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最古の学園

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・デカイな」


「ここが、ボストニア公国最古の魔導士学園です、そして、私はこの学園のランキング5位のサラ・リズワーナ」


「5位って・・・・・・・・・・序列だよな? 5番目に強いってことか」


「まぁ・・・・・・・ね、上の4人は私よりも強いよ? それこそ最強候補って感じかな 」


「いつか手合わせ願いたいな」


さっきのことでサラの実力を全てわかることはできないが、彼女は本気を出しているようには見えなかったし、本気を出したらハヤトでも勝てるかはわからないない上、さらに強いのが4人いるといるというのだから驚くしかない。



「ハヤト君?」


「ごめん、考え事してた。えっと学長に会いたいんだけど。この手紙を見せれば入学は出来ると思うし」


「わかった、案内するね」


サラについていくと、この学園の施設だろうか? ハヤトの国にあったような和風な建物が目に入ってきた。


「サラ、あれはなんだ? あそこの和風な建物」


「あれ? あれはね、弓道場だよ。 私の友達のルティアって言うんだけど、彼女が弓使いでね、権限を使って建てたの」


「・・・・・・・・・・前から思ってたんだけどさ」


「何? もしかして具合悪い? それともトイレとか?」


「そうじゃなくて、俺は君と会ったばかりだぞ。それなのにさ、ベラベラとこの学園のことを喋りすぎじゃないかなって思って」


「あー」



確かにという感じの態度の後、クスッとサラは笑った。


正直、この笑顔はずるいと思うが、今回は言わないでおこうとハヤトは言葉を飲み込んだ。


「つまり、ハヤト君が間者だったらマズイってことだよね? 確かにそうなんだけど、ハヤト君は私の家名を聞いても何も反応してなかったし、大丈夫かなあって」


「家名って・・・・・・・・リズワーナか? もしかして、この国では有名な名家とか」


「まぁそんなところ。この学園はそういう子が多いから、何か裏があるときは家名を言うと褒めたりしてくるんだけど、ハヤト君褒めなかったから」


「あっ、ごめん。俺あんまり家名に関しては知らなくてさ」


「しょうがないよ、遠くの国から来たんでしょう? なら最近落ち目のリズワーナ家を知らなくても不思議じゃないし」


サラは目を伏せ、少しだけ悲しそうな顔をしていたたため、彼女が何かを抱えていることは明白だ。


「しかし、広いな・・・・・・・・・・ここは」


「そうだね、最初のうちは誰かと一緒に行動したほうがいいと思うよ? 慣れれば近道の道とかわかってきたりするから」



「あっ、サラ。帰ってきてたんだ」


正面から、制服の上に黒のコートを着込んだ小柄な少女が現れた。



「ネリーはどうしたの?」


「私は、少し離れた村でオークが暴れてるから駆除しに行くのよ。で、その人は? 」


「俺は、ハヤト・シノハラだ。 よろしくな」


「そう、よろしく・・・・・・・・・・・・・・じゃあね」


ハヤトの握手を無視し、ネリーと呼ばれた少女は不機嫌そうに立ち去っていった。


「えっと・・・・・・俺何かしたかな?」


「・・・・・・・・ネリーはね、昔ちょっと色々あって、あまり人と仲良くできなくなったんだって。私は理由も知ってるけど、私から言うことではないだろうから、もし知りたいならネリーから聞いてくれる?」


「わかった」


先ほどのネリーの態度からして、ハヤトのことを歓迎していないというようにも見えなかったが、ハヤトがどういう人間か不安になっていたと見る方が良いのだろう。



「ちょっと待ってて、説明してくるから」


サラは少し離れたところに立っていた警備員らしい男2人に、ハヤトを指差しながら何か説明している。おそらく、ハヤトがここに来た理由と、一緒にいる理由を説明してるのかもしれない。


しばらく話した後、ニコッと笑ってこっちに近づいてくる。


「お待たせ、通って良いって。 この建物を案内してくれる人が来るから、それまではここで待ってて貰える? 私はこれから用事を済ませるから、もしすぐに済んだら戻ってくるかも」


