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曲がり角  作者: 加藤無理
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頑張る和男

 和男の通う学校は和男をなるべく男子として扱うことにした。生徒達にも事情を噛み砕いて説明し、「和美」ではなく「和男」と呼ばせている。しかし便所は教職員用の女子便所を使わせている。


 授業中、和男の態度は真面目だった。居眠りも私語もしない。教師からの質問にはなるべく誠実に答える。


 ある日、同窓生クラスメートの男子が女子の腹を蹴飛ばして泣かせた。和男はその男子を掴んで床に投げた。男子も泣いた。他の男子が不思議そうに、

「アイツ、キモいと言われて怒っただけだぞ」

 と、投げられた男子を庇った。和男は冷たい声で、

「男なら言葉で怒れ。女を蹴るな」

 教室の中が静まり返った。泣いていた子達は涙を拭って席に戻った。


 話を聴いた担任は和男を叱りもしなければ褒めもしなかった。生徒達には淡々と、

「暴力は駄目だ」

 と、諭した。


 同窓生達は和男を何となく一目置くようになった。教職員達はそつのない和男を逆に心配した。担任は和男に、

「何か辛い事が有ったら、正直に言いなさい」


 一方、弟の和夜は何かとよく泣いた。鬼ごっこや隠れんぼでいつも負ける。男の子達からも女の子達からも呆れられる。保育士達は苦笑いしながら和夜を慰める。


 和夜の通う保育園の行事にも和男の通う学校の催しにも雪絵と正和は殆ど参加しなかった。面談や親の集まりに必要最低限、参加するだけだった。たまに雪絵の両親や兄夫婦が代わりに顔を出す。両親は美容院を経営し、兄夫婦は二人とも看護士。雪絵よりも器用に時間を作って家庭を築いている。正和の妹夫婦も税理士として多忙だが、夏休みに娘に合わせて和男と和夜を遊ばせる。正和と雪絵は皆に礼を言う。

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