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黒の錬金術師 -黒の称号を冠する者-  作者: 辻ひろのり
第2章 眠りから覚めて
31/117

第30話 貴族との決戦

 食事を終えると、俺はソファーにもたれ掛り、ゆっくり食後のお茶を楽しむ。

 その頃になると、ミイティアが1階に降りて来た。


「おはよう。ミイティア」

「おはようございます。兄様」


 ミイティアはマールとフェインに朝の挨拶をし、食事を取り始める。



 ◇



 食事を終えたミイティアがソファーに座る。

 メルディもリーアさんもいる。


「兄様! いよいよですね!」

「そんなに力まなくていいよ。たぶん……すぐ終わるし」

「マサユキ。よく落ち着いていられるわね?」

「ええ。こんなのは日常茶飯事でしたからね」

「もしかして……現世のこと?」

「そうですねぇ……。厳密にはこんな命のやり取りは初めてですけど、似たような物でしょ? 余裕ですよ」

「そうは言うけど……相手は一杯来るのよ?」

「……何人くらいですかね?」

「そうねぇ……100人くらいかしら?」

「フ、フフフ……ハハハハハ!」

「フフフフ」


 俺とミイティアは笑い出す。

 一応作戦は説明しているのだが……たった100人か!

 リーアさんは馬鹿にされたような複雑な顔をしている。


「ごめんなさい。馬鹿にするつもりじゃなかったんですよ」

「どう言うことなの?」

「えーっと、作戦は知ってますよね?」

「え、ええ……」

「一応、相手が1000人来ても大丈夫な作戦なんですよ」

「1000人……」

「まぁ実際……何人来るか分かりませんが、1000人来るとは考えられないんですよね~」

「どうして?」

「メルディが受け取った書簡から、相手は男爵位であることは分かりました。それを親方さんに相談したところ、人口5000人程度の街だそうです。男女比が仮に5:5だとしても2500人。全員が兵士という訳はないので、多くても1000人程度です。相手は戦争をするつもりではないはずですので、1000人を丸々連れてくる訳がありません。なので、半数の500人が上限だと考えてます。500人以上連れてくるのは、費用面から考えても現実的ではないんです。たった金貨500枚のために1000人の兵士を動かすには割が合わないからです。ということは、精々100~200人程度という予想になります。その程度なら余裕で対応可能なんですよ」

