穢れなきアルビノさん[火ノ華]【此処何処】
■ヒロイン6[有栖川 火ノ華] ■快活なアルビノ。慧と体を動かしたくて仕方がない。
「卓球しようぜ!」
「……なあ、有栖川。誘われておいてなんだけど、どうしてなんだ?」
どうして俺なんだ? という意味を込めて、下校の準備を済ませていた俺の目の前に居る、真っ赤な目をした彼女に、問いかけた。
「おお、そうだな失礼。こんなに良い天気だからって、慧は野外のスポーツをしたいと思ってるかもしれないが、ここは一つ、黙って私の話を聞け」
「いやいや、そうじゃなくって」
それに、俺が参加するという体で話を進めないで。
コホン、と一つ咳ばらいを入れる彼女。
「実はだな、私は見ての通り先天性白皮症という病気を患っていて、肌が白く、弱い」
所謂アルビノと言われているやつだ。と有栖川は説明を加える。
……どうして今そんな話をするんだ?
「つまりだな、慧。私はあんまり、日光を浴びちゃダメな体質なんだ。……お前には悪いと思ってるし、私自身も心苦しい。だから今回は、卓球で手を打って……」
「ちょ、ちょちょちょ、ちょっと待って。ごめん、聞いた俺が悪かった!行くよ!ぜひ行かせてください!」
理由が重すぎる!
「ほ、本当かっ!」
沈痛な面持ちから一転、ニパッとはにかむ有栖川。その裏表のなさそうな表情に、俺の善人センサーが見逃してはくれなかった。
その後俺たちは、彼女の気が済むまで卓球をした。