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第百三十九話 水着お披露目


 男性陣は各々海パンを履き、ジャケットを羽織った。


 簡単に着替えることができるので、女性陣よりも早く砂浜へと出た。


「なぁ、考えてみてくれ」


 サンダルに履き替え、三人で海へと向かう。


「あんな美少女今まで見たことあるか? いいやいないはずだ!」


「なんか語りだした」


 持ってきていた、というより怜の別荘にあったパラソルなりを広げてくつろげる場の準備を始める。


 俺たちの方が早く出てくることはわかっていたので、勝手に進めてしまう。


「そんな女神以上の女神がだ! 水着を着てこれらか一緒に遊ぶんだぞ!? 俺死ぬだろ!」


「見ても見なくても死ぬじゃん……」


 話しながらも、俺たちは女子たちが来る前に着々とセッティングをしていく。


 沙耶に労働はさせたくないからな。


「見なかった場合は灰色と化すとして、見たらどうして死ぬのだ?」


 セッティング中に、ふと気になったと言わんばかりに手を止めて陸が問いかける。


「失血死」


「……えっと、それは鼻血? それとも吐血?」


「鼻血」


「鼻血だして失血死って、間抜けじゃない?」


「うるさい! 沙耶にはそれほどの破壊力があると俺は考えている!」


 実際に女性の水着姿を見て鼻血を出すなんて、普通ではそんなことあるはずがないだろう。


 しかしだ、俺は沙耶のことが好きなのだ。好きな相手ならば、鼻血くらい出るのではないかと考えられる。


「そこでだ、もし俺が死んだ場合は蘇生させてくれ」


「大丈夫だよ、死なないから」


「そうだな、翔夜が死ぬことはないだろう」


 この話は終わりと言わんばかりに再び手を動かし始めた。


 しかし俺はそれに抗議した。


「おい沙耶を侮辱しているのか!?」


「なんでそうなるの!?」


「鼻血を出さないほど魅力がないということか!?」


 沙耶はこの世界で一番魅力的な女性だ。


 恋は盲目というが、贔屓目なしに見ても沙耶は美少女である。異論は認めない。


「違うよ! というか、そんなこと言って大丈夫?」


「なに?」


「失血死しなかったら、魅力が足りないって認めてることになるんじゃないの?」


「……よし、俺が死ななかった場合、怜が俺を殺せ!」


「あーもーなんでこんな馬鹿なんだ……」


 俺が死ななければ、沙耶が可愛すぎるということが証明できない。


 だから同じ神の使徒である怜が俺のことを殺す必要があるんだ。


 その後で蘇生させてくれ。




「だが翔夜、死んでしまっては褒めることができないのではないか?」


「あ、確かに、それは盲点だった……!」


「ならば、余裕のある感じで褒めたほうがカッコよくないか?」


「べ、勉強になります、先生!」


 流石外身だけじゃなく中身もイケメンな陸だな。


 その意見を聞き入れることで、さらに沙耶への告白の成功率が上がることだろうな。


 感謝します。


「扱いに慣れてきたね」


「いやいや、本心を言ったまでさ」


「イケメンだなぁ」


 しかしこんなことで動揺してしまうのはいけないな。


 迂闊な発言もしてしまったし、平静のつもりだったが全くそんなことはなかったようだ。


 内心とても緊張して心拍数が急上昇しているのがわかる。落ち着かねば。


「さて、準備は終わったね」


「後は女性たちが来るのを待っていればいいな」


 俺たちは準備を終わらせ、みんなが来るのを待っている。


「お、噂をすれば……っ!」


 女性陣も着替えが終わったらしく、こちらへと向かってくるのが見えた。


 しかし俺は、その女子たちが来た方向を見て言葉を失った。


「やっば……」


 ものすんごい美少女が俺の視界に入ったのだ。


「あ、翔夜っ!」


 ものすんごい美少女の正体は沙耶だった。


 その美少女の沙耶は俺に気が付き小走りにやってくる。


「ど、どうかな……みんなで選んだんだけど、似合ってる?」


 沙耶が身につけているのは、片方の肩を露出させた黒を基調としたデザインで、首回りを華奢に見せてくれるワンショルダービキニだ。


 とてもほっそりとした印象を受けるものだ。


「あ、あぁ、とても似合ってる。可愛すぎて一瞬本物の女神かと思ったくらいに……」


「もう、言いすぎだよっ。でも、ありがとっ」


 俺はその姿を見て、『可愛い』以外の言葉が見つからず、女神と例えることが精一杯の発言だった。