「……うん、分かるわ。でも、それは想像でしょ?」

「はい、その通りです。だから最大1000人で来ても、撃退できる準備をしました」

「1000人以上来たら……どうするの?」

「その場合は、お金を払って済ませられるようにはしたいですね」

「あら? 案外に素直に渡すのね?」

「当然です! 勝てない勝負をする意味はありません! 負けて悔しいかもしれませんけど……お金はどうとでもなりますし、気にする必要はないんですよ」

「マサユキ! お金は大事よ! 粗末に扱っては駄目ですからね!」

「はい。心得てます」


 黙って話を聞いていたメルディが、質問を投げ掛ける。


「マサユキ様。仮に200人来たらどうされるのですか?」

「交渉するよ。状況によっては戦闘もする」

「それは子供たちも参加するのですか?」

「んー……子供たちはパフォーマンスだけかな? オルドとゲルトあたりは参加してきそうだけど、それはミイティアに任せているよ」

「はい! 余裕です!」

「作戦の概要は聞いてますし、皆さんのやる気は分かっているつもりですが……どうやって200人もの相手をされるのですか?」

「それは……色々仕掛けをしたんだ。たぶん200人程度なら、パンを焼くより早く終わるよ」

「パンですか? 日時計で言う、目盛半分以下と言うことでしょうか?」

「うん。10数える間に半数は死ぬね。残り半数は乱戦かもしれないけど……まぁすぐに終わるね。パンすら焼けないかも。クフフフフフ」

「その仕掛けというのは、どういった物なのですか?」

「……んー危険だから教えたくないんだけど、すごい音と炎が噴き上がるかな?」

「分かりました。お聞きすることはなさそうですわ」

「メルディ。あなた、そんなことで納得できるの?」

「ええ、奥様。きっとそうなりませんわ」


 なんとなく……メルディには見透かされている気がする。



 ◇



 準備を終え、あとは貴族たちの到着を待つだけだ。

 もう昼を過ぎて大分経つが……予定と違って遅い。


 今ここにいるのは、俺とガルア、そして学校の生徒たちだけだ。

 リーアさんとメルディは家の前で待機させている。


「おっせーよなぁ!」

「だな!」

「せっかく作ってもらった、コレや剣がつかえねーとか。マジ調子くるうぜ!」

「だなぁ」

「コラ! オルド! ゲルト! しっかりしなさい! 校長先生もガルアさんも気が散るでしょ!」

「うっせーな! シルリアはいつもそうだ」

「(だなぁ)」

「黙りなさい! 私たちがうまくやらないと成功しないのよ!」

「そーよ! しっかりしなさい!」

「しなさい!」

「うるせーな! 俺の弓で一撃だぜ!」


 そう言って、ボウガンをシルリアの方に向ける。

 それを見て……急いでオルドのボウガンを取り押さえる。


「オイ! コラ!!」

「……な、なんだよ?」

「お前……もう帰れ!」

「はぁあ!? どうしてだよ?」

「どうしてボウガンをシルリアに向けた?」

「……いや、狙ってねーし。撃つつもりもないぞ?」

「そうじゃない! もし誤作動で発射してたら怪我してるぞ! 最悪死ぬ! 狙ってなくても、射線上にいる子供たちに被害が出る! 分かってるのか!?」

「…………」

「ガルア。お前使い方教えたのか?」

「ああ。人に向けないこと。指をトリガーに掛けないことだろ?」

「そうだ! ……オルド! お前はそれを分かってやったということだな?」

「違う! 指は掛けてないし発射するとは……思わなかったんだ」

「みんな聞け! これは俺の責任だ! 今から最低限のルールを教える! しっかり聞くんだ!」


 本当に危なかった。

 もし誤作動してたら、射線上にいた子供たちに当たっていたかもしれない。


 新しい武器だし、性能も実証済みだ。

 こういう場合、浮かれてこういう行動をすることは分かっていた。

 人を殺せる武器という認識が甘いのかもしれない。

 だが、教えなかった俺の責任だ!

 今回は被害が出なかったが……それで安心するのは間違いだ!

 今後はもっと考えて武器を渡すことにしよう。


 その後、全員にボウガンの使い方を教えた。

 オルドは叱られたことに落ち込んでいたが、シルリアに慰められて落ち着いている。



 ◇



 ボウガンの使い方を再度教え、訓練も兼ねて実射訓練をしていると、遠くの方から大勢の一行がやって来た。


「おい、来たぞ!」

「あぁ……」


 一行は騎馬に乗った兵士たち、歩兵、荷馬車と馬車で構成されている。

 恐らくあの馬車に貴族が乗っているのだろう……。

 大体……70~80人ってところか。

 まぁ、200人来ようが関係ないが。


 一行は目の前まで来て、止まった。

 御者台に乗っていた兵士が俺に向かって叫ぶ。


「男爵様がお見えになった! さあ、約束通り金を払ってもらおうか?」


 偉そうに大声を張り上げ、一人のデカイ兵士が叫ぶ。


「男爵様はお越しでいらっしゃいますか? 一度ご挨拶をしておきたいと思っておりました。何とぞお目通りをお許しくださいませ」


 兵士は御者台を降り、馬車の中の人と何やら話をしているようだ。

 しばらく中でゴソゴソとした後、馬車から1人の男が降りてきた。

 大体40~50代の綺麗な服装の男性だ。

 男は仰々しく近づいてくる。


「私はユイル・ガトリール男爵だ。約束通り賠償金を払ってもらおう」

「これはこれは男爵様。お初にお目に掛かります。私はマサユキと申します。わざわざ遠い所から足をお運び頂きまして、ありがとうございます」

「そちは物腰が低いようだが……何か言いたいことでもあるのか?」

「男爵様。お話は伺っています。ですが……我々の責任ではございませんゆえ、お支払いする道理がございません」

「なんだと!? 聞いておろうが! 私の娘が貴様らの毒牙に苦しんでおるのだ!」

「ええ。聞き及んでおります。しかし……」


 少し間を開ける。


「そのご息女様は、本当にご病気なのでしょうか?」

「貴様……。本当に話を聞いていたのか!? さては、私を馬鹿にしておるのだろう!?」

「お待ちください! 私は確認をしているだけでございます。もし、それが本当であれば、責任の一端は我らにもあるかもしれないのです。しかし、無い物を理由に要求されるのは、取引として成立致しません」

「くぅ……私の娘が病に苦しんでいるのは事実だ!」

「ですから、証拠をお見せ頂きたいのです」

「……それはできん! 娘の尊厳に関わることだ! 飲めん要求だ!」

「分かりました。では、我々が馬車に乗り込んで診察致しましょう」

「貴様らがか? ハッハッハッハッハ! 貴様らのような子供に何ができる?」

「できるできないは我らが判断します。それに金貨500枚は大金です。言い掛かりで簡単に渡せる額でもありません。それに……我らの姿を見ても、金貨500枚を持ってそうに見えますか?」

