第2話・暴露される爆弾に ~魂飛ばして頭を抱える~
第1章 聖皇国を襲った事実
第2話・暴露される爆弾に ~魂飛ばして頭を抱える~
腕を組み、睨むようにインスを見るウスニーに対して、インスもまた苦笑を浮かべて軽く肩を竦める。
「ええ。身体は」
そして、あっさりと認めた。
どうせ医呪神官であるウスニーの目をごまかすのは不可能だし、ディオネラにも知っておいて貰った方がいい。
「お前なぁ……」
あっさりと認められて、拍子抜けしたウスニーが呆れて溜め息を漏らす。
「それでも、やるしかないんですよ……アイン君を生かすためには……」
「「……………」」
緩く首を振って告げたインスの言葉に二人とも黙り込む。
「……これから私が話すことは、国家機密になります……」
「「は!?」」
その、黙り込んだ瞬間に、インスが特大の爆弾を落としてきた。
「国家機密!?」
「ちょっと待て!!」
驚きの声を上げたディオネラと、慌てて止めようとするウスニーに対して、
「神殿側からも皇宮側からも……もちろん皇城側からも許可は得ています。お二人には知っておいていただいた方がいいだろう、とのことです」
なんでもない口調で告げるインスは見惚れるほどの笑みを浮かべている。
「「……………」」
そして、そのインスの言葉で逃げようがないことを悟った二人は真っ青。
この国の最高権力機関すべてが「知っておけ。」と言ったも同然なら「知りたくないです。」は通らない。
「今からおよそ二か月ほど前。主神殿に隠され、封印されていた女神の至宝・神剣の封印をジャンヌ様が解き、その使い手が選ばれました」
「…………っ!!!!????」
その言葉にディオネラが目を剥いて倒れかけ、咄嗟にウスニーが抱き止め、ソファの背に凭れかけさせる。
「……し、神剣の、封印を、解かれたのですか?」
ゼイゼイと肩で息をしながら確認するディオネラに、ごくあっさりとインスは頷く。
「…………メンテ呪師は、驚いておられませんね?」
それから、自身を介抱するウスニーの落ち着きぶりに気づいて眉を顰めた。
「ウスニーさんは多少ご存じでしたので……」
「……知りたくなかったがな……」
ケロリとした表情のインスを睨むウスニーは、ジャンヌたち、神剣の使い手として選ばれた者がその力を使えるようになるための訓練をした際。
協力していたインスが事故で魔力切れを起こして倒れたため、医務殿で治療に当たる最に一言「神剣です。」と告げられて知っていた。
何しろ、神剣は主神殿に隠されて封印されていた。
神官呪師が神殿での異変に気づかない。なんてことはあり得ない。
だが、主神殿からの公式通知ではただ『事故の発生』とだけ伝えられた魔力反乱が、まさか神剣の封印を解いたためのものであったとは知りたくなかった。
「これからお伝えするのはその先です。実際に神剣と契約を結ばれているのは、封印を解いたジャンヌ様。その場に案内をしたリオンさん。それと、お二人を連れ戻すために来ていたファン卿とクロードさん……」
ジャンヌが神剣の封印を解いたのは、五年前に魔族に襲撃された際、彼女を庇って呪いをかけられてしまった弟皇子であるジョン。
カルロス・グラジオス・ジョーン皇子殿下の、その呪いを解くために魔族を討つ力を欲したから。
リオンというのはジャンヌの親友というか悪友というか。
そんな感じの平民の孤児。
この大陸において、呪師が管理される原因になったのと同様。
魔族と化して女神と争った女呪師が神話に『赤毛の魔女』と記されたことから、赤い髪色は忌避される。
リオンはその赤髪の青年で、生まれてすぐに実の親からは捨てられたらしく、当時神殿孤児院で過ごしていたクロードが拾ってこなければそこで死んでいた。
ただ髪色が赤いというだけで『魔女の申し子』と呼ばれ、多くの人に忌避されるリオンに対し、そんなことは全く気にせず正面から受け入れたのがジャンヌで。
ジャンヌが弟を助けるために力になるものを探していると知ったリオンが見つけてきたのが神剣のありかだった。
そうは言っても神殿の奥深くに隠されていた至宝を持ち出そうというのだ。
見つかれば当然止められる。
だから二人はこっそりと神殿に忍び込み、神剣の封印されていた小堂にたどり着いた。
そこに、ジャンヌの皇城からの脱走を知ってリオンが絡んでいるのでは? と疑ったジャンヌの幼馴染で専属護衛騎士団の団長でもあるファン。
ファン卿ディアスが、神殿護衛官という、神官呪師の護衛官を兼任する護衛騎士団の幹部であるクロードと共に駆けつけた。
その目の前でジャンヌは神剣を引き抜き、その封印を解いたのだった。
そして……
「……そして、使い手となることを神剣に強要されているのがアイン君です」
最後にそう付け加えたインスの言葉に、ウスニーも驚愕のあまり大口を開けて目を剥いた。
第1章第2話をお読みいただきありがとうございます。
今回はタイトル通り、インスの口から特大の「爆弾」が投下される回でした。
国の最高権力機関すべてから許可を得た「国家機密」なんて言われたら、そりゃあ「知りたくない」は通用しませんよね。
逃げ場を完全に塞がれて真っ青になるウスニーとディオネラの胃痛が心配になってしまいます(笑)。
そして最後に告げられた、アインに関する衝撃の事実。大人たちを絶句させた機密の全貌は、次回へと続きます。
引き続きお楽しみください!
【第1部はこちら】
姉姫様は魔族を斬りたい!~最愛の弟皇子を救うため、女神の巫女は呪いをかけた魔族を探します~【第1部・レッド・フレイムの呪い】
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【番外編・第3弾はこちら】
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ノリト&ミコト




