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ランキング6位

「ハヤト君、準備は良いかしら? これから魔物を投入するから、そいつを倒して」


「あっさり言うなあ。まぁ、問題無いけど」


「ハヤト君、頑張って!」


「で、あの人が危なくなったら止めるの?」


「しないわよ、私たちは見てるだけっていう決まりでしょ」


「サラはあの男の何が良いんだか」


耳の良いハヤトには、何か向こうで声が聞こえるが、どうやらサラ以外は嬉しいこと言ってくれていないようだ。


あまり歓迎されて無いことを痛感しながら、刀に手を置くと、重そうな檻が開き巨大な猩猩型の精霊が鎖で繋がれている。



「・・・・・・・・グルルル」


低い唸り声を上げながら近づいてくる。


「野良精霊か」


野良精霊というのは、精霊は精霊でありながら、精霊界に戻ることが出来ず、我を失ってしまったのだ。


ハヤトは昔、セーラと旅をしてる時に出会ったことがある。自分が気高い精霊であることを忘れ、獣ように暴れていた。


おそらく、ハヤトにこの精霊を当てたのは、ハヤトの実力を測るためというのもあるだろうが、精霊を元の精霊に戻してあげて欲しいという意味も込められてるのかもしれない。



「グォォォォォォォォォォォォ!!!!!!!」


「・・・・・・・・・行くぞ、ニオ」


振り下ろされる腕による攻撃を交わしつつ、距離を測り、攻撃パターンを読む。


見た目はかなり凶悪だが、これだけ荒れているならば、逆に動きは読みやすい。


そして、ハヤトは刀で攻撃を受け止め、頭の上に乗る。


「グォォォォォォォォォ!」


「・・・・・・・・辛かったな」


「なっ!? あんな簡単に止めたわよ 」


「てっきり、一気に斬ると思ってたんだけど」


「彼はきっと、あの精霊が何なのか一瞬で見抜いたのですよ、彼は怯えてるだけだと」


「強いね、ハヤト君は」


「グルル・・・・・」


「いつか会おうぜ」


ハヤトは精霊の上から飛び降りると、精霊の体に合わせて刀で斬った。


精霊は涙を流しながら、体が光に包まれて消えていった。


そこにはハヤトの姿しか残ってはいない。


「おめでとう、ハヤト君。 あなたはもっと早く終わらせると思ってたわ」


「あいつは泣いてたからな。というか、あんたらなら、あの精霊を楽にしてやれたんじゃ無いのか」


「・・・・・・・・あの子はこの辺りで暴れていた精霊なの。宿主はわからず、暴れていたわ。しかも、昨日のことよ」


「つまり、俺が良いタイミングだったってことかよ」


「利用したような形になってしまってごめんなさい。学園長として謝罪します」


その言葉に、学園長は頭を下げ、他のメンバーも申し訳なさそうな表情を見せていた。


「はぁ・・・・・・・・まぁ良いよ。で、どうなんだ、俺の実力は。測れないと言うなら、魔獣でも狩ってくるか?」


「それなら大丈夫。セーラの推薦、精霊を浄化させたことも踏まえて、低く見積もっても20位以内には入ることは確実、何だけど・・・・・・・・あいにく、上位で空いてる番号は6と8しかない。ということで、ハヤト君には6位ということにすることにしました」


「6位ね。それで良いですよ」


「決まりね。それじゃあ、これで解散。サラちゃんはハヤト君にランキングの説明お願いね」


「はい、学園長」


「では、解散」


学園長の合図と共に、それぞれ転移石で移動した。









「おお、転移石って便利だな」


体が光ったと思ったその瞬間に、ハヤトとサラはいつの間にか部屋へと戻って来ていた。


「一度行ったところじゃないと行けないし、学園は特殊な結界貼られてるから、使える場所は限られてるけどね」


「そうなのか、それは少し残念だな」


「では、ランキングの説明をします。そこに座りなさい」


「は、はい」


先生口調のサラに従い、ハヤトは席に座ると、サラが紙とペンをテーブルの上に置いた。


「じゃあ話すよ? 世界各国の学園では、ランキング制度、つまり強さの序列を作ることで、より優秀な魔導士を育成することが出来るんだって、そして四年に一度開催される剣技祭でランキング上位のチームを競わせるって感じかな。ランキング上位は色々特権もあるよ」


「えっと・・・・・・先生、質問です」


「何かな? ハヤト君」


「強さの序列って言っても、能力の相性とかあるよな、なら完全に力関係を表してるって訳じゃないよな」


「もちろん、ここで言えば、ハヤト君は私よりも強いかもだけど、ランキングは下だよね? まぁ、リスベットは正真正銘、ボストニア公国最強だと思うよ」


「あの胸にブローチを付けてたやつだよな、そんなに強いのか」


「強いね。攻撃力は凄いし、こっちの攻撃は当たらない。というか、防御が硬すぎて通らない」


「弱点なしか」



サラの口ぶりからして、リスベットとの対戦経験があるのだろう。少し顔が強張っているし、トラウマのような記憶があるのかもしれない。


「後は特権のことかな? ランキング上位の10人は特別に権限が与えられるの。ルティアは特権を使って弓道場建てたし、ネリーは研究のための建物を造ったりしてる」


「それだけしてこの広さか・・・・・・・・・・・・」


改めてこの学園の敷地の広さには驚くしかない。


「(俺も県道上か何かを建てても良いのだろうか。今度学園長に話してみるか)」


「・・・・・・・ハヤト君、ずっと気になってたんだけど」


「ん?」


「さっきもそうなんだけど、ハヤト君は刀を1本しかつかわないんだね。何か理由あるの?」


「ああ・・・・・・・これか、こいつは・・・・・・・使うのが怖いって感じかな」


「あっ・・・・・・・・ごめんね。聞いちゃいけないことだったかな」


「気にしなくて良いよ」


頭を撫でてやると、くすぐったいのか、可愛らしい声をあげて身をよじる。


「これからこの学園で、色んなやつと交流持てると良いな」

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