【4】
終わる…と思いました?
残念、私には終わらせることなんてできなかった!
これを最終章の前編としたいと思います。
では、2900文字の短編、
物語を大きくひっくり返しました…それでは、背後にお気をつけて。
私は気づくと涙ぐんでいました。狭いエレベーターの中で、拳銃を握りしめていました。しゃがむこともできないので、ただその場で泣きました。
あやちさんがいない今、私はどうやって生き残ればいいのでしょう…?もしこのエレベーターの先でまた戦うようなことがあったら…想像したくもありませんでした。
二人で助かると思ったのに…
私の涙はとどまるところを知らず、制御がつかなくなっているのがわかりました。あやちさん一人があの場所から生きて出てくることはできない、と思っているのでしょうか。
また私の周りの人が。
彼もそうだった。
今はもういない彼氏は、私と一緒にいる時に通り魔に殺されました。私を庇って亡くなりました。
いつも、私が頼りにした人はみんな亡くなってしまいます。なぜなのでしょう。私が悪いのでしょうか?私が不幸を招いているのでしょうか?
そんなことを考えてまた暗くなってしまっているうちに、エレベーターは止まりました。
ドアが開くと、そこには雑踏がありました。路地裏に出ました。誰もいません。でも、助かったような気がしました。
私一人だけが。
誰かに頼っていた私だけが助かったのです。自分でも頭にくる話です。あの拳銃は手の中にあります。もう私は限界だったのかもしれません。安らかな笑みと共に、喉に銃口を突きつけました。
「…私なんて、大嫌いだったよ」
痛みはありませんでした。
…あれ?
生きてる?
私はなぜかトンネルを歩いていました。あやちさんが前を歩いています。
「…え…?」
あやちさんが振り向きました。
「気づいた?」
絶望的な顔をしていました。
「どうして…もしかして、ここが死後の世界…?」
「違うよ、ここは"二周目"だ」
「二周目…?」
「どうやら私たちには別の力が働いてるみたいなの。あの最後の部屋に入った時点でこういうことになるのは確定だってさ」
「正しい道に行かないと…ってことですか?」
「ま、そうだね。やることは半分わかってるけど」
あやちさんは決意に満ちた目で拳銃を握りしめていました。そのもう片方の手にはもう一つの拳銃がありました。
「それは…?」
「さっき、一人殺した」
「えっ…!?」
「かなちゃんが来るまでの間、他の人たちが色んなことを調べたの。このゲームの終わり方がわかった。全員生還ルートでの、ね」
「で、でも、さっき一人殺しちゃったって…」
「片岡だよ」
風が冷たく感じました。
「あいつがいる限り、ゲームは終わんないの。しかも、あいつが最後に残っちゃうとダメらしくて。かなちゃんが自害してくれて助かった」
意外にも、私が来るまでにかなり時間がかかったようでした。あやちさん曰く「処理に時間がかかった」らしく、どうやら私が思い詰めて暗くなっていたのが功を奏したようです。
―――――――――――
あやち{かなちゃん来ました]
アルトカ{ああ、お疲れです]
カイト(兄){ん、最後のか]
KAZ{色々話しときました?]
あやち{とりあえず、全部話すつもりでは]
タカ{とっととやれよ。早く出たいんだが]
あやち{わかってます]
アステカ{もういい加減その態度やめたらどうなんだよ…]
ハピー{そうッスよ、いつまで引きずるんスかw]
タカ{黙れ]
―――――――――――
あの最後の銃殺の影響で、タカさんとあやちさんは仲が険悪になったようです。当然といえばそうなのですが、かなり心配な要素です。
片岡さんが亡くなってから、どのようにしてここを脱出するのかは正直わかりませんが、少なくともここから先は誰一人(それが敵であっても味方であっても)殺してはいけないそうです。また、自殺もできないとのこと。もはや拳銃を持っている意味はないのですが、でもこれは持っていなければいけないと言います。
「TPG-1が最後の直前まで行ったの。でも、その時点で銃を持ってないと敗北みたい」
「な、なるほど…ところで、片岡さんって結局何者だったんですか…?」
「"****"の正体、または関係者、ってとこかな」
私たちは歩きながら話しました。今になってようやく「何か」から解放されたような気がしました。時間が正常に動き始めたような、そんな気がしました。
「とにかく、片岡はもう始末した。次は皆で脱出しないと」
地下道を抜けると、あの廃都市がありました。半分の家の前に皆さんがいました。大半が初対面です。少し緊張して噛みながらも「よろしくお願いします」と呟くように言いました。
邸宅の向こう半分の情報はTPG-1さん(以後TPGさんと呼ばせていただきますね)が持っていました。片岡さんに殺されてしまった地点までですが、その時のルートでは行き止まりになってしまうようです。前半分がどうしてなくなっているかは敢えて聞きませんでした。
みんなで中に入る時、前に入った時に見た不自然な壁の染みも見えました。
相も変わらず暗い館内ですが、こちらは少し日の光が木漏れ日のように入っているようです。廊下にはドアがあまりありませんでした。その代わり、壁にはたくさんのタペストリーが飾られていました。特に意味はなさそうに思えましたが、とても綺麗な柄でした。
「ここだな…」
TPGさんが指差した場所には、人の形の血痕がありました。前回亡くなったのがここのようです。扉、というか廊下に衝立のようなものが立っています。横には縦長の機械があり、「PUT YOUR GUN」と。
「ここで銃を翳せばいいわけ?」
「まあ表示に従うならな」
「誰から行く?罠の可能性も拭いきれないが」
「ここは俺が」
カイトさんが銃を取り出し、迷いなく銃を起きました。皆が息を飲んで見守る中、衝立は鈍い音を立てて奥へと開きました。
「特に何もなさそうッスね…」
「天井から何か落ちてきそうだったりしないだろうな」
「ん、大丈夫みたいッスよ」
恐れを知らないカイトさんは、それでもゆっくりと奥に足を踏み入れます。皆さんも続々と中に入っていきました。
少し遠慮がちになってしまい、私は最後にやりました。正直後ろに誰もいないのはかなり精神に堪えるものがありましたが、後ろをちらちらと見つつ廊下を進みます。
あやちさんがどれほど心の支えになっていたかを痛感しました。明らかに前より歩幅が小さくなっているのがわかります。
頭がくらくらして、視界がぼやけています。
後ろを見て、また前に進む。そんなことの繰り返しをしているうちに、辺りが暗くなりました。
一番怖かったのは、
私以外が誰もいなくなってしまっていたことでした。
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ころ さ れ た ?