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曲がり角  作者: 加藤無理
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露出狂

 一年生が終わった春休み。和夜は強く柔道を辞めたがった。正和も道場の先生も呆れながらそれを受け入れた。和男は和夜に尋ねた、

「お前、放課後、どうするんだ」

 和夜は悪びれもせず、

「寝てる」

 皆、呆れた。和男は、

「勉強しろよ」

 和夜はしょんぼりした。


 結局、和夜は放課後には友達の家で友達と一緒に漫画を読んだり、ゲームしたりした。夕方には帰った。兄の和男は柔道した後にもかかわらず、母親の雪絵が帰るまで勉強している。余裕があれば和夜の勉強をみた。


 和夜は時々、和男の分まで菓子を食べる。それを知った和男は呆れ顔で、

「お前、俺の分まで食べるなら、勉強しろ」

 和夜はコクリと頷いた。意外にも和男は暴力を一切、振るわずに勉強を始めた。


 その事を和夜は友人に話すと、友人は目を丸くして、

「良い兄貴じゃねえか。俺のクズ兄貴と交換してくれ」

 と、冗談半分で頼んだ。


 和夜が二年生、和男が五年生の時の秋。一緒に帰宅する途中、四十代の男が突然、二人の前に立ちふさがった。二人が立ち止まると男はズボンと下着を下げて、下半身を露出した。和夜は、

「アアア!」

 と、叫んだ。和男は黙って和夜の腕を引っ張り、早足で遠ざかった。幸い、男は立ったまま、追いかけてこない。回り道して男の姿が見えなくなると、和男は和夜の腕を離す。和夜はワンワン泣いている。和男は無表情で子供用のスマホを取り出すと、警察に通報した。冷静に露出狂について説明する。それが済むとスマホをしまって再び和夜の腕を引っ張り、歩き始める。和夜は家の中に入っても、涙を流している。和男は手を洗うと和夜にも手を洗わせた。


 二人は黙って雪絵を待った。雪絵が帰宅すると、和男は先程の出来事について淡々と語った。雪絵は血相を変えて子ども達を見比べ、

「怪我は?身体を触られなかった?」

 和男は無表情で、

「何もされなかった」

 暗い顔でうつむいていた和夜が顔を上げ、

「何で兄貴はそんなに平気なんだよ!」

 雪絵は和夜を抱きしめながら、和男に泣きそうな顔を向けて、

「和男。泣いて良いの。男の子でもすごく辛い事だからね」

和男は平然と、

「俺は大丈夫だよ」


 警察署で事情を知った父親の正和は早めに帰宅した。雪絵と子ども達に穏やかな声で、

「一週間以内に犯人を捕まえてやるから安心しなさい」


 その五日後。正和は車で現場から警察署に戻る途中、運転していた部下に、

「止めてくれ」

 と、命じた。部下はいぶかしんだが、言うとおりにした。正和は降りると四十代の男に近付いた。男が振り向くと正和は男の腕を掴んで男をしたたかに壁に叩きつけた。男は壁に崩れこんだ。部下は駆け寄る。正和は冷徹な声で、

「お前は十月十七日の午後四時頃に俺の子達に汚い物を見せた」

 部下が男の顔を覗き込む。確かに男は監視カメラから割り出された被疑者であった。正和は男の腕を再度掴んで車に連れて行き、車内に男を突き飛ばした。正和と部下はそのまま連行する。

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