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曲がり角  作者: 加藤無理
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身体の違い

 七月上旬のある日。和男は日本酒を手にしながら真波の家に入った。真波は和男を浴室に入れた。その間に既に身体を洗っていた真波は躊躇いがちに服を脱いでいく。


 浴室から出て身体を拭いた和男がベッドに座っている真波に振り向く。真波は俯いている。和男が近寄る。


 真波の身体には何箇所か傷跡が残っていた。ストーカーから性暴力を受けた時の傷だと和男は分かった。和男は落ち着いた声で、

「酒を飲んでも良いか?」

 真波は頷いた。和男は食器棚からコップを取り出して日本酒を注いだ。少しずつ飲んでいく。


 一杯飲み干すと、和男は真波の隣に座った。真波の肩を抱く。生唾を飲み込み、そっと真波を寝かせる。そっと横から抱く。


 身体が震えて強張っている真波が落ち着くまで和男は待った。時折、静かに撫でる。ゆっくりと覆いかぶさる。真波はそっと抱き返す。二人は唇を重ねる。


 二人はしばらく身体を重ね合わせながら戯れた。肌と肌が擦れ合う。二人の喘ぎ声が室内に響く。


 一時間ほど試行錯誤しながらもつれ合った後、和男はおもむろに離れた。真波も和男も呼吸が荒い。


 和男は真波の隣に座る。呼吸が整うと、

「上手くいかなかったかな?」

 真波は穏やかな顔で、

「こんなに優しく抱かれたのは初めて」

 和男はホッと溜息を吐くと立ち上がる。浴室にまた入って汗と体液を流す。その後、服を着ていく。真波はその間に再び身体を洗う。


 和男は椅子に座って天井を眺めた。十分に快楽を感じた。真波は服を着ると和男の正面の席に座る。和男がゆっくりと振り向く。真波は嬉しそうに微笑んでいる。和男は静かに立ち上がり、

「今日はこれで帰るよ。またな」

 と、笑みを浮かべながら玄関に向かった。靴を履く和男に真波は、

「またね」

 と、手を振る。和男も手を振りながらドアを開けて出て行った。


 約一週間後。和男はまたボクシング観戦をした。坂東は前回よりも勢いがあり、そのまま勝った。坂東とは時々、SNSで連絡を取り合っている。全ての試合が終わった後、和男は坂東には会わず、便所に向かった。


 和男は女子用に入るか男子用に入るか迷った。その様子を先日に握手した森田が見つけて、

「どうした」

 と、近寄ってきた。和男は困り顔で、

「どちらに入ろうかと迷ってたんです」

 森田は顔をしかめて、

「突然、何を言い出すんだ?」

 と、和男の腕を引っ張って男子便所に入れた。和男は驚きながらも大便用の個室に入った。森田も便器で小便をする。


 和男のいる個室から放尿の後、奇妙な音がした。不審に思った森田はズボンを閉めながら個室を見やる。


 森田が手を洗う時、和男が出て来た。森田は和男に、

「お前、クスリをやっているだろ」

 と、疑った。和男は森田の隣で手を洗いながら、

「そんな事をしたらとっくに廃人になってますよ」

 手を洗い終えた森田は手を拭いながら、

「じゃあ、さっきのカサコソした音は何だよ」

 和男は手を洗いながら目を泳がせた。森田は、

「やっぱりクスリだな」

 和男はハンカチで手を拭きながら、

「違います」

 森田はハンカチを仕舞いながら、

「じゃあ、何だ?」

「痔です」

 森田は目を大きくさせた。和男はハンカチをしまうと、

「少し出血するもので」

 森田はすまなそうに、

「それで迷ってたのか。悪かったな」

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