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第2話・選ぶは己、負うも己 ~そのすべてを包み込み~

第3章 最初の一歩を改めて



      第2話・選ぶは己、負うも己 ~そのすべてを包み込み~



 インスに抱き着いて、止められない涙を零すアインがハクハクと、唇を開いて、何かを伝えようとする。



「……いんす、さま……。っ。ぼ、く……っ」



 震えて揺れる声が、微かに零れ落ちた。



「……はい……」



 宥めるように背を撫でて、アインを見つめるインスの表情が、あまりにも慈愛に満ちたもので、他の誰も、動けない。



「……ぼくが……」


「……はい……」



 言いたいことは察していたが、インスは何も言わない。



 ただ、優しく撫でて、アインが自分で『言葉』にするのを待つ。



「……っ。……僕が、選び……まし、た……っ。…ぁ……」



 ようよう告げて、息を詰まらせる。



「……はい……。アイン君が、選んだ結果です……」



 それを、インスはただ肯定する。



 一切のためらいなどなく。



 アインが、自分で選んだ道を、肯定する。



「……ぁ……。……ぅ……」



 それ以上、何も言えなくなって、必死に声を押さえ込むけれど、零れる嗚咽を止めきれない。



 止める必要などないとばかりに、インスはただ、アインの小さな背中を撫でて、言葉を紡ぐ。



「……君が、正しいと思う道を選べばいいのです。そして、選んだら、後悔してはいけません……それが、自分にとっても、相手にとっても、真摯に向き合うということです……」



 こくりと、声もなくアインは頷く。



 知っている。否。理解(わか)った。



 命を奪うということは、その命と、真剣に向き合うということ。



 遊び半分や、何の理由も、意味もなく行っては、絶対にいけないもの。



 だから、きちんと、自分で選んで、向き合って、選んだ道に、責任を持つ。



 責任を持ち続けなければいけない。



 後悔するということは、選んだ道が間違っていたと、必要もないのにしたことだと、言うようなもの。



 だから、絶対にしてはいけないこと。



 自分が、そうすることを選んだのだと、認めて。


 自分の選択は、正しかったと、受け入れて。


 きちんと向き合わなければいけないのだ。



 たとえ、誰に責められても。


 世界中のすべてが、お前は間違っていたと責め立ててきたとしても。


 それでも、自分が選んだことに、責任を持つ。



 他の誰でもない。


 自分が選んだことなのだと。



 そのために、後悔だけは、してはいけない。



 その代わり、別の道を選べていたらと、考えることはやめてはいけない。


 反省は、してもいい。


 いや、むしろ、反省はしなければいけない。



 別の方法はなかったのか?


 もっと、いいやり方はなかったのか?


 事前にできたことは?


 この後、できることは?



 そうやって常に、最善と思える選択をするために考え続ける。



 それを、やめてはいけないのだ。


 

「……苦しかったですよね? 哀しかったですよね……? 泣いていい。怒っていい……今、アイン君が感じている気持ちのすべてを、私はちゃんと、全部、受け止めますから、吐き出していい……我慢しなくて、いいのですよ?」


「……っ……!」



 その言葉を聞いた瞬間。



 もうそれ以上堪えきれなくて、アインは声を上げて泣き出した。


第3章第2話をお読みいただきありがとうございます!


震える声で「僕が選びました」と絞り出したアインの覚悟と、それを一切の躊躇なく肯定するインス。


自ら選択を下したアインに対し、インスが「選んだ道に責任を持つこと」「命と真摯に向き合うこと」の重さを静かに諭します。


自分が選んだことを決して後悔してはいけないというインスの言葉は、一見厳しくも聞こえますが、アインがこれから生きていく上で最も必要な、深い愛情に満ちた教えでもあります。


他の誰も言葉を挟めないほど神秘的で、確かな絆で結ばれた二人の空間。


これまでずっと恐怖や悲しみ、罪悪感を一人で抱え込んできたアインが、インスの「全部受け止めるから吐き出していい」という言葉で、ようやく子供らしく声を上げて泣くことができました。


果たしてアインは、この痛みを糧にどう成長していくのか?


次回もお楽しみに!


【第1部はこちら】


姉姫様は魔族を斬りたい!~最愛の弟皇子を救うため、女神の巫女は呪いをかけた魔族を探します~【第1部・レッド・フレイムの呪い】

(https://ncode.syosetu.com/n1170lj/)


【第2部はこちら】


姉姫様は魔族を斬りたい!~最愛の弟皇子を救うため、女神の巫女は呪いをかけた魔族を探します~【第2部・レッド・フレイムの残照】

(https://ncode.syosetu.com/n5488lq/)


【番外編・第1弾はこちら】


皇宮呪師は護りたい!聖皇国列伝秘聞①~悪夢の海で瞑る翳・代償と贖罪の狭間で望まれる~

(https://ncode.syosetu.com/n5697ln/)


【番外編・第2弾はこちら】


皇宮呪師は護りたい!聖皇国列伝秘聞②~滞留するのは魔力ちからの残滓~

(https://ncode.syosetu.com/n6684lr/)


【番外編・第3弾はこちら】


皇宮呪師は護りたい!聖皇国列伝秘聞③~重なり合うのは悪意おもいの欠片~

(https://ncode.syosetu.com/n5078lu/)


【今後の連載スケジュールについて】


続きは本日22時から、毎日昼と夜、1日2話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!


【ミニコラム掲載中!】


活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!


【読者の皆様へのお願い】


「面白い」「続きが気になる!」と感じていただけたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。


また次回もどうぞよろしくお願いいたします!


【第4弾は完結まで執筆済みです。よければ最後までお付き合いください。】


【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】


――――――

ノリト&ミコト

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