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第43話 新たなる挑戦

試しに、43話の書式を変更しました。

是非感想を聞かせて頂ければと思っています。


<改善点>

■「・・・」という間の表現を「……」または「――」に変更しました。

「……」:長い間、ゆっくりした間、物想いに耽る、スローダウン

「――」:短く間、早い間、強調、ペースアップ

まだ明確に決まってないので、もう少し試行錯誤が必要だと思っています。


■『』による強調

「」は台詞に使い、『』は強調として使い分けをしました。


■字下げ

各文章を字下げをしました。


■「!」「?」感嘆符、疑問符

直後に空白を1つ入れました。


■基本スタイル

書籍のような『文章を詰めた』書き方はしません。

字を詰めると窮屈に感じ、読み進めにくいと思います。

紙媒体の作品になれば話は別だと思いますが、Web上では書式に拘らず見易い表現方法で書き進めたいと思っています。

 翌朝目覚めると、珍しくメルディより先に起きていた。

 メルディは気持ち良さそうに静かに寝息を立てている。

 

 メルディを眺めながら、考察を始める。

 

 昨日は……本気で焦った!

 メルディの提案は『交渉のカード』として最悪だった。俺の本音を引き出す、効果的な脅しだったとも言う。


 あの場面――俺は無茶なことを考えていた。無理に無理を重ねて、強引な手法を考えていた。

 メルディはそれを見て気付いたのだろう。


 俺が本気でメルディを引き離そうと考えていたなら……苦しくても離婚を選択していたかもしれない。

 でも、納得はされなかったはずだ。

 ガルアは俺に決闘を挑み、ミイティアは泣き叫ぶだろう。

 メルディは……。

 ――と、とにかく。最悪の別れになっていたと思う。




 ベットから降り、支度を始める。

 

 最初は友として家族として、俺のやることに付き合ってくれていると思っていた。

 彼女たちの決意が生半可ではないのは分かった。だから……あえて確認をした。

 いい応えを得られたと思うが、彼女たちの覚悟は俺のとは性質が違う。


 彼女たちの覚悟は――

 『命を懸けて、大切なものを護る覚悟』だ。


 対して俺は――

 『切り捨てる覚悟』である。

 命を懸ける覚悟がないという意味ではない。一段階上の覚悟をしているという意味だ。


 言うなれば、見切りの付け方と言うべきだろうか?

 大切なものを護りたいという想いは同じだが、時として、生き残るためには大切なものを手放す覚悟をしなければならない。


 彼女たちは俺を護るために死ぬまで戦うだろう。

 だが、俺はそれを望んでいない。

 そういう状況になったら、俺を切り捨ててでも生き抜いて欲しいのだ。


 言っても聞いてくれないだろう。

 それは彼らの意思であり生き方だ。安易に否定できるものではない。

 俺は巻き込む側の責任として、最悪の状況だけは回避しなくてはならない。




 部屋をそっと出て、1階に向かう。

 

 俺の考えは、一見合理的に思われがちだ。

 だが、事実は違う。俺は単なる『理論派』に過ぎない。

 

 俺の思考は囲碁に例えられる。

 自分の陣地はきっちり守り、相手を切り崩すために虚を突いたり、相手の石筋を利用したりする。

 たった1目の差で勝敗が決まるゲームだから、常に攻防のバランスが要求される。

 時には激しい打ち合いも起きる。

 だが、打ち合いにかまけていれば、その間に別の手や自陣を強化される。

 

 対処法は、『先手を取ること』と『見切りの早さ』だ。

 相手の嫌がる手を打ち、相手を後手に回す。

 救出不可能な石は切り捨て、新たな手を打つ。

 シンプルなゲームゆえ、先読みと見切りが勝敗を大きく分けるのだ。




 1階ではメイドさんたちが忙しなく動きまわり、朝食の準備をしていた。

 軽く挨拶を交わし、外に向かう。


 現実は囲碁とは違う。

 ガルアやミイティアのように突出して強い存在を碁石では表せないからだ。

 将棋やチェスでも同様だ。

 盤面の駒というのは『人を表すもの』ではない。――事象を表すのだ。

 終局が勝敗だとすれば、相手がどういった手を打ってくるかを表しているに過ぎない。


 現状を囲碁で例えるなら――

 『食糧自給率の差』と『兵力の差』が置き石で何個も置かれ、かなりの差がある状況だ。

 さらに、こちらの手『ジャガイモ生産』は『盗難』という指し込みで死んだも同然だ。


 つまり、差がまったく埋まらず後手後手な状況である。

 ハッキリ言って、勝負にすらならない。




 外は雨が降っていたが、軒下で準備運動を始める。


 ただこれは、『真っ向勝負』をした場合の話だ。

 現実的な勝負の分かれ目は準備とタイミング、そして戦略で変化する。

 

 男爵領はアルテシア聖王国の領地の一つであり、伯爵領も同様だ。

 つまり、俺たちがやろうとしてるのは――『内戦』だ!