「持っておろうが? 金貨100枚で薬は売られている。元締めである貴様らなら500枚程度なら持ってそうだがな?」

「それはどうでもいいのですが、その薬……」

「どうでも!? 貴様! 「どうでも」とは、どういうことだ!?」

「ええ。どうでもいい話です。問題はその……」

「き~さ~ま~……。私の娘の病が、どうでもいいと言うのか!?」

「ですから……」

「うるさい! 黙れ! おい! さっさとこの男を取り押さえよ!」

「ハッ!」


 兵士たちが動き出すが、ガルアと子供たちが武器を構える。

 ガルアはものすごい怒気を放ち、今にも斬って掛かりそうだ。

 兵士たちはそれを見て、剣を抜く構えをする。


「お待ちください!!」


 大声が周りに響く。

 一色触発の状態だが、動きは止まった。


「私は男爵様の言い分が正しければ、取引を成立させる手立てがございます。どうかここは、冷静にお願い致します」

「貴様! 弓や剣を構えておいて、よくも抜け抜けと。従わぬなら――」

「従わなければ? (ニヒ)」


 ニヤけながら、刀のつばを指で少し押し込む。

 すると、強烈な殺気が全身から放たれる。

 まるで……強い風が吹き荒れるような、ビリビリとした強い殺気……。

 その姿に男爵様も、周りにいた兵士たちもビク付いている。


 実を言うと……これは狙って用意してた能力ではない。

 新しく打ち上げた刀に、たまたま付与させてしまった能力……とでも言えばいいのだろうか?

 モンモンと考えながら刀を作っていたので、必要以上に殺気を込めてしまった……のだと思う……。


 十分威嚇できたので、刀を鞘に戻す。

 すると、ビリビリとした殺気は消える。


「男爵様! 先に申し上げておきます! この場で剣を抜いた場合、男爵様のお命は保証できません!」

「クッ! ……貴様たちは剣を抜いておきながら、私に命令できるとでも思っているのか!?」

「いえいえ。そういうことではありません。戦いが始まってしまったら……このガルアを止める術がないのです。剣を抜かないことをお勧めしているだけでございます」


 兵士たちも殺気立ってきた。


「フハハハハ! 愚かな! 貴様たちは子供ばかりではないか! 子供に何ができよう? フハハハハ!」

「では軽く余興を……。ガルア!」

「おう!」


 ガルアは、後ろに置いてあった大きな布を取り去る。

 すると、中からは大きな魔獣の死体が出てきた。

 そして魔獣の足を持ち、子供たちに目で合図を送る。

 手に持った魔獣をブンブン振り回し始め……勢いを乗せて空高く放り投げる!


「ロックオン!」


 子供たちがそう叫んだ後、一斉に矢を放つ!

 ザクッ! ザクザクザクッ!

 20本以上の矢が空中を飛び、ゆっくり放物線を描く魔獣に命中する。

 そして、ズドーン! という音とともに、魔獣の死体は地面に落ちた。

 子供たちはすぐに矢の装填をし、構え直す。


 命中した矢は、子供たちに持たせたボウガンから発射した矢だ。

 狙いを定め、矢に特定の掛け声をすることでターゲットをロックオンする。

 色々試したが、命中率が特別高いものではない。

 あくまで補正の領域だ。

 その代わり、魔獣の厚く固い皮膚でも簡単に突き破る貫通力がある。

 だから俺は、オルドを厳しく叱り付けたのだ。


 ボウガンには強い反発力のある弓と弦を使っている。

 しっかり弓にも弦にも念を込め、非力な子供でも比較的簡単に引けるようにしてある。

 通常の2倍以上の攻撃力と射程距離があると考えていい。

 装填も楽だ。1分間に10発は狙いを定めて撃てる。


 ボウガン自体は随分前に作り上げていた。

 前の大型魔獣が出た後、子供たちに訓練の一環としてやらせていた。

 最初はなかかな使いきれなかったが、筋がいいのか、今ではこの程度は朝飯前だ。


 ちなみに魔獣の死体は血抜きし、内臓は抜いてある。

 じゃないと、さすがにあそこまで高くは放り投げられない。

 とはいえ……かなりの重量なのは間違いないだろう。

 ガルアだからこそできる芸当。と言ったところだ。


「いかがでございましょう? あの厚く固い魔獣の皮膚に、20本以上の矢がすべて命中し深く刺さっております。鎧など簡単に貫通する代物でございます。偽物かどうかお調べになって頂いても構いません」

