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第二章☆エニグマとは
三人はライブラリで「エニグマ」について調べてみた。
『Enigma西洋語で「謎」「なぞなぞ」「パズル」等を意味する。
古代ギリシア語のainigmaがラテン語を経て転訛したもの。
トリックアートのエニグマ錯視やナチスドイツの暗号機等の関連事項あり。』
レイは夢に出てきた声が何故エニグマと名乗ったのか不思議だった。自分のことを「謎」だと名乗るなんて!
「まぁこりゃあれだな。設計図を探せってことは、暗号機のエニグマの設計図とか、トリックアートの絵とかじゃないのか」
イーサンがあ~あ、と伸びをした。
すると、
「ちがう!そうじゃない!」
と突然アランが叫んでライブラリから飛び出していった。
レイとイーサンは顔をあわせると、すぐにアランを捜しにいった。
「・・・だから、急いで探してるよ」
アランの声がして、レイはほっとして娯楽室に入った。
「あら?イーサンは一緒じゃないの?」
「・・・僕一人だよ」
「誰かと話していなかった?」
「・・・エニグマと話してた」
レイはぞくっとした。
「やっぱり声だけなの?」
「エニグマは精神生命体なんだよ」
「アラン。向こうでイーサンと私にわかるように説明してくれる?」
「まだダメ」
アランはくすくす笑って取り合おうとしなかった。
レイは薄気味悪くて仕方なかった。
「幽霊かなにかがアランにとりついたんだ」
そう思って、なんとかこの少年を助けなきゃいけないとレイは思った。
「イーサン!アランが大変なの!」
アランを連れて、イーサンの元へ急ぐと、イーサンは真っ青な顔で突っ立っていた。
「イーサン、どうしたの?」
「レイ。この船に他に誰かいる気配があるんだ」
「うそ。私たち3人だけしかいないはずよ」
「物の位置が変わっていたり、機械が勝手に動いたり止まったりしてる」
「私かアランがやったことじゃないの?」
「君らには到底動かせないエンジン関係の機械だぞ」
「えっ」
「宇宙船が動き出してる。故障がなおって正常に航行している」
「でも、他の誰にも会ってないわ」
「エニグマだよ」
とアランが言ったので、他の二人はアランを見た。
「エニグマって何者なの⁉」
「内緒」
アランは楽しそうに笑った。