 普通に考えても認めらる物ではない。

 だが、逆もしかり。

 相手も同様に手が出せない。俺たちが強行的な姿勢に出ない限り……。

 だから、敵対心を煽り、出鼻を挫く真似をしてくる。

 

 現時点で問題点を挙げるとしたら、「本当に相手は伯爵なのか?」ということだろう……。

 

「ふぅ」

 

 ひとしきり考えをまとめ終わり、日課のトレーニングを始める。

 

 

 

 

 いつものトレーニングを済ませ、食堂に向かう。

 既にみんな、席に着いて食事をしていた。

 

「閣下。おはようございます」

「ああ、おはよう。今日は皆……様子が違うようだな?」

「ええ。緊急会議を開きます。シドさんたちにも集まってもらいたいと思っています」

「……分かった」

 

 

 

 

 俺たちはシドさんのアジトにいる。

 メンバーは、以前のメンバーに加えメルディたちもいる。

 

「ではさっそくですが――方針の大幅変更を提案します」

「変更? 畑はやらないのか?」

「いえ、畑は作ります。ただし――俺の『能力』は使いません」

「能力のリスクだったな?」

「はい。能力の暴走が考えられるからです。――土を強化すると、土が土を侵食しあらゆるものを飲み込み、草木も育たない劣悪な環境になる恐れがあります。ジャガイモなど植物を強化すると、異常繁殖して密林のようになり街を飲み込む可能性もあります。それを抑え込むために更に能力を使い、結果的に手に負えなくなる可能性があるからです」

「随分……ぶっ飛んだ話だな? ……まぁいい! これは俺たちの問題だ! お前には無理をさせられねえな! ……で、どうするんだ? 投げ出すのか?」

「フフフフ。ご冗談を」

 

 俺たちは示し合わせたかのように、不敵な笑みを浮かべる。 


「やり方を変えます! 食糧を買い込み、料理を作ります! 国内一の食の都を作り上げるのです!」

「……無理と言った途端にソレかよ? 言葉が出ねえぜ……。それにしても随分壮大な話だな?」

「ええ! こうなったらトコトンやってやりますよ!」

「俺たちは料理なんてできねえぞ? それに雇った奴らはどうするんだ?」

「大丈夫です!」


 手を突き出し、指を1つずつ立てていく。


「主に3通り。『料理』と『運送』と『畑』です」

「1つ目! 料理はリトーネさんを中心に新しい料理の開発を行います。経営方法は俺が教えます」

「2つ目! 運送は知り合いの護衛団がいますので、協力して担当してもらいます。関連して交渉術も学んでもらいます」

「3つ目! 畑はエファルさん中心に指揮してもらいます」


「――それぞれ自分がやってみたい仕事に就いてもらい、ある程度形が整ったら次の段階も検討しています」

「なるほどな……。ジャガイモを盗んだ奴らはどうする?」

「それには既に手を打っています。ゴルドアさんの指揮の元、犯罪者を捕まえ易い方法を実施してもらっています。足取りが掴めてない以上、近隣の町からも情報を集めた方が良いと思っています」

「金はどうする? 計画を聞く限り……並大抵の額とは思えねえぞ?」

「そうですねぇ……。小麦の相場って分かります?」

「大体……銀貨30~50枚だな」

「なら大丈夫! こちらを見てください」


 ガルアに持たせていた箱を受け取り、箱の中身を見せ付ける。

 周りからは「オー!」という声が挙がる。


「ここには金貨3570枚あります。開拓資金を1000枚ほど差し引いても、残り2570枚です。単純計算で小麦5000袋は買えます。貧民だけで言えば半年以上。街単位でも1~2ヶ月分の食糧に相当します」

「い、いいのか? 今さらだが……ハッキリ言って勝てる勝負じゃねぜ!? お前だって分かってる話だろ?」

「そんなことありません! シドさんのいう勝負とは、『真っ向勝負』した場合ですよね? 俺たちに足りないのは兵力ではありません。――『金』です! 金があれば傭兵だって雇えます。兵力3万に匹敵するわけじゃありませんが……。とにかく今は『金』です!」

「……お前の口から『金』という言葉が出てくるとはな……。最初とは言ってることが違うぜ」


 なんか誤解されてそうだが……まぁいいか。


「コレが俺たちの覚悟と思ってください」

「……まぁいいだろう。コレ全部使って小麦を買うのか?」

「いいえ! 小麦を中心としますが、塩、砂糖、干し魚、果物や……トウモロコシなんてのもいいでしょうね。あとは鉄とコークス。石灰も必要です。それらは武器制作で必要ですからね」

「武器ってのは……前に見せてもらったボウガンってやつだな?」

「それもいいのですが……。戦略的に有効なものを作ります。なんたって相手は、3万ですからね!」


 シドさんは少し考え込む。


「いいぜ! その話乗った!!」

「私もだ!!」


 男爵様も俺の提案に同意してくれた。

 他のみんなも同意してくれ、士気が高まるのを感じる。




 さて、もう引き返せなくなった。

 周りの騒ぎに若干戸惑いがちのメルディたちに、俺の意思を伝える。


「メルディ、ミイティア、ガルア。先に宣言しておく。俺は……全能力を使って開発を行う。場合によっては――」

「マサユキ様。分かっています。その時は私たちがお護り致します」

「おう! 任せろ!」

「ぜぇぇぇったい! 私たちが兄様を護ります!」


 マールとフェインが擦り寄ってくる。

「マール、フェイン。……お前たちもありがとう」

 昨日の今日だが……みんなの信頼が嬉しい。

 無理をするつもりはないが――手は抜けない!


 生死を分けた戦いだ!

 一瞬の気の緩みが『あの事件』のような結果になる。

 人的被害はなかったが、最悪館を襲われていたかもしれない。

 そう考えると気を緩められないのだ。


 俺たちは覚悟を決め、新たなる挑戦を始める。


今回は予定していた43話を分割し、10ページと短いです。

その代わり、分割した分は次話として更新します。


今のところ大筋の予定は、前書きに書いたことを反映し、なるべく早く最新話の執筆に戻りたいと思っています。

『Web上での見易い文章』という基本方針が固まったので、修正は比較的小規模になり、最初の見積もりより早く終わると思います。


あと余談ですが、1話をガッツリ派手にし、不要な文章の軽量化もしたいと思っています。更新はたぶん2、3日中だと思います。


次の更新は、水曜日2014/6/18/7時頃です。

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