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三つ葉テクノロジー株式会社  作者: 秘密結社苺牛乳
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第六章「コピー人間」

 世界は平和になった。


 「姉ちゃん。これが姉ちゃんが望んでいた世界?」


 「きっと喜んでいるわ」


 未香の仏壇の前でいつものように一也と佳子が談笑している。


 「姉ちゃん!癌患者への治療も開始する事に決めたんだ!今、海の上に人工島を建設中なんだ。もちろん海の生態系を守るためには工夫はされてる」


 「一也は本当やる事が違うね。これで人工が増えても大丈夫ね」


 人工が2倍に増加しても地球上で住めるようになった。

 同時に月と火星の工事もスタートされた。


 『三つ葉テクノロジー株式会社』では他にも、新たな開発が進められていた。

 宇宙空間に、固体化液体物質を流し込み、超巨大惑星を作る。

 人工膜で多い、酸素を送り込む。

 この時、人工太陽の開発には成功していた。


 現在、地球を照らしている太陽はいずれ爆発する危険性があるため近いうち人工太陽に切り替えられる事が決まっている。


 無から酸素を作り出す『酸素メーカー01』も完成し、準備は着々と進められていった。

 作業は全てロボットチームが行うため早く、完成予定日は6ヶ月後の2081年9月15日である。


 -2081年9月15日-


 ついに宇宙都市が完成する。

 固体化液体物質を流し込んで出来た超巨大惑星は、地球の150倍ある。

 地球とも繋がっており、植物や動物が輸送、配置された。

 太陽は被害の出ないよう爆破解体され、人工太陽が打ち上げられた。


 この人工惑星と地球が含まれた一体は『三つ葉銀河』と名付けられた。


 人口は現在の200倍になっても問題無いとの試算が発表された。

 人々は与えられた時間、一生を自由に過ごす。


 「ねえ、一也。昔言ってた”生かしてもらっている事は内緒にしてって言われた”ってどうゆう事?」


 佳子はずっと気になっていた。

 聞いても聞いても教えようとしない一也。

 その3ヶ月後、その意味を知ることになる。


 -2081年12月20日-


 開発技術は更に進み、古代に絶滅したとされる恐竜が復元され、テーマパーク『ディノサウルスランド』が人気を博していた。


 そんな矢先、事件が起きた。

 『三つ葉テクノロジー株式会社』に警報が鳴り響く。


 「一也さん!!三つ葉銀河に何者かの侵入者です!」


 「レーダー探知で、追跡ロボット『ガードナー03』を回してくれ!」


 指令室も全て、ロボットで制御されていたが管理部担当の人達が集まってきた。


 「一也さん……『ガードナー03』侵入者により撃墜されました……」


 平和を願う『三つ葉テクノロジー株式会社』では”武器”の開発、生産はされていなかった。

 一部始終はカメラで撮影されていて、慌ただしく調査が開始された。


 「侵入者は武装しているロボットです!頭部には人間の顔らしきものが!拡大します!これは……」


 調査部が静まり返った。

 そこに映し出されたのは、紛れもなく一也の顔だったのだ。


 社長佳子も現場に到着した。


 「一也……一体どうゆう事なの?」


 一也はマイクを握り、『三つ葉テクノロジー株式会社』内ではアナウンス音が流れた。


 「全社員に告ぐ!三つ葉銀河に侵入者が現れた。侵入者は既に去った模様。侵入者は宇宙の外側から来ている」


 社内が騒ついた。


 「この宇宙はコントロールされている。何者かが宇宙の外側でこの宇宙をゲーム感覚に楽しんでいる!僕はコピー人間としてこの世界に戻された」


 人々がペットを育てるように、我々人間も外部から育てられていた。

 一也は続けた。


 「彼らは人間に、”運命”という時限タイマーをセットした。この世界では”寿命”と呼ばれる。殺したくなったら病に侵す事も出来る。僕たちは所詮ゲームのキャラクターに過ぎない」


 「一也。あなたコピー人間なの?どうりで今までおかしな事も……」


 佳子は死んだはずの息子の正体を知った。


 「僕は、開発を進めて運命に逆らう事を考え未来を変えてきた。何故、僕が生かしてもらっている事を内緒にしなくてはいけないのか。それは僕が宇宙の外側の者と契約を交わしているからだ」


 「契約?」


 「僕は死んだが、もっと面白いものを見せてくれるならチャンスをあげると言われた。そこで頭脳をカスタムしてこの世に戻った。しかし、宇宙の外側を知ってしまった限り、宇宙の外側を制圧しタイマーなど無い本当の平和な世界を創りたいと思った」


 一也は、宇宙の外側に存在する謎の組織を『NodeX(ノードエックス)』と呼んだ。

契約には、武力を持たない条件も交わされているという。


 「今回なぜ、僕のコピーを使い侵入してきたかと言うと、僕が武器の開発を始めたからだろう。しかし、『NodeX』に三つ葉銀河の情報が漏れないように、ダミーの三つ葉銀河を制作した。ダミー情報が『NodeX』にキャッチされる」


 「これからどうするんですか!?」

 「戦争ですか!?」


 社員たちからの質問が飛び交った。

 聞いていた佳子が口を開く。


 「人類を守るため、人類が自由となるため、『NodeX』制圧プロジェクトを立ち上げます。同時に、武力に伴う開発を許可致します」


 佳子には、一也がコピー人間であってもそんな事はどうでも良かった。

 ただ、居てくれるだけで。

 亡くなった未香は『NodeX』によって殺された。

 ”運命”をもてあそぶ事は決して許されない。


 -2083年12月25日-


 開発と準備には2年を要した。


 「ダミー情報もいずれは気付かれる。これより『NodeX』制圧プロジェクトを開始する!」


 『三つ葉テクノロジー株式会社』の大きなプロジェクトが始まった。

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