「なっ! ……良かろう。真偽のほど見定めてやる。ゴルドア!」

「ハッ!」


 ゴルドアと呼ばれるデカイ兵士が魔獣の死体を調べている。

 すぐに結論は出たようだ。


「閣下! あれは間違いなく魔獣でございます。ただ……内臓が抜き取られ、血もございませんでした」

「そうか……。やはり偽物ではないか! 矢が当たったのは偶然に違いない! 的も大きい物だ! こんな下らん余興などに意味はないわ!」

「しかし閣下!」

「黙れゴルドア! 貴様なら、あれくらいの魔獣だろうと倒せるだろうが!」

「…………」

「では男爵様。次でございます」


 パンパンッ! と手を叩き、合図を送る。

 家の裏手から親方さんとアンバーさん、ミイティアとマール、フェインが現れる。

 親方さんはいつもの斧を持ち、アンバーさんは独特な形に曲がりくねった巨大な大剣を担いでいる。

 マールとフェインは唸り、合図を待っている。


「あの者たちは、かなりの強者たちでございます。斧と剣の大きさからも、簡単に想像できましょう?」

「クッ!」


 兵士たちも、親方さんたちの異様なプレッシャーに危機感を感じた表情をしている。

 やっとか。


「あそこにいます銀狼シルバーウルフはは、魔獣の一種でございます。あれは先日まで野生でしたので、かなり獰猛どうもうでございます。下手に刺激すると飛び掛かってきます。ご注意ください」

「あ、侮るな! 我らとて魔獣と戦ったことはある! だが……従えているとは……」


 さて、駄目押しと行きますか!

 また手をパンパンッ! と叩く。

 すると、至る所から人が出てくる。

 工房員たち、村人たち、さらには近隣の村人たちまで。

 総勢200人くらいだろうか?

 親方さんやアンバーさんみたいに大きな武器ではないが、それなりに大きい武器を持った人たちが多い。

 中には、どう見てもヤクザみたいな人もいるが……。

 この際気にしないでおこう……。


 急に現れた伏兵に、兵士たちは馬車を取り囲むように陣形を変えた。

 脅えている者も多いが、まだなんとか士気を保っている。


「さて……この者たちは、皆年中魔獣と戦っている者たちばかりです。そこらへんの兵士以上の力があります。人数差もありますが……まず我らが敗れることはございません。これでもまだ続けるのであれば……」


 間を開ける。

 この間は単に遊んでいるだけだ。

 目線を下に向け、土が不自然に盛り上がっている箇所を眺めながら、


「皆様の足元に仕掛けてあります、大型魔獣用の特殊魔法陣を発動致します! 魔法陣は強力でございます! 我らも無事では済まない代物でございます! 当然……後ろの馬車ごと破壊されるでしょう(ニヒ)」

「……や、やめてくれ!」


 俺の気持ち悪い顔を見ながら、男爵様が強張った顔で懇願してくる。

 兵士たちも相手の数の多さに加えて、ガルアやマールの殺気に押されて、更に駄目押しの魔法陣でうろたえている。


「さて、冷静になったようですので……交渉に戻りましょうか?」

「こ、交渉だと!? 今さら何を交渉しようと言うのだ!?」

「簡単です! ご息女様をお引き渡しください。恐らくはご一緒に馬車に乗って来られたのでしょ?」


 男爵様は眉をピクリッと動かす。


「クッ……まぁいい! このような悪質な交渉には、断じて応じられん!」

「では、男爵様が私めどもに要求されたことは『悪質』ではなく、『正当』だということですね?」

「……だが、娘はやれん!」

「はて……何か勘違いをされているようですね? 私はご息女様をお引き渡し頂いても、危害を加えるつもりはございません。どのような経緯で、どのようなご病気に掛かったのか知りたいだけでございます」

「しかし……医者には見放されてしまった病だぞ?」

「はい。私は断片的にしか症状を聞いていませんが、賠償金にたった金貨500枚を要求される程度です。なので、どうやっても治せない代物ではないのでしょう。それに、この村にも医者はいます。彼女がその医者でございます」


 手をラミエールに向け、ラミエールは挨拶する。


「しかし……この者は子供ではないか?」

「男爵様。確かにこの者はうら若き娘でございます。しかしこの者は、国王陛下に認められた薬を作り上げた者でございます。近隣の村でも、指折りの実力の持った医者でございます。確実に治せる保障はできませんが、街を転々とされたり、遠い王都を目指されるよりかは、手近なこの者にやらせてみるのも良いのではないでしょうか?」

「……貴様に聞く。貴様たちが国王陛下に認められたというあかしを見せてみよ」


 メルディに合図し、呼び寄せる。

 書簡と紋章を受け取り、男爵様に見せる。


「こちらでございます」

「……なんと! 確かに国王陛下の物だ! しかも紋章まで……。なぜこのような物を?」

「男爵様ならご存知だと思いますが、最近「若返りの薬」などという触れ込みを聞いたことはございませんでしょうか?」

「ああ、ある! 王都から来たと言う商人がそのように言っていた。希少な物で、この村で作ったとも聞いている。たが……騙されてしまった」

「若返りの薬を作ったのは事実です。ただし……『本物を』でございます」

「事実であるのか!? ……しかし、娘の病を治せるかどうか分からんではないか?」

「ええ。ですから診察致します。そのために、ご息女様をお引き渡し頂きたいのです。もし治せる見込みがあれば、我らも身命を賭して治療に当たらせて頂きます。もちろん、治せなかった場合は、賠償金のお支払いも可能でございます。いかかでしょうか?」


