえる。だから、絶対さっき侵入してきた奴らの仲間だろうな。


「死ねぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」


「おいおい、いきなり撃つなよ!?」


 侵入してきた奴らは俺たちのことを認識すると殺意丸出しでアサルトライフルを撃ってきた。


 普通は状況を確認するために、俺たちに話しかけたりしない?あいつらって馬鹿なの?それともただイカれているの?


「くそったれ!」


 俺たちは流石にこれはマズいかなと思い、咄嗟に近くの座席の陰に隠れて身を守った。


 ついでにその辺に転がっていた奴らは反対方向へと蹴……放り投げておいた。だから銃弾には当たっていないだろうし、たぶん無事だろう。


「全く……嫌になるな」


 俺たちに向かって銃弾の雨がもたらされているが、この椅子が丈夫なのか壊れる気配がしない。この椅子が頑丈でよかったよ。


「咄嗟に隠れちゃったけどさ、俺ら隠れる必要なかったよな?」


 俺たちはあのクソ女神により肉体がとんでもないほど強化されている。神の槍でも身体・・は無事だったからな。


 なので食らっても問題はないのだが、どうしても当たったらまずいと体が勝手に反応してしまうのだ。あと、服がダメになるのは嫌だからな!


「いや、僕は顔バレを防ぐために隠れた」


「僕たちでも銃を食らって大丈夫っていう保証はないから、一応隠れたんだけど……」


 三者三様の意見が出た。みんな思っていることは同じだと勝手に思っていたが、それぞれにここに隠れた意味があったようだ。


 今更だけど、魔法で防ぐっていう方法もあったな。焦っていて忘れていた……。


「それにしても、なんか結構いるな。増援でも呼んでたのかな?」


 千里眼を使って、乗り込んできた奴らを見てみた。すると十人以上いるのがわかり、その全員がアサルトライフルないし拳銃などの銃火器を所持していた。


 あんな武装過激派集団に俺たちは狙われているとか、何の冗談だよ……。


「なんにしろ、さっさと眠らせちゃうに限るね」


「そうだな」


 そういって、眠りの魔法をかけようとしたときに、流れ弾があの機械に当たってしまった。


「馬鹿野郎!誰だ今、爆弾を搭載した魔法無力化装置に当てやがったやつ!」


「す、すみません……」


 ……ん?


 ちょっと待て。おいおい、あれ両方が組み合わさっているのかよ!なに当ててくれてんだよ、もしも爆発しちゃったらこの学校が吹っ飛ぶくらいの威力があるんだろう!?


「撃つのやめろぉぉぉぉ!」


 俺は椅子の陰から立ち上がり、今も撃ってきている奴らに怒鳴りつけた。こういう切羽詰まっていなければ俺は立ち上がることはなかっただろうな……。


「『さっさと眠れぇ!』」


 今までは俺自身にしか使っていなかったから、相手に効くか少々不安だったが、うまくいったようだ。銃声はなくなり、侵入者たちはみんなバタバタと倒れていった。


 うまくいかなかったときのことを考えていなかったから、ホントに効いてよかったよ……。


「さて、それじゃあ今すぐにでも消滅させよう!」


「はいはい、『消滅』」


 俺が結奈を急かして消滅させた。結奈はめんどくさそうにしているが、ちゃんと跡形もなく消してくれた。


 あれはいつ爆発してもおかしくなかっただろう!?なに銃弾なんか当ててくれてんだよ、全く!


「よし、これで万事解決だな!」


「一人くらい起こしておいてよー。首謀者とか、どうやって侵入したとか聞けないじゃん」


 結奈が俺に文句を言ってきた。いや仕方ないでしょ!一人起こしておいてあの機械が撃たれていたらやばいと思ったんだもん!


「いやいや、あれが爆発するかもしれないのに、そんな事にまで気が回らないって!それに、そういうのは警察の仕事でしょ!」


 何を悠長なことを言っているのだろうか。あれが爆発したらここら一帯が消し飛んでしまうかもしれなかったというのに。


「ん~、まぁ、それもそうだね」


 一応は納得してくれたようだ。


「それにしても、結構な人数が高校に侵入してきたもんだね」


 今日俺たちが眠らせてきた人数はかなりの数に及ぶ。なんでそんなにも侵入してきたのだろうか?