「本当に色々ありがとうな、君が居てくれなかったら俺はたどり着けなかった」


「いえいえ、じゃあね」


少し小走りに、サラは走り去って行った。


ゴソゴソとコートのポケットに手を入れ、財布を取り出し、改めて残額を確認し、肩を落とした。


「金がないなあ。サラにも借金しちまったしなあ」


色んな人から聞いたから信憑性はあるのだろうが、奢るっていうのは男がするものらしい。


「・・・・・・・・あなたが、ハヤト様ですか」



「おわっ!?!?!?」


突然後ろから声を掛けられ、思わず声を上げて驚いてしまった。


全く気づけなかった・・・・・・・・・・俺も鈍ったかな。


「君は?」


「私はここの生徒で、入学希望者の案内を仰せつかっております」


「・・・・・・・・・・なんで君が案内を? 案内くらい誰でも良いんじゃ」


「私はフィノ・アルベノアと申します。そして、この学園のランキング10位を任されているのですが、10位は上位クラスで最弱です。わかりやすく言えば『私は四天王の中では最弱の存在・・・・・・・・』という感じです」


「10位で最弱かよ、俺を学園長のところに案内してくれるんだろ?」


「それが私の使命です。他の上位の人たちは任務やそれぞれの家のことや授業がありますので」


「そういえば、さっきネリーっていう娘がオークを駆除しに行くって言ってたな」


「・・・・・・・・・・ネリーに会ったんですね」


「ああ」


「彼女は見た目は小柄ですが、ボストニアの魔術機関に来ないかと呼ばれてるほどの天才なんですよ」


「凄いな」


山籠もりをしていたハヤトでも、流石にボストニアの魔術機関の名前くらいは知っている。


各国でも優秀な魔術師が集められていて、魔術に対しての規則や罰則を決めたり、研究をする機関だ。




「ここです、身だしなみなども一応は整えてくださいね。一応は学園長なので」


「ああ、そうだな」


ハヤトはコートを端をポンと叩いてシワを伸ばす。


「良いぞ」


「・・・・・・・学園長、お客様をお連れしました」



フィノは重そうな扉をゆっくりと開けていく、中には眼鏡をかけた女性が椅子に座り、本を読んでいた。


「ん? お客さんですか、お通ししてください」


「はい、それでは。私はドアの前でお待ちしていますので」


「ああ、ありがとう」


「仕事ですから」


フィノがドアを閉めると、ハヤトと学園長だけの2人になった。


この人は優しそうな顔をしているが、師匠のセーラと同じ、大陸六武神の1人だ。


仮にハヤトが斬りかかったとしても、傷一つ負わせることはできないだろう。


「初めまして、ボストニア学園学園長のイミーラ・バルテノッチと言います。これからよろしくね」


「これを」


封筒に入っていたセーラに持たされた手紙を学園長に手渡した。


学園長は封を切り、手紙を眺めた後、少しだけ驚いた表紙を見せた。


「・・・・・・・・なるほど、セーラの推薦ね、なら私が断る理由もないかしら」


学園長はそう言って、棚から数枚の紙を取り出し、ハヤトに渡してきた。


おそらく入学のために必要な書類だろう。


「これを書いて持ってきてね、期限は3日以内だから」


「今書いても良いですか」


「ええ、はい、ペンをどうぞ」


「どうも」


ハヤト名前の箇所に自分の名前を記入し、残りの紙の内容を確認するが、注意事項や学則が書かれているものなため、今すぐ確認しなければいけないというわけではないだろう。



「はい、確かに受け取りました」


「失礼します」


それから、書類を学園長に渡して部屋を出た。


「済みましたか?」


フィノは綺麗な姿勢で壁際に寄りつつ、ハヤトのことを待っていた。


しかし、よく見るとフィノが少しだけ踵を浮かせていることに気がついた。


フィノの身長的に、頭の位置がハヤトの背の胸くらいの位置になる。


もしかすると、歩きながらそのことを気にしていたのかもしれないと気づき「っ」ハヤトは少しだけ息を漏らした。


「どうされましたか」


「な、なんでもないぞ!」


「そうですか、何か気に触ることを思われたような気がしないでもないのですが」


「・・・・・・・気のせいだと思うぞ」


「なら行きましょう。お疲れでしょうから、お部屋にご案内します」


ハヤトの不自然な挙動を怪しみながら、フィノはハヤトのことを連れて歩き出した。

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