 男爵様は考え込む。

 王様に念のためにお願いしていた、紋章と書簡が役立った。

 無理なお願いだったが、こういう事態を想定してお願いしておいて良かった。

 王様にはホント感謝だよ。


 しばらくして、男爵様は結論を出したようだ。


「もし、娘が命を落とすことがあったならば……貴様の命で償ってもらうが。良いか?」

「治せなかった場合は、良いのでしょうか?」

「その時は、賠償金でも受け取るとしようか」

「分かりました。では、この件で村に危害を加えないことをお約束頂けますでしょうか?」

「……いいだろう。貴様はどうだ?」

「いいでしょう! その契約、お引き受け致しましょう」


 契約は成立した。

 ガルアに指示を出し、あとの処理を任せる。


 馬車から降りて来たのは、高貴なご令嬢という雰囲気が漂う女性だった。

 大きな帽子と包帯で良く見えないが、顔や体には、いくつもの赤い斑点や腫れが見える。

 痛がる様子も見せず、特に問答もなく、素直に従ってくれている。

 なかなか気丈な女性じゃないか。


 お嬢様にはメルディとラミエールが付き添う。

 心配した男爵様と側近たちも一緒に後を付いていく。



 ◇



 1階のソファーにお嬢様を座らせ、すぐにラミエールが診察を始めた。

 男爵様は、どうにも落ち着かない様子だ。


「男爵様。もう契約は成立しております。どうか楽にされてください」

「そうはいかぬ! どういう診断をするのかも分からんし、見慣れぬ地で娘を一人で不安にさせてはおけん!」

「分かります。あの娘はメルディと申しますが、私の妻になる者です。この度、賠償金の代わりに身売りするつもりだったようです。どういう理由であれ、愛しい者の不幸は自らを犠牲にしてでも護りたい。と思うものだと思います。ですから男爵様。私も全力を尽くしますので、どうか気を落ち着けてください」

「そうか……悪いことをしてしまった」

「いえ、男爵様にもご事情があったのでしょう。でなければ、金貨500枚という大金を要求されたことに納得がいきません」

「……金貨500枚で治せるとは思わないが、せめて一矢報いてやろうと思った次第だ。貴殿には悪いことをしてしまった。許してくれ」

「顔をお上げください。まだ治療できるのかも分かっていません。それに、誰一人として怪我人を出していません。寛大な心をお持ちの男爵様だからこそ、こういう形で和解できたのです。私はそのことに、大変な感謝と感銘を受けているのです。ですから、お気にされないでください」

「そうか……分かった」

「ところで、購入された商品はお持ちでしょうか?」

「ああ、持ってきている。ミリア。馬車より取って参れ」

「はい。かしこまりました」


 側近のミリアさんが馬車に向かって行った。

 購入した薬の件は、メルディが使者とのやり取りで要求した証拠の一つだ。

 物怖じせず要求できるメルディだからこそ、受け入れられた要求だと思う。


 しばらくすると、ミリアさんが薬瓶を一つ持ってきた。

 受け取り確認する。


「……これは我らが作った物ではありません。我らの作った物には紙で封をし、特殊な加工を瓶に施しています。試作段階の物かとも思いましたが……匂いが違いますし、色も違います」

「左様か……」

「付け加えますと、まだ販売をしていません。国王陛下に販売の是非を問いていた最中でして、つい先日許可が下りたばかりなのです。可能性としては、噂を聞き付けたどこぞの者が企てを図った。としか考えられません」

「そうか……」

「実物をお見せ致しましょうか? 実物をご覧になった方が、ご納得いくと思われます」

「……良いのか? 若返りの薬という程だ。高価な物なのだろう?」

「高価ではありますが、私めの言葉を素直にお聞き入れになるのは、不用心でございます」

「うむ。そうだな」


 話し込んでいる内に、ラミエールが診断結果を出した。


「男爵様。マサユキ様。お話中失礼致します」

「うむ」

「この症状は、皮膚の炎症でございます。正確には、塗った薬で皮膚に炎症が起こり、赤く腫れ上がっています。酷い個所はただれて血が出ています。比較的軽度の腫れではありますが、このまま放置するのは危険だと思います」