「誰かが手引きしたとか?」


「学校の関係者の中にもアポストロ教がいるのかもね」


「やだやだ、そんな連中がいる高校なんて……」


 なんだかんだ言ったところで、結局結論は出ないので仕方がなく思考を切り替えることにした。


 この学校にいる犯罪者どもはここにいる奴らを含めて全員眠らせたし、問題ないだろう。


「そんなことは放っておいて、誰も来ないうちにさっさと教室に戻ろう」


「ほかにこいつらの仲間が来ていないのか確認しなくていいのか?」


「僕が確認していないわけないじゃん。半径五キロ圏内にこの学校に対して敵意を持った人物はいなかったよ」


 ……なんというか、流石首席様だな。こういう時はよく頭が回るようでよかったよ。


「敵意があるとかわかるのか……。今度教えてくれ!」


「うん、いいよ~。じゃあ行こうか」


 こんな現場を誰かに見られてしまったら、なんて言い訳したらいいか皆目見当もつかない。なのでさっさと教室に帰ってみんなに紛れて寝よう!


「教室には誰も起きている人はいないね」


 怜は千里眼を使って教室を見てくれたようだ。誰も起きていないのなら、転移を使って移動してしまったほうが楽だな。


「じゃあ手をつないで~」


「なんで手をつなぐ必要があるんだ?」


 結奈が俺に手を差し出してきた。俺は今まで女の子と手をつないだことがないから、なんだか少し高揚しているのがわかる。


 前世では、なんかみんな手をつかまれるのが怖いんだと。流石にこればっかりは俺は悪くないと思うんだ……。


「どうせ移動する場所は同じなんだから、一緒に転移させてよ。そのほうが効率的でしょ?」


 確かに転移する人物が一緒に転移したいものに触れていれば、それがどんなに大きなものでも転移させることは出来る。


 なので、結奈は一緒に転移させてほしいと言ってきたのだ。効率を求めてそんなことを言ってきたのだが、たぶん結奈は面倒だったからに違いないと思う。


「じゃあついでに僕も」


 そういって怜も俺に手を差し出してきた。なんだなんだ、俺はお前たちの小間使いじゃないぞ?


「なんで俺がそんなもことをしなければいけないんだよ……」


「ついでついで」


 俺は呆れているのに、結奈はそんな俺のことを無視して自分から握ってきた。


「はぁ、わかったよ」


 言ってもどうせ聞かないと思うので、仕方がなく一緒に転移することにした。俺は結奈と怜の手を握りしめ、『転移』と一言呟いて移動した。


 まったく、これくらいは自分でやってほしいものだ……。


「よし、誰も起きてないな」


 俺たちは誰に見つかることもなく教室にたどり着くことが出来た。まぁ転移する前に一応俺も確認はしたから、起きていないはずなのだがな。


 そして俺はみんなが寝ていることだし、怪しまれないように寝ようとした。決して俺が眠いから寝るわけではないからな!



 だが、二人は眠くないということなので、何か話していようと俺を寝させてはくれなかった。


 だったらさ、二人で話していたらいいじゃん!俺は寝たいんだ!寝させてくれ!







 ===============







 そんなこんなで俺は眠ることはなく、誰かが起きるまで三人で話していた。


 話すことといっても、昨日俺の部屋で話していたことの延長線のことなので、正直雑談程度だった。もう少しあのイカれた集団の話をしても良かったんじゃないか?そんなに興味ないのかね?


 そんなことを気にしていると、段々とみんなが起きてきて、今の現状を知ろうとしていた。


 だが、当然のことだが俺たちが教えるはずもなく、教室へとやってきたほかの先生によってどうなったかを知ることになった。


 一応言っておくが、俺らは警察に連絡はしていない。なぜなら、かけてきた番号から所有者が特定されてしまうかと思い、しなかったのだ。


 ほかの教室の生徒や先生は起きているはずなので、どうせ連絡しているだろうとも思った。なので、俺たちは雑談して待っていたというわけだ。







 ===============







 今日はこのような事件が起きてしまったので、俺たちは帰宅を余儀なくされた。


 その情報を聞いたとき、結奈も帰れると聞いて喜んだのだろう。俺と結奈は小さくガッツポーズをし、そして硬く手を握り締めた。


 授業をせずに帰れるというのは素晴らしいものだな!あんな事件が起こってしまって、みんなには申し訳なく思うが、イカれた集団が来てくれて少なからず喜んでしまっている自分がいる。


 というわけで、俺たちは今帰路についている。


 本当は怜と結奈も一緒に帰ろうかと思ったのだが、どうやら家の人に心配をかけてしまうということらしいので、今日はまっすぐ帰るそうだ。


 だから俺は今、沙耶と二人きりというわけである!なので、普通にイチャイチャしてやるぜ!朝も二人きりだっただろうって?朝は眠くてエンジンがかかっていなかったんだよ。


「ねぇねぇ、この事件解決したの、翔夜たちでしょ?」


「え、いったい何のことだ?」


 帰路についてすぐに、突然沙耶が確信を持って聞いてきた。だが、俺がやったということは伏せたかったので知らないふりをした。


 沙耶はなんでそんな確信を持っているんだ?証拠とか何もないだろうに。


「とぼけなくてもいいよ。魔法が使えない中でも翔夜たちなら出来るだろうと思っていたし。それに、翔夜ならなんとかできるって信じていたから」


「……はぁ、沙耶には流石に誤魔化せないか」


 そんなこと言われちゃあ、誤魔化しても意味がないだろう。それに信じられているということは結構嬉しかったりする。


「助けてくれて、ありがとね……」


「……おう」


 沙耶は俯き気味にお礼を言ってきた。こんな言われ方をされたのは初めてだったので、声が少々上ずってしまった。変に思われてないよな!?


