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第百五十六話 最終決戦


 俺が自身の肉体に戻ってきたら、何故か結奈がとんでもない形相で攻撃をしようといていた。


「何、この状況?」


 怜が全力で止めてくれているが、途中途中で結界を張り頑張っているが、それでもかなりきついだろう。


「翔夜、早くどうにかして!」


「どうにかしてって言われたってなぁ……」


 クソ女神が結奈のことをどうにかしてくれるといっていたはずだ。


 それなのにどうしてまだ攻撃してくるか全くわからない。


 しかも今まで見たことないあんな恐ろしい形相で。


「取り敢えず先生から離れればいいから!」


「えっ?」


 そういえばと、俺は後ろから観月先生に抱えられていた。


 そう、後ろから抱えられていたのだ。


「翔夜君、飛べる?」


「……うっす」


 なんとなく結奈が起こっている理由が分かった。


 あれだ、俺に攻撃してきたかというよりは、観月先生に対して攻撃していたのだろう。


 結奈のコンプレックスである、とある部位についている脂肪の塊が俺の背中に押し付けられている。


 それが結奈の琴線に触れてしまったのだろう。


 ……すんごい柔らかかった。


「なに怒ってんだよ……」


「怒ってない」


「そんな殺意のこもった表情で言われても……」


 今まで表情が変化しなかった結奈が、隠すことなく眉間にしわを寄せて睨んでいた。


 そして先程より結奈の攻撃を全力で防いでいたせいで、怜が疲労困憊といった様子だった。


「大丈夫か?」


「これが、大丈夫に、見える……?」


 怜は膝に手をついて息を切らしていた。


 神の使徒でも、相手が自分以上の力量を持っていると、こうも疲れてしまうのだな。


「というか、操られてないなら、攻撃しないでくれない!?」


「アヤツラレテルー」


「絶対嘘じゃんっ!」


 今攻撃してきていないことが何よりの証拠なのだが、先程の形相はどこへやら。結奈は素知らぬふりをしていた。


「この世界に来て初めて疲れたかも……」


「そうか……お疲れ」


 俺は心の底からねぎらいの言葉を怜に投げかける。


 結奈の攻撃を一人で防ぎ切ったことはかなり凄いことである。


 俺でさえ躱すことでやっとだったのだから、本当に感謝しかない。


 いや、元はといえば結奈のせいなのだが。


「仕方がなくやめたんだから、感謝してよね」


「なんで僕がわがまま言ったみたいになってんの!?」


「それはそうと……」


「急に話変えないでくれる!?」


 疲れ果てかけている怜の嘆きを無視して、結奈は俺の前までやってきた。


「ちょっといい?」


「なんだ?」


 俺に近づいてきて、そしてとてもいい笑顔で右手を振りかぶった。


 


「僕は貧乳じゃない!」




 その瞬間、頬に鋭い痛みが走り、目の前がものすごいスピードで回転し始めた。


 俺は直ぐに何が起きたかわからなかったが、俺は直ぐに殴られたことを認識する。


 そして殴られたことで海上へと落ちていった。


「マジで痛いんだけど!?」


 俺は体制を整え、何とか海面に叩き付ける前に風魔法で浮き上がることができた。


「あの野郎……いや、あれは俺が悪いか」


 殴られたことに怒りはしたが、直ぐに冷静になり自分が悪いことを言った自覚があるため、矛を収めた。


 だが結奈、お前は貧乳だ。これだけは間違いない。もう口には出せないけど。



『貸し一つですよ~』


「は?」


 唐突に、どこからかクソ女神からの念話が届き、その直後、殴られた頬の痛みが引いていく。


 神の使徒から受けたダメージをクソ女神が回復してくれたわけだ。


 それで貸し一つということか。


「チッ、クソ女神め……!」


 傷を治したからといって貸しにするんじゃない。


 貸しが一つや二つできたとしても、ぶっ殺すことに変わりはないからな。


 首を洗って待っていろ!


「おー、無事だったか」


「なんとかな」


 海面近くからみんなのところに戻り雪先生たちと合流した。


「結奈さん、友達を殴ったりしてはいけませんよ?」


「ハイ、モウシマセン」


「片言じゃないですかっ」


 先生、もっと言ってやってください。言うたびに結奈は別のことで精神的ダメージを受けます。


 できれば身振り手振りを大きくお願いします。よりダメージが増します。


「そういや、あの男はどこ行ったんだ?」


「俺は海神様を逃がして結奈と戦ったからわからん」


「使えねぇな~」


「悪かったな!」


 雪先生が俺に男の行方を尋ねるが、逆に俺もそれを知りたかった。


 これ以上あの男を野放しにしておくことは非常に危険である。


「翔夜、その男なら別荘にいるよ」


「別荘に?」


「海岸付近にいる」


 そう確信して答えるのは、千里眼を使って見たからだろう。


 なら俺たちがすることは一つである。


「じゃあ全員で海岸まで行って、とっとと捕まえるか」


 こちらには神の使徒だけではなく、シスト隊員までいるのだ。


 神の使徒を相手にしているわけではないのだから、全員でかかってしまえばすぐに片が付くだろう。


「僕は一発殴るけどね」


「結奈が殴ったら死んじゃうよ」


「死んだらそれまで」


 そして、怒れる最強の神の使徒がこちらにはいる。万が一もないことだろう。


 一度精神支配を食らったのだ、もう二度と食らったりはしないはずだ。悔しいことにクソ女神の力もあるため大丈夫と思える。


 さぁ、俺の告白計画のため、さっさと掴まってくれ。



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