「診せた医者もそう診断していたが、治療をしても治らんのだ」

「では、どのような治療をされていたのか詳しくお聞かせ頂けますでしょうか?」

「ミリア。説明して差し上げろ」

「はい。エーテルで治療をしていました。なるべく清潔さを保つために石鹸で洗い、強い酒で清め、毎日包帯を代えています」

「なるほどですわ。エーテルの成分はお分かりでしょうか?」

「いえ、詳しい成分までは……」

「なるほど……」


 ラミエールはすこし考えた後、アッサリ言い放つ。


「これでしたら治るかもしれませんわ!」

「それはまことか!?」

「はい。薬草を使った治療方法になりますが、少なくとも腫れを引かせ、酷い所もある程度は治せるでしょう」

「おぉ!」


 男爵様と側近たちは喜ぶ。


「ただ、治療には数日掛かると思われます。その間、ご息女様をお預かり致しましても、よろしいでしょうか?」

「うーむ……。私と側近だけでも泊まれる部屋はないか? 私だけでも構わん」

「閣下! それは危険でございます!」

「閣下! 私は外でも構いません! どうかお供させてください!」

「私はお嬢様の下女でございます。私も残ります!」


 側近たちに詰め寄られ、男爵様は意固地になるばかりだ。

 そこでリーアさんとメルディに相談し、部屋を用意できるように調整する。


「男爵様。お取り込み中失礼致します。部屋の方は準備ができそうです。男爵様と側近の方々にお使い頂けるよう準備をさせております」

「良いのか? 無理を押しつけてしまったようだ……」

「いえいえ、このくらいは大した事ではございません。満足のいくおもてなしができるか分かりませんが、精一杯尽くさせて頂きます」

「そうか。かたじけない」

「外にいる者たちはどうされますか?」

「そうだな。……兵たちは領地に戻させよう。ゴルドア指示を出しておけ」

「ハッ!」


 兵士たちは領地に引き返させることになった。

 部屋はダエルさんとリーアさんの寝室と、俺の部屋、メルディの部屋を使ってもらうことにした。

 色々あったが、無事決戦は終結した。



 ◇



 夕方、俺は男爵様と側近たちを連れて自慢の風呂に入る。

 1人は女性兵士だったので、男だけで先に入る。

 男爵様と側近たちは湯船を見ると、絶賛の声を上げる。


「おおおおおおお! なんと大きな湯船だ! これはすごいな!」

「ええ! 私も初めて見る物になりますが……なんと立派で大きいのでしょうか」

「私も初めてでございます」

「これは私の友人たちが作ってくれたものです。そこにある石鹸はなかなか使い心地がいいですよ。遠慮せずに使ってください」


 男爵様が体を洗い始めると、また大声で絶賛してくる。

 こういう反応はすでに何度も経験済みだが……悪くない。


 メルディが気を利かせて、男爵様の背中を洗っている。

 いつもは俺がしてもらっているのだが……羨ましい。

 俺も側近たちもその姿をジーっと見詰めている。


 体を洗い終えると、ピッカピカの男爵様が大興奮だ!


「なんてことだ! これほど素晴らしい石鹸は初めてだ!」

「ええ。それは特級石鹸でございます。王家におろしている品でございます。お気に召されたようで、私も嬉しい限りでございます」

「ほぉ! これが特級石鹸か……。そちの采配といい、腕の立つ医者といい、このような立派な風呂までもある。さらにこれほど美しく教育の行き届いた妻がいるとは、驚くばかりか羨ましい限りだな!」

「ええ。たった金貨500枚でお譲りできるものではございません。国王陛下であってもお断りするつもりでございます」

「ハッハッハッハッハ! 貴殿が言うと、本当にしてしまいそうに思えるぞ!」

「ささ、湯船にお浸かりください。湯はぬるめにしていますが、必要なら温度も上げられます」


 男爵様は湯船に浸かり、その間に俺と側近たちは体を洗う。

 側近たちも石鹸の性能に興奮が収まらないようだ。

 しかもメルディの背中洗いまでついてくる。

 なんとも……羨ましい。



 ◇



 俺も側近も体を洗い終え、一緒に湯船に浸かる。

 昨日からずっと作業をしていたし、緊張もしていた。

 だから、やっと心が休まるようでちょっと眠い。


「貴殿は……マサユキと申したか。今だからこそ聞きたいのだが……あの場面、本当に戦うつもりであったのか?」

「ええ。命を懸けても戦うつもりでした。私も種明かしをしますと、あの場には大型魔獣用の魔法陣など用意していません。それに行き違いがあったにせよ、閣下に不快な想いをさせてしまったことをお許し下さい」

「構わん。私もやり過ぎであった。まさか国王陛下にご寵愛ちょうあいを受けた村であったとは、露とも知らず無粋な真似をした。許せ」

「ありがとうございます。……それにしても、ご息女様もお連れになるとは考えも及びませんでした。何か理由でもあったのでしょうか?」

「ああ。そなたの妻が要求してきたことだ。それに娘もその者に会ってみたいと申してな。病であるにも関わらず無理やり付いて来たのだ」

「なるほど、なかなか芯のお強い方なのでございますね。私の家族であります銀狼シルバーウルフにも興味を持たれていたようです。寛容なお心をお持ちのようで、将来が楽しみでございますね」