「ねぇねぇ、気になったんだけど、なんで翔夜たちは魔法が使えたの?」


「ん~、なんでだろうな?」


 たぶん神の使徒だからだろうが、そんなことは言えるはずもなく。適当にはぐらかしておいた。


「自分のことなのにわからないんだ?」


「そんなことを気にしないで使っていたから、なんで使えたのか自分でもわからないんだ」


 これは本当だ。マジで途中からそんなことを気にせずに使っていたのだ。よく考えてみると、みんなが魔法を使えない中で使ったんだから、結構すごいことだよな。


「ふ~ん、不思議~」


 恐らく納得はしてないだろうが、これ以上の言及はなかった。なので俺は早急に話題を逸らすことにした。


「あ、そうそう、このことは誰にも言わないでくれないか?」


 あまりこういうことで目立ちたくはないので、口止めをしておくことにした


「どうして?せっかく学校を救った英雄になれるのに」


「あんまりそういうことで有名になりたくないんだよ……」


 神の使徒だから使えましたとは言えないからな。そんなこと言っても、信じてくれるわけもないんだが……。それでも目立つことは正直あまり好かないから言わないがな!


「わかった、このことは誰にも言わないよ!」


 沙耶はいい笑顔で了承してくれた。


「ありがとう!」


「どういたしまして」


 こういう素直なところとか沙耶の美点だと思う。結奈もこういうところを見習ってほしいものだな!


「そういえば、魔法を無力化する装置ってあったでしょ?あれも翔夜たちが何とかしたの?」


「まぁそうだが、なんでだ?」


 ふと、気になったのか、俺に確認するように聞いて来た。沙耶が今更どうしてそんなことを聞いてくるのかがわからなかった。気になることでもあるのか?


「いや、あれって結構高かった気がするな~って思って」


 ……おっと、そんなにするものなのかあれって?そんなこと気にしないで消滅させちゃったよ?


「……ちなみに、大体どのくらいするんだ?」


 俺はちょっと怖くなり、金額がどのくらいなのか聞いてみた。


「確か、一台で二億五千万円だったかな?」




「……ははっ」




 もう乾いた笑いしか出なかった。どうしようもなかったとはいえ、俺はそんな高額な代物を消滅させてしまったのだ。


 俺のところに請求書とか届かないよな?そんな大金払えるわけないぞ?いや、監視カメラとかなかったし、俺たちがやったとはバレていないはずだから大丈夫!そう信じたい……!


「だ、大丈夫だよ!翔夜たちがやったってことは私しか知らないから!」


「そ、そうだよな!ははは!」


 俺たちはもうこれ以上今日あった事件のことには触れずに帰った。これ以上話すと、絶対気まずくなってしまうからな。


 そのあとはもう普通のカップルかっ!というくらいには楽しく話しながら帰っていった。ここに結奈がいようものなら、絶対からかってきただろうが、今いなくてとても良かったと思うよ。


 楽しいことは自ずと早く時間が過ぎていくもので、気づいたらもう家まで来ていた。


 もっと話していたかったのだが、流石に家の前で井戸端会議をするわけにもいかず、そこで別れることにした。


 まぁ、また明日会えるわけだし、気落ちすることもないんだがな。


 そんなに一緒にいたいなら付き合っちゃえよと言われてしまうな、これでは。……言っておくが俺にそんな勇気はないからな?


 俺は今までまともに女子と話したことがないから、嬉しくて嬉しくてたまらないんだよ!こんなにも俺のことを信頼してくれるし、眩しいくらいの笑顔で接してくれるし!もうこのまま死んでもいいかもしれない……。


 いや、あのクソ女神を殴るまでは死ねなかったな。





 俺は帰ってきてから家の人物には事件のあらましを、俺が解決したということを省いて説明した。


 だが、なぜか俺が解決したということが前提で話が進んでいく。なんで俺の周りの人たちは俺が解決したということに気が付くんだろうか?俺ってそんなに正義感は強くないと思うんだがな……?


 一応無駄とは思うが、口止めをしておいた。理由は当然目立ちたくないからと言っておいたが、本当は損害賠償とか求められたら困るからだ!


 二億五千万円とか冗談だろ!今の俺に払えるわけがない!一生かけたって払えるかわからないのに!


 そんなどうしようもない不安を抱えて、俺は深い眠りについた。



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