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結末
実鶴が退室した後、和美は美味そうに残りのリンゴを食べていく。道久は、
「何故、平気なんだ」
和美は十分に咀嚼した後に飲み込んで、
「いや、けっこうショックだった」
道久は額に右手を当てて、
「あの女と会って後悔しただろ」
和美は立ち上がり、道久の隣に座る。道久の血色が悪い。和美は道久の肩に手を置き、
「驚いたけれど、後悔はしてない」
「アイツは藤崎を利用したんだぞ」
道久が左手で拳を握りしめる。和美は、
「それは確かに許さない。彼女はお前にも酷い事をしてきた」
道久は右手を下ろして左手を掴むと、
「なら、後悔してないとはどういう意味だよ」
和美は、
「どうしてだか俺は彼女が憎めないんだ」
道久は顔をそむけ、
「お前は昔から女には異常なまでに甘かった」
和美は道久の肩から手を離す。道久は、
「お前は今まで誰かに甘えた事は無いんだろ」
和美は横から道久の肩を抱いて、
「そんな事は無い。現にお前は俺を大事にしているじゃないか」
「そうか?」
道久が訝る。和美は、
「お前が俺を生かしている。大学を卒業したら結婚しよう」
道久は頷いた。
結局、三年後に二人は式を挙げずに婚姻届を出した。和美は時を経るごとに女になっていく。しかし根本的な所は変わらなかった。