「そうだな。近く縁談の話も上がっておってな。それもあって早く治してやりたいのだ」

「なるほど。そのためにも我らの使命は重大でございます。改めて力の限り尽くさせて頂きます」

「そうか。頼む」

「閣下。顔をお上げてください。閣下は堂々とされていればいいのです。我らとの契約もまだ終わっていませんし、今はお気持ちだけで十分でございます」

「そうは言うがのぉ……」


 男爵様が思い出したように質問してくる。


「ところで銀狼とともに出て参った……あの黒い大きな男は誰なのだ? それに横にいた男も……どこかで見たことがあるのだが……」

「はい。黒い男は工房長のゼアと申します。昔「炎斧えんふの黒き牙」と呼ばれていたそうです。それともう一人の男はアンバーと申します」


 側近のゴルドアさんが二つ名を聞いて硬直する。


「閣下! 炎斧の黒き牙とは、かの魔獣襲来でご活躍された英雄の一人でございます。あの者がいたならば、我らは太刀打ちできなかったと思われます」

「左様か……。只者ではないと思っていたが……そのような者までいるとは……。それにアンバー? アンバーか……。あの金色の髪……そうだ! 旋風の金獅子ではないか!」

「おお! あの方も英雄のお一人でございますな! もう我らでは手も足も出ませぬ!」


 アンバーさんにも二つ名があったのか……。

 それにあんな大剣を振りまわされたら……さすがに怖いな……。


「あの……閣下はあの者たちにお詳しいようですね。私はまだこの村に数年しかいませんが、その二つ名は聞いたことがございません。是非お聞かせ頂けないでしょうか?」

「ああ。10年ほど前だったか……昔我が国に魔獣の大群が現れてのぉ。その時に名を馳せた者たちなのだ。一振り振るうと炎を撒き散らし、一振り振るうと魔獣が粉微塵に吹き飛ぶと聞く。他にも何人かいるが、我が国では英雄としてまつられている存在だ」

「ほー。そのような方だったとは……私も彼らとの付き合い方には注意を払うべきでした」

「おぉそうだ! 奴らは金で雇ったのか? さすがに高くついただろう?」

「……いえ。気が済むまで酒を飲んでもらう約束と、気が済むまで食事をしてもらう約束しかしておりません……」

「ほー。よくそれで付いて来てくれたな?」

「ええ。いつも私が無茶なお願いばかりしていまして、今回も同じように無茶なお願いをしただけでございます」

「ハッハッハッハッハ! その無茶にしてはよく考えられた演出だったのぉ! あの子供たちもなかなか強者揃いであったし、この村は強者の集落のようだ! ハッハッハッハッハ!」

「子供たちは学校で毎日訓練をしています。魔獣とも彼らだけで戦わせております。ラミエールは特に優秀で、医術まで習得しました。私も鼻高々な自慢の生徒でございます」

「そう言えば……この辺で学校をやっているとは聞いたな。そちの学校だったのか?」

「はい。まだ20人程度の小さな学校ではございますが、語学を始め、算術、物理化学、経済学、怪我の治療や薬学、作法や料理まで、可能な限り教えております」

「そうか! さすがだのぉ! 我領地には学校がないからのぉ……羨ましいぞ! 我領地に学校を立ててみる気はないか!?」

「そうですねぇ……可能ならそれも良いのですが、教師が不足してまして……。不都合がなければ我校に学びに来て頂くことは構いません。ただし、我校の方針は厳格でございます! 例え貴族様であっても特別扱いはございません! 聞き分けのない者は退学処分といたしますし、試験で最低点を出すと罰もございます!」

「ほぉ! なかなか厳しいのぉ。して、その罰とやらは何をするのだ?」

「授業の後片付けを1人で行います」

「それは大変だのぉ。小さな子にはちとやり過ぎではないのか?」

「そうですね。小さな子には荷が重いでしょう。しかし罰には意味があります。片づけの最中は全員で見守ります。罰の最中は何か別のことをすることも、揶揄やゆすることも許されません。これは教師を含め禁止事項としています。罰は次に繋げる糧にする儀式なのです。罰を受ける者は周りを見返す努力をしますし、逆の立場になればその苦しみも理解できます。生え抜きの優秀な人材を育成することはそれほど難しくありませんが、弱い立場の者を真に理解した人材となると、話は大きく変わってきます」


