第百八十一話 俺はどこまでもある意味心配させるようだ
すみません投稿が遅れてしまって!
時間投稿忘れていまして、誠に申し訳ないです!
どうぞ遅くなりました「転生して神の使徒になりました」をよろしくお願いいたします!
母さんは俺にどこかに行くように言ったが、いったいどこに行くのだろうか。
「ごめん、聞いていなかった俺が悪いのかもしれないけど! 何処に行けばいいの!?」
「沙耶ちゃん、こんな息子だけどよろしくね?」
「慣れていますので、大丈夫です」
「ねぇ無視しないで!」
俺の嘆きも空しく、両親たちは話を進めていった。
「鈴、未桜……。俺を慰めてくれ……!」
「あ、主様! こ、これも信頼の証です!」
「あるじー、なんでうえむいてるの?」
「ちょっと前が見えなくなったから上を向いてるんだ。少ししたら見えるようになるから」
どうせ顔が怖いだけの人ですよ。
人から犯罪者と罵られるような見た目の男ですよ。
えぇわかっていますとも。彼女になった沙耶でもそういう対応をするんですよ。
いやでも、優しい沙耶がそんなことするか……。
「ほら翔夜、行くよ」
「……うん」
俺は悲しいやらなんやらで上を向いていたが、沙耶が俺の手を取って部屋を出ていく。
その強く握られた手に逆らうことなく、俺も使い魔たちとともに部屋を出る。
「まだ……」
「ん、なんだ?」
前を歩いている沙耶がボソッとつぶやき、だが聞こえなかったため聞き返す。
「まだ! つ、付き合ったばかりだから、その……距離感がわからないのっ」
振り返り、そしてその頬は赤みがかかっていた。
「つ、つまりね……人前で普通に接するのがわからないの……」
恥じらいつつ、しかしその心情をしっかりと伝えてくる。
お父さん、お母さん、俺を産んでくれてありがとう。あとで何か美味しいものでもプレゼントしようかな。
そしてクソ女神様、このような少女を俺の幼馴染にとどまらす彼女にしてくれてありがとうございます。あとで何かしらの死をプレゼントします。
「なにニヤニヤしてるのっ!」
「いやぁ、俺の彼女は世界一だなと再認識しただけだよ」
恥ずかしくも、俺は沙耶が俺のことを雑に扱っているのではないかと思っていた。
だがそんなことはなかった。
沙耶は俺の知っている、心優しい女の子だった。
「そ、それを言うなら翔夜だって……せ、世界一だよ……?」
「お、おう……そうか……?」
「主様、父上と母上のお姿が見えなくなっただけで、見られている方々はいらっしゃるのですよ」
「「あっ……」」
恥ずかしく周りが見えていなかったが、俺たちのやり取りを見ている人がいることに気が付かなかった。
若いわねぇとか、おばさん方聞こえてますからね?
「さ、沙耶……これから何処に行くんだ?」
「あ、えっと……お母様の部下の一人に会いに行くんだよ」
恥ずかしさを押し殺し、話題を変える。
「そっか…………直ぐに行こうか」
「そうだね……」
周りの目が刺さって居たたまれなくなり、そそくさと建物を後にしようとした。
「あれ、今のって……」
「今の人?」
たった今すれ違った人を見て、沙耶はポケットから写真を取り出す。
そしてすれ違った人と写真を見比べる。
「間違いない、あの人だ」
「今すれ違った人が、これから会う人?」
「そう」
俺たちは来た道を戻り、すれ違った方に話しかける。
「あの、すみません」
「なんだ?」
俺はしっかり見ていなかったため男性か女性かわからなかったが、中性的な顔をしているが女性だろう。
長身で短髪で、控えめながらも胸はある。
結奈に近い感じかな。
と失礼なことを考えていると、沙耶は目的の人物か尋ねた。
「違ったら申し訳ないのですが、あの、宇賀神カナタさんですか?」
「いかにも、私が宇賀神カナタだが?」
「えっと、私たち———」
「あぁ、話は聞いている」
俺のことをチラッと見て、沙耶に視線を戻す。
もしかして失礼なことを考えていたことがバレたかな。
「君たちは実習で来ている学生だね?」
「はい」
「うっす」
「ではこれから私の仕事を手伝ってくれる人というのは、君たちというわけか……」
俺たちが共に仕事をするということを知って、宇賀神さんは考え込むように俺たちを交互に見る。
俺たちでは不安なのだろうということが伺えた。
「あの、仕事ってなんですか?」
そもそも、どんな仕事か聞かされていない俺からしたら、何をするのか聞きたかった。
「説明は誰からか聞いていなかったのかい?」
「すみません、彼はちょっと……」
「ちょっとってなんだ! 確かに聞いていなかった俺も悪いけども!」
沙耶は最近人前に出ると俺のことをどう扱えばいいかわからないのだろう。
だから周りのような、特に結奈のような対応をしてしまうのだろう。そうだと思いたい。
「ふむ……。私たちの仕事は、これから三つ首の組織へ潜入することだ」
何故か可哀そうな人を見る目で俺を見てくる宇賀神さんは簡単に説明してくれた。
しかし、内容が思っていた以上にハードなことだと思った。
「それは、俺たちが行っていいことなのでしょうか」
「なに、潜入といってもそれほど危険は伴わないから安心したまえ」
「それならいいですけど……」
それでも沙耶は緊張しているのだろう。
どうやって俺はこの緊張をとれるだろうかと思案していると、宇賀神さんは唐突にぶっこんできた。
「時に、君たちは恋人同士のようだが、しっかり魔物と戦うことは可能か?」
「こ、恋人ってどうしてわかったんですか?」
「先程の甘々なやり取りは見ていたのでな」
見られてた。
まさか先程のやり取りを見られてるなんて思わなかった。
それを見た後でそんな真顔で俺たちと話せる胆力すごいっすね。
俺だったらニヤニヤしちゃうもん仕事人間かよ。尊敬するわ。
というか、もしかして緊張をとるための行動だったのかな。
だったら流石だわ宇賀神さん。
「ではこれから敵組織に潜入するが、覚悟は出来ているかい?」
「あの、三人ですか?」
不安そうに沙耶は尋ねる。
比較的安全といっても、敵組織に潜入するわけだから不安もあるだろう。
「そうだ、少人数で行くことになっているからな」
「他にもいないのですか?」
「一応控えている者たちはいるが、基本は三人で完遂させられることが理想だ」
「そうですか……」
他にもいると言っても、実際に行くのは俺たち三人だから不安にもなるだろう。
ここは俺が安心させなければいけない。
「安心しろ、俺が絶対守るから」
「えっと……翔夜が何か問題起こさないかなって……」
「あー俺のことが心配だったのね! 悪い意味で!」
沙耶が不安に感じていたことは、どうやら俺のことだったらしい。