 しかも身長差があるため、沙耶が意識せずとも上目遣い担ってしまっており、またその胸部にある立派なものが強調されていた。


 要するに、俺は今までの人生で一番幸せだった。


「翔夜、鼻と目頭を押さえて何してんの?」


「感動と興奮の影響で滂沱の如く流れ出ることを防いでる……!」


「抑えきれないでちょっと漏れているぞ?」


 水着を見て鼻血を出すなんて漫画の世界だけだと思っていた。


 しかし現に俺は鼻血を出してしまったわけだ。


 沙耶の破壊力、すんげぇ。


「なに馬鹿やってんの」


「うるせー、ほっとけ……あとちょっと待って」


「まだ止まらないんだ……」


 視界をそらしたはずなのだが、その余波によってまだ止まらなかった。


 神の使徒である俺が、初めて血を流した。


 鼻血だがな。


 氷魔法で患部を冷やしてどうにか落ち着かせることに専念した。


「ふぅ、ちょっと落ち着いた」


「大丈夫? 熱中症かな?」


「ある意味では熱中症だけど、大丈夫だよ」


 沙耶に熱中しているという意味ではあっているな。


 しかしあまり沙耶の方を向けないのは残念で仕方がないな。見てしまうと、また鼻血を出してしまいかねない。しかも大量に。


「翔夜」


「なんだ?」


 そんな俺に話しかけてくるのは、沙耶と同じく水着姿に着替えた結奈だった。


「どぉ? 僕のこの格好を見ての感想は?」


「あ、あぁ……」


 結奈はボトムがショートパンツになったビキニを着用している。マリンスポーツなど活発なレジャーを楽しみたいと考えての選択だろう。


 元々スレンダーだからとても似合っている。


 しかし胸部が本当に膨らみがなく、そこはツッコんでもいいものか悩んでしまう。


「なに?」


「えっと、その……」


 いやあの目は褒めなければ俺は殺されてしまうに違いない。


 ここで言い方を間違えたら確実に死ぬだろう。


「身体が引き締まっていて、スタイルもいいからモデルみたいだな!」


 どうだ、これなら文句ないんじゃないか?


「それって、余計な肉が付いていないってことだよね? つまりそれは私が貧乳っていいたいの?」


「僻みがすごいよ?」


「いいいいいいいえいえいえいえ、そんなこと思ってもいませんよ! とても綺麗で見入ってしまったくらいですとも! 沙耶の次に」


「そこは譲らないんだ……」


 世の中には命に代えてでも譲れないものがあるんだよ。


 大人になればいずれわかるさ……。


 あと俺はそこまでのことは思っていないんだから、怜の言う通り僻むなよ。



「まぁ、よしとしよう」


「助かったね~」


「褒めるだけでも一苦労だよ……」


 褒めるという行為では、相手の望んでいることを言わなくてはいけない。結奈を褒める際は心労が絶えないな。


 あと、なんでそんなに水着について詳しいかって?


 愚問だな。


 沙耶に似合いそうなのをピックアップしていたからだよ。


 ちなみに全部似合っていると結論が出た!


「皆さん、お待たせしました!」


「うん、お待たせ」


 遅れてやってきたエリーと奈那がやってきた。


 エリーの水着は定番の三角ビキニだ。水色を基調としており、金髪と相まって清廉な印象を受けるものだった。


 そして奈那は、バスト部分の布が大きく、首元まで覆われた白を基調とするデザインのハイネックビキニだ。


 二人とも元々整った顔立ちであるため、どの水着を着ても似合うのだろう。


「二人とも、似合っていてとても可愛いぞ」


「えっと、あ、ありがとうございます!」


「……こういうの、ナンパだっけ?」


「褒めただけなんだけど!?」


 沙耶と結奈を褒めたのに、エリーと奈那を褒めないのはおかしいということで褒めたのだ。


 なのに、どうしてそこで俺がそんな扱いを受けなければいけないのだろうか。


「まぁ、翔夜だしね」


「おいそれはどういうことだ?」


「変態って意味じゃないの?」


「おうてめぇ海で溺れさせてやろうか?」


「……溺れさせて、その後変なことするとみた」


「どうしても俺を変態に仕立て上げたいのか!?」


 いつも通りに喧嘩を吹っ掛けただけだったのに、それすらも俺を変態にしようとしている。


 なぜこんな仕打ちをされなければいけないのだろうか。


「ははっ、楽しいな!」


「うん、楽しい」


 俺を見ながらそのセリフはひどいと思います。



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