「なぜこのようなことをするかと言うと、人には向き不向きがあります。勉学に才がある者は良い点を取るのは容易たやすいでしょう。しかし才の無い者は、努力しても報われない苦悩に苦しみます。私も勉学には苦労した方なので、そういう者を除け者にしたくないのです。才能とは物覚えが早いことではありません。才能とは「没頭することができる」ことなのです。閣下にも苦労をいとわず、没頭できる物がございましょう?」

「そうだのぉ……私はそういう考えをしてこなかったな。幼少の頃より厳しく教えられてきたが、私にとって必要な努力だと思ってきたからのぉ」

「難しく考える必要はありません。例えば閣下はお心が広く寛大です。側近の方々の反応を見ていれば、よい領主なのだと分かります。領主であることに苦痛を感じることがあるかもしれませんが、途中で放り出そうとは思いませんよね? つまりは向いているのです。才能があるのです。自分ではなかなか気付かないこと。それが才能なのです」

「そうか……。私は領主として本当に才能があるのか疑問に思うことがある。我領地は小さく裕福ではない。才がないから、できないのだとばかり思っておった……」


 側近さんたちが息巻くように男爵様に意見する。


「閣下! そのようなことはございません!」

「その通りです! 閣下が苦悩されていることは我らも存じております!」

「閣下。このように優秀で忠義深い側近たちがいるのです。それも閣下の才能の片鱗なのです。自信を持って頂かなければ、彼らに申し訳が立ちません」

「……そうだな。すまなかったゴルドア、ジェリス。それにミリア。そなたたちに感謝する」


 男爵様は、壁向こうにいるだろうミリアさんにも感謝を伝えた。

 側近たちは泣き、壁向こうのミリアさんもすすり泣きする声が聞こえる。


「閣下。学校の話に戻りますが、当校では規則の決定には教師だけではなく、生徒たちも加わり考えます。それゆえ常に同じ規則で運営されることはございません。授業は基本的に生活に役立つ物が主体で、選択式の授業となっています。仕事をしながら空いた時間で授業を受けることも可能です」

「なるほどな。それなら無理なく授業に出れるな」

「はい。我らの授業には無駄な知識はございません。ゆえに一度授業を抜けてしまいますと置いて行かれます。ただ、我らの授業は何度も繰り返します。もちろん同じ授業ではなく、同じ物であっても内容の方向性が変わるのです。算術を例に挙げると、単純な足し算をまず教え、次は実際の買い物を想定した算術となります。そこで分からない点や不足があれば、なぜ分からないのかを生徒たちに考えさせます。そのやり取りを教師が見て授業に生かす。その繰り返しなのです」

「なるほど! 実践的であるな。生徒たちに考えさせるという考え方が良いな。……最終的にどうなるのだ?」

「最終的には帳簿管理や測量というような、専門的で実践的な授業になります。生徒たちに優秀な者が出れば、教師として雇います」

「なるほど。それなら教師が増えない理由も分かるな。授業料はいくらなのだ?」

「フフフ……無料です!」

「む、無料だと!?」


 この回答には側近たちも驚いている。


「ええ。無料です。元々は私の友人に知識を教える集会が始まりでした。時が経ち、次第に子供たちが増え、今に至ります。これだけの規模と優秀な生徒たちを生み出したのは私ではなく、あの者が育てあげました」


 俺は壁向こうにいるであろうメルディの方に手を向ける。

 男爵様も側近たちも顔を向ける。

 見えないが、きっとメルディは萎縮してそうだ。

 だが、事実だから仕方ない。


「しかしそれでは、教師への支払いはどうするのだ?」

「実を言いますと……払っていませんでした。4年近く無賃で働いていたのです。先日まとまったお金を得ることができましたので、4年分まとめて支払ったところなのです」

「そうか……4年もか……」

「ええ。私は訳あって学校に出れなかったのです。その間も私の妻のメルディ、妹のミイティア、親友のガルア、医師であるラミエール、そしてその兄のメーフィスが中心となって学校を支えてきました。彼らには感謝してもしたりません。給料も十分とは言えないでしょう。ですから、どんな苦難があろうとも、私は彼らを護りたいのです」

「……そうか。良い妻と兄妹、友人たちを持っているのだな」

「ええ。自慢の友人たちです!」


 その後、男爵様とゆっくり湯船に浸かりながら、領地の話であったり、抱えている問題などを聞いた。

 やはりこの世界では何かと問題が多いようだ。


 お嬢様の治療が前向きに進むようになり、湯船で気を良くした男爵様と晩酌をし、その日は1階のソファーで寝る。


 今回の治療は、基本的にはラミエール任せの予定だ。

 能力を使って治癒すればすぐに済むが、それではラミエールのためにならない。

 いかに能力を使わず、見せず、乗り切るかは課題だが……まぁなんとかなるだろう。


 その日の夜、メルディに「言葉遣いがおかしい」という説教があったのは……秘密だ。


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