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ランキング上位

「・・・・・・・・良い匂いだ」


目を開けると、日差しが窓から入ってきて、顔に降り注いでいた。


久々にぐっすりと眠れたからか、疲れもかなり取れているし、何より気持ちが清々しい。


「・・・・・・・・やっと起きましたね、マスター」


「久しぶりだな、最近出てこなかったけど、どうしたんだ」


これはハヤトの2本の刀の一本、鬼怒丸の精霊のニオだ。 ニオというのは鬼怒丸という名前から、ハヤトが鬼をもじって、名前を『ニオ』にしたからだ。



旅の途中で盗賊に困っていた村にたどり着いたハヤトは、村の人々に、村を救ってくれるならと、この刀を貰えたのだ。


「私はこうして具現化するのに大量の魔力を使うのです」


「・・・・・・・・・お前が戦闘向きの精霊じゃなくて本当に良かったよ」


ニオが仮に寝てても刀の能力は使える上、ニオ自身には戦闘力が無いため、結局ハヤトが戦うことになる。


「・・・・・・しかし、お前の格好は何なんだ」



「・・・・・・・・・メイド服ですが、何か」


「この状況、誰かに見られたらあらぬ誤解を受けそうだ」


ガチャとドアが開いた。どうやらハヤトの予感が的中したようだった。


サラが目を丸くして固まっていた。小柄な身体の女の子がメイド服を着て、布団の上に乗っていた。これは誰がどう見てもやばい状況だろう。


「は、ハヤト・・・・・・・・君、そ、その子・・・・・・・・」


「サラ! 話を聞いてくれ! 俺は!」


「・・・・・・・いいもん、1人で食べるから」


サラは不機嫌そうに顔を膨らませて部屋を出て行った。


「・・・・・・・なるほど、あれはマスターの女ですか」


「女じゃないって、それから、そろそろ降りてくれないか」


「・・・・・・・了解しました」


ニオは布団から降りると、部屋を出て行った。


「はぁ・・・・・・・・どうするかな」


サラへの説得はなかなか折れたが、なんとか誤解は解けて、朝食を取ることを許された。





「はい、あーん」


「あーん」


「えへへっ、なんだか妹が出来た気分」


ニオはサラからスプーンでスープを飲まされている。確かにこう見ると姉妹に見えなくもない。


「精霊なのにご飯食べるなんて変わってるね、ニオちゃん」


「美味しもの食べるの大好きです」


「うん、私も好きだよ」


「サラは朝からこんな料理作れたんだな、凄いよ」


「慣れてるからね」


「料理の腕ならマスターも負けてないかと」


「そうなの?」


「・・・・・・・・俺は、セーラのマズイ料理を食べて死を覚悟した時に、必死に料理の勉強をしたからな、生きるためなら人間は何でもできるもんだな」


遠い目をしてそう呟くハヤトを可哀想に見つめるサラの視線でハヤトは正気に戻った。


「ま、まぁ・・・・・・人間には色々あるしね。今日からハヤト君も授業受けるんでしょ? 早く食べちゃおう」


気合を入れてくれたサラの言葉を遮るように、ドアがノックされた。


「はーい」


「なんだ?」


「・・・・・・・・はい・・・・・・わかりました」


話を終えたのか、サラが戻ってくる。


「えっと・・・・・・ハヤト君、闘技場に行くことになった。ハヤト君の実力を知りたいんだって。いきなりすぎる気もするけど」


「闘技場か」


学院の案内の際に、中央に巨大なホールのようなものが見えたけれど、あれがおそらく闘技場だろう。


「戦闘ですか? マスター」


ウキウキなニオの頭を撫でながらは、ハヤトは席を立つのだった。







「えっと、俺の実力を知りたいってのは剣術のことか?」


「多分、セーラ・バーチュリーの弟子ってう鳴り物入りしてきたハヤト君を学園長は見てみたいんだよ」


「そういうもんかな」


「着いたよ、ここが闘技場」


「おお・・・・・・・」


遠目からでもとてつもない大きさだというのはわかってはいたが、目の前にあると、迫力感が増した。


「やっと来たわね」


「学園長!?」


何もないところから、突然学園長が現れ一瞬驚くが、大陸6武神なら朝飯前のことなのだろう。



「君にはある魔獣を倒してもらいます。それを倒せれば、ふさわしい順位に君をつかせます。まぁその際は空き番号になりますが、それ以外が欲しいなら、ランキング該当者を倒してください」


「つまり、即戦力が欲しいってことだよな。剣技祭で勝つためか」


「剣技祭で勝つことは国の、そして学園の名誉なのよ、私とセーラはその栄冠を手に入れたけど」


優しいそうな顔をしていても、この女性も鬼神と呼ばれたセーラと同じくらい強いことは空気でわかった。


昔のハヤトなら立ちすくんで動けなかっただろう。


「間に合ったわね」


転移石でも使ったのか、何も無い地面が光り、4人の女の子が現れた。


その中には、挨拶を交わしたネリーとハヤトを案内してくれていたフィノの姿もあった。


「ルティア!ネリー!リスベット!フィノ!」


サラは急にかけていくと、4人と談笑を始めた。


相変わらずフィノの笑顔は見えないままだが。


「紹介するね、私の友達だよ」


「私は先ほど挨拶しましたから良いですね」


「私はネリー・ザスティナ。 ランキングは4位」


「私はサラも来るって言うから来ただけで・・・・・・・」


「新しい仲間なんだし、自己紹介しようよ、ね?」


「・・・・・・・・・ルティア・シェール ランキングは2位」


「初めまして、私はこの学園でランキング1位を任されています。リスベット・ワグナリアと申します。以後、お見知り置きを」


「(ネリーは4位、サラは5位、それであのポニーテールのルティアっていう娘がランキング2位、そしてこいつがこの学園最強の魔導士か)」


「自己紹介も済んだみたいだし、ハヤト君は競技場の中に入って待機しててください・・・・・・・・・・・・しかし、今日も集まり悪いですね」


「リエラは週に一度のお見舞いだし、ノーラはどうせ寝てるし、エミリア何してるのかわからないし」


ルティアは少し呆れたように呟いた。


ランキング上位のメンツはかなり個性的なのだろう。自由すぎる気もしないでも無い。


「さっ、始めますね」


「以前の俺は獣一体倒すのもやっとだったが、修行の成果見せてやるぜ。)」

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