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私の恩人

「せいやあ!!!!!!」


「ぐはっ!」


「試合終了! 勝者 ランキング13位 アルジオ・ヘンドリック」


「よしっ! これで今日だけかもしれないが少しはランキングも上がったんじゃないか?」


アルジオは受付に行き、ポイントの計算をして貰う。


すると、スタッフからかなしい事実が告げられる。


「今日はルティアさんとハヤトさん、リスベットさんがいませんが、三人ともポイントの貯金がかなりありますし、フィノさん、エミリアさん、シルビアさん、ノーラさん、ネリーさん、リエラさんも今日は他のことでポイントを稼いでいるので、アルジオさんの周辺のランキング変動はありませんでした」


「・・・・・・・・・・・・そうですか」


肩をガックリと落として廊下をとぼとぼ歩くと、バッタリとノーラに出会った。


「やぁ、ノーラ君も勝ったんだろ?」


「ありがとう、アルジオもいい試合だったよ」


「こちらこそありがとう(かっこいいとか言ってくれないよな)」


「今日は終わりでしょ? これからエミリアとシルビアと出かけるけど・・・・・・・・・・来る?」


「俺が行っていいなら」


ということで、アルジオは三人についていくことにした。


「ヤッホー、アルジオだあー」


「アルジオも来たのね」


2人は先に学園門の前でノーラとアルジオを待っていた。


シルビアは元気に手を振っているのが遠くからでも見えた。


「お前は本当に元気だな、シルビア」


「うん、これが私のアイデンティティだからねー」


「行きましょ」


メンバーが揃ったのを見て、ノーラが歩き出した。


すると、エミリアはアルジオの側に寄って小声で呟いた。


「で、ノーラに言えそう?」


「さあな、一生言えないかも」


「何弱気になってるのよ、ランキング上げたいなら、例えばハヤト君と戦って見たら? 」


「俺とあいつの武器の相性悪くないか? 一瞬で懐に飛び込まれるよ」


「ふーん、ノーラが鈍感じゃなければね」


「それが彼女魅力だよ」


ノーラはシルビアと談笑しながら先を進んでいく、アルジオの気持ちに気づくことなく。


「ノーラ」


「何?」


アルジオは先を歩くノーラを呼び止めた。


「今日はどこに行くんだ?」


「ウインドウショッピングだよ、支給金も出たしね」


「そうか、今日だったか」


「アルジオはいつ使ってるの?」


「あんまり使ってないな」


「使ってないの? どうして?」


アルジオは少し言い淀んだ。


「将来のためかな」


「アルジオは昔から真面目だね」


「そうかな?」


「お嫁さんになる人羨ましいね」


「・・・・・・・・ありがとう」


ノーラに言われるとすべての発言がグサッとアルジオに突き刺さる。


「まあまあ、頑張りたまえ」


シルビアはアルジオの肩をポンポンと叩いて、アルジオを慰める。


「昔から・・・・・・・・・・・・か」










「早く隠れないと」


アルジオは町の友人たちとかくれんぼして遊んでいた。


「今日も俺のひとり勝ちだぜ」


「・・・・・・・あなた誰?」


どうやら、アルジオの他に誰かが隠れていたようだ、自分の鉄板の隠れ場所だったのだが、先約である以上は出て行けと言うわけにはいかない。


アルジオが頭の中で思考を巡らせていると「私がここにいること、秘密にしててくれる?」


声の感じからして女の子だということが、アルジオにはわかったが、暗がりとはいえ、目元が見えないのはフードか何か被っているのだろうか。


「お前も隠れんぼしてんの?」


「私は・・・・・・・・・ここにいないと、いじめられるから」


「いじめ? 誰だよそいつ、俺がぶん殴ってやる」


「お願い、一人にして」


女の子は強い口調で、アルジオを突き放そうとするが、アルジオは引かなかった。


「それを被ってるのは、理由があるんだろ」


「・・・・・・・・・うん」


「そうか」


「見ないの? 私の頭」


「見ないって、嫌だから被ってるんだろ?」


「・・・・・・・・うん」


「お前も俺らとかくれんぼやらないか? メンバーは増えた方が楽しいしさ、俺の友達に紹介してるから、いじめられたって、俺が何があっても味方でいる」


アルジオの強い言葉に、女の子は一緒に仲間と合流をした。


その途中で鬼役の仲間に捕まってしまったが、アルジオは不思議と悔しさはなかった。


「お前名前は? 俺ら友達なんだし呼び会えないときついだろ」


「ノーラ・・・・・・・・・・ノーラ・ディラージオ」


女の子はゆっくりと下を向いていた顔を上げた。


「・・・・・・・・・・」


アルジオはノーラの容姿に目を奪われた。


新品の銀貨でさえ叶わないような、煌びやかで美しい銀髪がふわっとなびいた。


「なんでフード被ってたんだ? 別におかしくないだろ」


「今はいいけど、ちょっとね」


「そっか」


「変な人、みんなフードのこと聞くのに」


「友達の嫌がることはしないと親との約束なんだ」


「そうなんだ」


「ほら、二回戦だ、行こうぜ」


「うん」










「・・・・・・・・・綺麗になったな、ノーラは」


「おーい、声に出てるよー」


「おわっ!?」


「もう、私に聞かれてよかったねえ」


シルビアはぼーっとしていたアルジオに声をかけていた。


ノーラはエミリアとウインドウショッピングを楽しんでいる。


「アルジオ」


ノーラがアルジオの元に小走りで走ってきた。


「ノーラ、どうした?」


「はい、これ」


「????」


「アルジオ、誕生日おめでとう」


「・・・・・・・・・・覚えててくれたのか」


「覚えてたも何も私がアルジオの誕生日忘れたことある?」


「ないけど」


「うんっ」


ノーラから紙袋を受け取ると、アルジオはそれを大事そうに握りしめた。


「おうおう、見せつけますなあ」


「アルジオ、ノーラ、もう少し人目を憚った方がいいと思う」


シルビアはアルジオとノーラの二人を冷やかすが、真面目なエミリアは赤面しながら周りをキョロキョロしている。


「違うわよ、アルジオは私の恩人、そのお礼を毎年してるだけ」


「・・・・・・・・・」


「ノーラ、ノーラがどう思ってるかはわからないけど、アルジオの前でそういうこと言うのはやめてあげてね」


「??」


エミリアの言葉に、ただただ小首を傾げるノーラだった。


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