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曲がり角  作者: 加藤無理
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朝倉一家の方針

 朝倉一家は埼玉県警近くにある警察用の官舎で暮らしていた。一家の隣に住んでいる山田一家は朝倉一家から年末年始の出来事を聞いて哀れんだ。夫は正和に呆れた目で睨み、妻は、

「貴方のお父様には二度と票を入れない」

 夫婦の傍らにいた九歳になった娘は悲しい顔で雪絵を見つめている。正和は無表情で、

「それは君の自由だからね」


 正和の父親は地方議会議員を長年務めてきた。元々、食品業界で働きながら労働組合をまとめてきた。四十代から政治活動を始めて堅実にこなしてきた。けれども孫を拒絶したことで山田夫婦は彼に失望した。


 雪絵は正和とじっくりと話し合った。和美が小学校を入学する年に雪絵は教職に復帰することに決めた。毎年、教職免許を更新してもいる。和夜は保育園に通わせる。和美が和夜を連れて行き、迎えに行く。正和は和美に県警近くの道場に通わせて柔道をやらせることを提案した。雪絵と和美はそれを喜んだ。放課後は和夜を見学させながら、和美が鍛えることにした。


 雪絵は和美に振り向き、

「大変だけど、大丈夫?」

 和美は頷く。和夜は傍らで面倒臭そうに顔をしかめる。雪絵は和夜の耳許でささやいた、

「お兄ちゃんの言うとおりにしてね」

 和夜は恐る恐る頷く。


 和美と和夜が部屋で寝始めると、雪絵と正和は居間で更に話し合った。和美の通う学校には雪絵がじっくりと和美について説明する。学校の判断に任せる。正和は承知した。


 雪絵は不思議そうに、

「貴方が柔道を習わせるなんて意外ね」

 正和は無表情で、

「いずれ限界が来て和美は男だと言わなくなるさ」

 雪絵は顔をしかめた。

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