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1 夫婦って

新連載です。よろしくお願いします(^。^)


公園では桜が咲いてるこの時期。

ようやくあったかくなってきて、冬物を整理していると、狭いクローゼットの奥に押し込められたクリスマスツリーを発見。ふと思った。


サンタさんがプレゼントを持ってきてくれるって、そう信じてたのは、いくつの頃までだったかな。

お姉ちゃんにサンタの正体をバラされて、ショックだったこと今でも覚えてる。

サンタさんに手紙を書くのをやめて、親におねだりするようになったんだ。


街中に赤と緑のキラキラした飾りが並んで、クリスマスソングが流れて。

彼氏へのプレゼントは何にしようかな、なんて友達とウキウキしながら選んでたのは、高校生の頃。

大学生も、そうだったかな。

長く付き合った人もいたし、すぐに別れた人もいた。

でも、その時その時で、自分としては一生懸命恋してたって思う。

思い返すと、懐かしいなあって笑っちゃうくらいに。


会社勤めになって忙しくても、クリスマスだけはやっぱりみんな特別で。

その時期が近づくと、彼氏がいるコは特にそわそわしてた。

私も、当時付き合ってた人と、夜景の見えるレストランとか、サプライズなプレゼントとか、かわいいケーキとか、ムードたっぷりのバーとか、素敵な夜を過ごした記憶もある。


・・結婚して、子どもが産まれて。

クリスマスはラブラブイベントじゃなくなった。

その日はクリスマスパッケージのお菓子を食べて、

夕飯にはチキンとかちょっと頑張って作ったごちそうをを並べて。

夜は眠ってる娘の枕元にそおっとプレゼントを置く。

すっかり、クリスマスは子どもの為のイベントになっちゃった。




ふう、と息を吐く。

私の服の前に旦那さんの服を片付けたら、ものの三分で終わった。

この人、こんなに服、少なかったっけ。

残業で会社に泊まる時に持って行って、そのままになってるのかな。


昔はクールなイメージだった旦那さんも、天使の微笑みを持つ娘の前では親ばか全開。カワイイ、カワイイを連呼して、誕生日じゃなくてもプレゼントを買ってきたりする。

仕事が忙しくてなかなか遊んだりできないからって、娘の千沙が起きてる時間にたまに帰って来れると、ずうっと二人で過ごしてる。

私に向けるものとは全然違うとろけそうな甘い笑顔で、娘を抱きしめる。


・・・そんな風に私のことも抱きしめて欲しいな、なんて。

去年ぐらいに冗談めいてそう口にしたら、何言ってんのってあしらわれた。

え? そんな扱い?

それ以来、そんなこと思ったって言わない。そもそも思わなくなったし。


もちろん私にとっても娘の千沙は宝物。

自分の命を懸けてもいい、大切な存在。

可愛くて可愛くて、いとおしい。私のお姫さま。


でも、あなたが娘を抱きしめてキスをして、きゃっきゃとじゃれ合ってるのを見ていると、気持ちがモヤモヤするのも、事実。


嫉妬? ともちょっと違う気がするけど。私だけ除け者にされてるみたいでさみしいな、なんて。馬鹿みたいよね。


千沙は普段は私と二人っきりだから、たまに遊んでくれるパパに大喜びする。

優しくて怒らない、甘やかすだけのパパ。そりゃあ好きでしょうよ。

でも、よくできたうちの娘は、「ママがせかいでいちばんすき」なんて可愛いことを言ってくれる。

ホント可愛い。世界一可愛い。自慢の娘。





私達は、ごくごく普通の恋愛結婚。

職場の友達の紹介で、出会って。話したら割と気が合って。

何回か会ってから、お付き合いすることになって。

お互いに忙しい仕事の合間にデートを重ねて、二年経ったくらいで結婚しようかって話になった。年齢的にもちょうど良かったし、断る理由も無いし。


ごく普通。

家族からの反対も、何の障害も修羅場もなく、結婚して。

二年後には娘を出産して。

今、その娘はもう三歳になってる。私ももう、三十歳。


あなたのこと、胸が焦がれるほど恋したわけじゃない。

学生の時みたいに盲目な恋は、大人になってからはとても無理。

自制心とか、見栄とか、体裁とか、いろんなものが邪魔をするから。


・・・でも、もっと、昔みたいにもう少し愛して欲しいって思うの。

結婚する前の恋人時代は、こんなんじゃなかった。新婚の時だって。

当たり前みたいにしていた、おはようやいってらっしゃいのキスがなくなって、さみしいって思うのは私だけ?

それが結婚するってことなの?

この人となら結婚してもいいなって思えたから結婚したのに。


ただ、ソファで隣に座って一緒にテレビを観て笑うだけが、夫婦の姿?

仕事が遅くなって、寝てる間に帰って来てる。

『帰れない、泊まってくる』ってメールが来ても、ふうんとしか感じない。

それってかなしくない? 結婚した意味、あるの?

そう思うのは、私だけなのかな・・・。


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