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曲がり角  作者: 加藤無理
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三度目

 道久は退院後、森田と行動を共にするようになった。二人は別のジムに通っているが、話を聞きつけた森田が道久の単独行動を咎めた。森田の知人友人には警察官や自衛官や危機管理の専門家が何人かいた。森田もそこそこ詳しい。


 道久は森田と一緒にそれぞれのジムに通って鍛えたり練習試合をしたりした。二人でジョギングもする。道久が大学に通う時も森田は近くまで付き添う。


 道久は気まずそうに、

「森田さんも色々とお忙しいでしょう」

 森田は周りをそれとなく警戒しながら、

「俺はあんなヤバい犯人の顔が見たくてね」


 森田は道久に自分の雑用や買物を付き合わせながらも、道久の自宅まで同行する。


 一月の終わりのある日。道久は森田を助手席に乗せて森田の車を運転していた。森田はタブレットで資料を読みながらも周りを警戒していた。


 道久の傷はだいぶ癒えて跡が薄くなっている。周りを疑う生活にも慣れてきた。後続の車も異常無いようだ。道久が安心しかけた時。


 突然、前方車両が勢い良く後進してきた。道久が避けようとハンドルを切る前に、ドオオン、と衝突した。身体が浮かんで森田と道久がシートベルトから出そうになる。森田はタブレットを膝に置いた。後続車も森田の車に衝突する。前後から挟まれた。森田が道久に何か言う前に、前方車両は急発進して去って行った。その車は後ろが潰れているのでナンバープレートの番号が分からない。


 森田は道久に車を路肩に停車させた。二人は車を出て後続車両に振り返る。後続車両の運転手も停車して道路に出ている。半ば呆然としている運転手に、森田は先程の前方車両について説明した。


 結局、人的被害は無かったが、二台は破損した。動くには動くが、そのまま運転すれば法律違反になる。森田は手際良く警察に通報した。先程の運転手は自分の無惨な車を泣きそうな顔で眺めている。道久はその運転手に何度も頭を下げて謝った。


 警察が来て三人に事情聴取しながら現場や二台の車両を調べた。その後、車両は警察が移動し、三人は警察署まで連れて行かれた。取り調べの後、森田と道久は電車で帰った。道久は青白い顔で何度も森田に謝った。森田は、

「もう謝るなよ。お前、少し休んでろ」


 真波は産婦人科の病院に入った。実鶴が出産し終えて入院している。血の気の引いた顔した真波に実鶴は微笑む。生まれたての赤ん坊は別室にいて、実父がその子の様子を見ている。


 真波は暗い声で、

「もうやめましょう」

 実鶴は穏やかな表情で、

「もう一回。次で最後にしてくれる?」


 今回も実鶴が作戦を建てて車を手配した。真波はその車で前から道久の運転している車に当てた。その後、監視カメラの無い道端で乗り捨てて電車で帰った。


 真波は怯えた目で実鶴を見ると、

「貴方は何故そんなに平然としていられるのですか?」

 実鶴は笑いながら、

「私、これで八人目を産んだの」

 

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